【梨の子ペリーナ】梨と一緒に売られた女の子のファンタジックストーリー絵本。美しい絵も楽しんで。【4歳 5歳 6歳】

2024年3月19日

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梨の子ペリーナ イタリアのむかしばなし  イタロ・カルヴィーノ/再話 関口英子/訳 酒井駒子/絵 BL出版

むかしむかし、一本の梨の木を育てている男がいました。この木からは毎年かご四つ分の梨が取れ、それを王様におさめるきまりでした。ところがある年、梨はかご三つ半しか実りませんでした。そこで男は末の娘をかごにいれ、上から葉っぱをかぶせたのです……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 美しい絵☆☆☆☆☆ シンデレラストーリー☆☆☆☆☆

梨の子ペリーナ イタリアのむかしばなし  イタロ・カルヴィーノ/再話 関口英子/訳 酒井駒子/絵 BL出版

<イタロ・カルヴィーノ>
1923年キューバ生まれ。現代イタリアを代表する作家。著書に「まっぷたつの子爵」「イタリア民話集」(岩波書店)、「木のぼり男爵」「不在の騎士」(白泉社)など。1985年没。

<関口英子>
イタリア文学翻訳家。訳書に、カルヴィーノの「マルコヴァルドさんの四季」(岩波書店)、「最後に鴉がやってくる」(国書刊行会)のほか、「チホリーノの冒険」(岩波書店)、「帰れない山」(新潮社)など。

<酒井駒子>
絵本作家、画家。絵本に「よるくま」(偕成社)、「ロンパーちゃんとふうせん」(白泉社)、エッセイに「森のノート」(筑摩書房)など。「金曜日の砂糖ちゃん」(偕成社)でブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)金牌、「くまとやまねこ」(河出書房新社)で講談社出版文化賞など国内外で受賞多数。

 秋にぴったりの、美しくかわいらしい絵本です。

 1956年にイタリアの作家イタロ・カルヴィーノがイタリア全国を回り、土地の昔話などを集め「イタリア民話集」と言う本にまとめました。 ※「イタリア民話集」は、岩波文庫から出版されています。

 これは、この本の中から抜粋された、梨の娘のエピソードを絵本に仕上げたものです。

 おはなしは……

 むかしむかし、あるところに、一本の梨の木を育てている男がいました。この木からは毎年かご四つぶんの梨が取れ、それを王様に献上するならわしでした。ところが、ある年、梨がかご三つ半分しか実らなかったため、男は、幼い末の娘をかごにいれ、葉っぱで隠して献上します。

 お城の倉庫で梨を食べながら飢えをしのいでいた娘は、お城の人たちに発見され、下働きとして働くようになります。梨のかごに隠れていた娘は、ペリーナと呼ばれるようになりました。

 気立てのいいペリーナは、幼い王子に気に入られるようになりますが、それが気に食わない人たちの陰謀で、魔女の宝を取りにゆかされることになりました。

 さて、ペリーナは、無事に宝を取って戻ってくることができるでしょうか?

 ……と、いうのがあらすじ。

 旅の途中で出会った、梨の木の精霊のようなおばあさんが、ペリーナに三つのものを授けてくれ、これによって彼女は困難を解決します。

 このお話のいいところは、ペリーナの行く手を妨害していた三人の老婆や、猛犬や、赤い川や、重い扉が、ペリーナの力でその苦しみから解放されるところ。
 ペリーナは困難を打破するのではなく、癒すことで解決してゆく女の子なのでした。

 酒井駒子先生の絵がすばらしく、左側に線画、右側のページにフルカラーの挿絵が入っています。なんだか贅沢ですね。

 梨はちろんおいしそうなのですが、少女が、あどけなさと美しさのちょうど中間くらいの年ごろの魅力を絶妙に描いていますし、少年王子も愛らしく、このカップルがとにかくかわいらしいのです。王子様、とくに何もしてくれてないんですけどね。

 親に捨てられた子どもが、困難を乗り越えて、王子様と結ばれると言うシンデレラストーリーですが、魔法使いの力は借りれど、困難のかなりの部分をペリーナの知恵と勇気、優しさで乗り越えているところが、シンデレラより面白い。

 しかも、ペリーナの前に立ちはだかっていた敵たちを倒すのではなく、癒して解決するという、小さな女の子が主人公の冒険譚ならではの魅力があります。そして、取ってきた魔女の宝物を自分のものにはせず、約束どおり王様に届けるペリーナの誠実さも、おそらくは、この物語の大切なテーマ。

 それにしても、この梨の木の魔女、ペリーナの困難を絶妙なタイミングと方法で助けてくれるのですが、もしかしてこの宝箱の持ち主と何か関係があったのでしょうかしらね…… ここらへんは、読んだ人の想像に任されています。

 ちょっと大き目の本ですが、そのぶん、絵の魅力に満ちています。
 文章はそんなに分量がなく、総ルビなので読みやすい。もちろん、読み聞かせにもおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。美しい絵と、わくわくしたサクセスストーリーです。
 ペリーナがとてもいい子なので、心が洗われます。

 小さい女の子へのプレゼントに、読み聞かせに、そして、大人の和み本としても。
 この季節にぴったりの絵本です。

 読後は洋梨のタルトと、おいしいコーヒーでひとやすみ。

 

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