【時間割男子】これで勉強が好きになる? 四教科擬人化乙女ゲーム風ラブコメ第五弾【おわかれ!?勝負の学期末テスト】【小学校中学年以上】

2024年3月19日

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時間割男子 5   おわかれ!?勝負の学期末テスト  一ノ瀬三葉/作 榎のと/絵 角川つばさ文庫

わたし円(まどか)には、不思議な「家族」が4人いる。ケイくん、ヒカルくん、カンジくん、レキくん。彼らはわたしの教科書が「神様のはからい」で変化(へんげ)した「科目男子」たち。わたしのテストの点数と、彼らの寿命は連動していて、わたしが勉強しないと、彼らは消えてしまうのだ……!

この本のイメージ 乙女ゲーム☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ 知育☆☆☆☆☆ 

時間割男子 5   おわかれ!?勝負の学期末テスト  一ノ瀬三葉/作 榎のと/絵 角川つばさ文庫

<一ノ瀬三葉>
東京都在住。 おうし座のO型。「トツゲキ! 地獄ちゃんねる」で第4回角川つばさ文庫小説賞《大賞》受賞。主な作品に「ソライロ♪プロジェクト」シリーズ(角川つばさ文庫)などがある。

 「なんのために勉強するの?」

 最近、よく耳にする言葉。子どもたちが抱く疑問です。
 わたしが学生の頃も、この疑問はよく耳にしました。

 「因数分解や連立方程式なんて、日常生活で使ったりしないのに……」

 いやいや、使うんですよ。
 大人になると、「これはこのために勉強していたんだな」と、理解する局面があるのですが、子どものころ、それを説明してくれる大人は(どういうわけか)いません。だから、「いい大学に入ってどうすればいいの?」と言う疑問に囚われてしまうのだと思います。

 たとえば、建築関係や工学関係、いわゆる「ものつくり」関係などの仕事では、日常的に数学を使います。また、生物学の知識は医療に役立ちますし、化学の知識はケミカル関係の仕事や工場では必要です。化粧品などもそうです。

 現代国語は、読解力を訓練することで、大人になったときに論文や各種説明書契約書を読むのに役立ちます。論文は必ずしも日常で読むものではないかも知れませんが、契約書は大人になったら必須です。

 「契約なんてしたことない」って言う人は、もはや少ないはず。
 携帯電話、インターネット回線、車やパソコンの購入、アパートの契約など、日常は契約書にあふれています。携帯電話の契約書のチェックボックスに、気づかぬうちに「レ」のマークを勝手に入れられて、知らぬうちに月々無駄な支払いをしていた、なんてことも頻繁におきる時代になりました。(おそろしい)

 歴史や地理も、大人になってから「学生の頃にちゃんと勉強しておくんだったな」と思う場面が多いのです。とくに世界史は知らないと海外の問題やニュースがほとんど理解できません。

 かく言うわたしも、大人になってから四苦八苦。学生時代に勉強させられていた数々は「教養」と言う、とても大切なものだったとわかります。
 当時は目の前の「成績」や「順位」がプレッシャーになって、そんなことまで気がつかないわけなんですけども。

 ところが、「学校」や「テスト」から解放されて、自分の興味があることを自分のペースで勉強するのは、なかなか楽しいと気づきました。
 小説を読みながら時代背景を検索するのは楽しいし、関連書籍を横展開で読むのも面白い。知らないことを知るようになると、いままで見えなかったことが見えてきたり、一方向からしか見えていなかったのを多角的に見れるようになったりして、日々、あらたな発見があります。

 「なんのために」勉強するかなんてわからなくても、勉強すること自体が楽しければ、それは苦にならないはず。そして、本来、「学ぶ」ことは、そういうものだったのではないかと思うのです。

 子どもの頃は、生活のほとんどが学校の勉強です。
 だから、勉強が辛くて嫌いなら、人生は真っ暗になってしまいます。

 そのうえ、なんらかの事情で学校に通うことができずにいると「もう、人生ダメなのではないか」と絶望的になってしまうかもしれません。

 でも、小学生時代の勉強は、足し算引き算掛け算割り算の四則演算が出来て、たくさん本を読んで読解力をつけていれば、充分巻き返せるのです。つまり、九九をおぼえてたくさん本を読めばなんとかなると言うこと。

 もちろん、人生で必要なのは、読み書きそろばんだけではないので、いろいろと不自由はあると思いますが、「なんとかなる」と思わなければ、つぶれてしまいます。

 わたしが「辛いときは本を読もう」とブログを書き続けているのもそのためです。

 小さなお子さまが勉強を好きになってくれるために、何かいい本はないかな……と思って探していたときに見つけたのがコレ。一ノ瀬三葉(いちのせみよ)先生の「時間割男子」シリーズです。

 愛娘を残して若くして死んだ母親の願いが、彼女の娘、円(まどか)のもとに、4人の男子を送りました。彼らは、円の教科書が変化した「科目男子」。円に、勉強を好きになってもらうためにやってきた、四教科の化身です。

 科目男子たちは、円の家にホームステイし、家庭教師をしてくれるようになりました。
 でも、4人には秘密があって、彼らの寿命は円のテストの点数と連動しており、彼女のテストの点数が低いと、彼らは消えてしまうのです……!

 ……と、いうのがあらすじ。

 お話は、第1巻から完全に続いているので、未読の方はまずは第一巻からお読みください。第1巻のレビューはこちら

 今回は、円が4人の科目男子たちを「ほんとうの人間」にするにはどうすればいいか、その方法を探り始めるファンタジー要素のお話と、おばあちゃんが怪我をしてしまったので、全員で家事を分担しながら勉強する、「日常の中にもたくさんの学びがある」と言うお話。

 また、円は今回はじめて外部の人に「なんのために勉強するのか」と問いかけられ、真剣に考えるようになります。

 でもね、「なんのために勉強するか」なんて、答えられなくてもいいんですよ。それより、勉強が楽しくなることのほうが大事です。

 子どもの頃は、「パイロットになりたい」「ユーチューバーになりたい」「医者になりたい」「会社の社長さんになりたい」「サッカー選手になりたい」と何かしら夢があって、勉強はそのためにやるものだと思っているものです。それに、目標が定まっている子のほうが意欲的に勉強をするので、「目標を設定したほうがいいのかな」と悩むことも多いはず。

 小さな頃から目標があるのはすばらしいことなのですが、学びながら目標を見つけてゆくのも楽しいものです。

 子どもが「なりたい」と言う職業は、その時代に、子どもの世界から「見える」仕事なのです。
 けれど、世の中にはそれ以外の仕事も数多くあります。いまは花形職業のように言われているプログラマーは、20年前は日本の子どもたちの視界にありませんでした。そんなふうに時代は流れています。けれど、「学ぶ」ことが楽しいなら、たくさんのことを学んで視野が広くなった自分が、新しい何かを目指すかもしれません。

 でも、それ以前に、「学ぶ」楽しみ「知る」喜びを知らないうちに、心が折れてしまったら、辛い子ども時代が続くだけ。

 だから、子どもたちには、もっともっと本を読んでほしいのです。経済的に苦しい場合は図書館と言う方法もあります。
 図書館と言う場所は、本屋とは違う魅力があります。現在入手困難になった貴重な本や、郷土の歴史書なども気軽に借りて読むことが出来ます。また、厳選された本を分類して保管しているので、まさに知識の宝庫。

 住居環境が厳しい場合は電子書籍を、近所に図書館があるようなら図書館を活用しましょう。ちょっと離れたところに図書館がある場合は、移動手段として自転車は必須です。あまり外出できない状況でも、「自転車」と「図書館」があれば、世界はぐんと広がります。

 本は、まずは親しむことからはじまります。
 古典名作や純文学でなければならないわけではありません。漫画風のイラストの表紙や、ライトノベル、ゲームやアニメのノベライズでもOK。たくさん読むことが大切なのです。

 勉強嫌いの円が、どんどん勉強が大好きになってゆく「時間割男子」。知育要素もあり、お子さまに「学ぶ」ことに興味をもってもらうきっかけには、うってつけです。

 五年生の学年末が終わり、円たちは6年生になります。「科目男子」たちの「寿命システム」にも変化があり、彼らがほんとうの人間になれる方法の謎にも近づけそうです。ストーリーも盛り上がってまいりました。

 次の巻では新キャラも登場するらしく、読むのが楽しみです。
 ひきつづき、ご紹介してゆくつもりです。

 ※この本は電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素は、ほとんどありません。明るく楽しい、知育要素もあるラブコメファンタジーです。今回は乙女要素的ときめきシーンもあります。けれども、知育要素もしっかりあり、楽しく学べてお得感があります。
 円ちゃんがいつも一生懸命で、親友の優ちゃんはいい子で、やさしい世界です。

 読後は円ちゃんの大好きなプリンでティータイムを。

 

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