【クリスマスの女の子】売れ残りのお人形と家のない女の子の出会った、クリスマスの奇跡。クリスマスプレゼントに【四つの人形のお話 3】【小学校低学年以上】

2024年3月19日

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クリスマスの女の子  四つの人形のお話 3  ルーマー・ゴッデン/作 久慈美貴/訳 たかおゆうこ/絵

これは、願い事のお話です。小さな人形とひとりの女の子のお話でもあります。お人形は、自分を「おうち」に連れて行ってくれる人を待ち望んでいました。そして、女の子は、クリスマスに帰る家を探していました…… (クリスマスの女の子  四つの人形のお話 3  ルーマー・ゴッデン/作 久慈美貴/訳 たかおゆうこ/絵 徳間書店)

この本のイメージ 人形ファンタジー☆☆☆☆☆ クリスマス☆☆☆☆☆ 奇跡☆☆☆☆☆

クリスマスの女の子  四つの人形のお話 3  ルーマー・ゴッデン/作 久慈美貴/訳 たかおゆうこ/絵 徳間書店

<ルーマー・ゴッデン>
マーガレット・ルーマー・ゴッデン(Margaret Rumer Godden, OBE, 1907年12月10日 ~ 1998年11月8日 )イギリスの作家。
1907年イギリスサセックス州生まれ。生後まもなく家族と共にインドに移り住み、12歳の時にイギリスに戻る。「人形の家」「ねずみ女房」「ハロウィーンの魔法」など。

 <久慈美貴>
岩手県生まれ。大学非常勤講師。訳書に「アリーの物語」「野獣の薔薇園」「ヴァイキングの誓い」など。

 <たかおゆうこ>
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。大手玩具メーカーの企画デザイン室勤務を経て渡米。カリグラフィー、水彩画、銅版画などを学ぶ。絵本、さし絵など多数

 「ねずみ女房」のルーマー・ゴッデンの、小さな子供のための物語です。お人形をテーマにしたファンタジーシリーズの第3巻。原題はThe Story of Holly and Ivy. 原書初版は1957年。日本語版初版は2018年です。

 ストーリーは……

 ホリーは、クリスマスのために作られた、赤いドレスと緑色のペチコートのかわいいお人形です。今日も、クリスマスプレゼントとして、お客様に買われて「おうち」へお迎えされるのを待っています。けれど、クリスマスはもうすぐなのに、ホリーを買う人はいません。

 「誰か、わたしをおうちに連れていって」ホリーは祈り続けます。

 そんなころ、「おうち」のない女の子、アイビーはクリスマスのお休みに行き場を失っていました。孤児院の子どもたちは、みな、おじさんやおばさんのところへクリスマス休暇にゆき、孤児院のシェパード先生は妹がインフルエンザのため看病にゆかねばならないからです。

 アイビーはクリスマス休暇の間、乳児院に預けられることになりましたが、「エールズベリーのおばあちゃんのところへ行く」と言って、一人で旅に出ます。

 「エールズベリーのおばあちゃん」は、アイビーの想像の産物でしたが、アイビーは「おばあちゃん」を探してエールズベリーの街をさまよいます。そして……

 ……と言うのがあらすじ。

 原題はThe Story of Holly and Ivy.(ホリーとアイビーの物語)。ホリーはひいらぎ、アイビーはツタ。どちらも植物の名前です。

 ホリーは柊の実のような赤いドレスと、葉っぱのような緑色のペチコートをはいています。アイビーは緑色のコートを着ていて、赤い服のホリーにぴったりです。

 「おうち」に連れて行ってほしいホリーと、「おうち」が欲しいアイビーは、クリスマスの奇跡にみちびかれて出会い、そして、「おうち」に出会います。

 「これはお願いごとの物語です」と言う言葉で始まるこのお話、「祈り」と言う言葉が何度も登場します。
キリスト教の国では、「祈る」と言う行為が非常に大切な意味を持って使われています。

 令和の日本的道徳観では、「困ったときの神頼み」のことわざのように、祈ることはあまり良くないことのように受け取られています。「祈る」と言うと、「現実的に何も努力をしないで棚ぼた的に望みが叶うことを願っている」ように聞こえるからです。

 が、キリスト教の国では「祈る」と言う行為は「神様と向き合い、対話する」行為として推奨されているようです。それは、「がんばりますので、お願いを叶えてください」と言うように、がんばって努力したご褒美として神様が結果を与えてくれるように祈るからです。または「いい子でいますので、お願いを叶えてください」と言うように、「祈り」が自分を省みる行為になることもあります。

 日本でも、神社では「試験で合格しますように」とお願いするのではなく「がんばってきっと合格いたします」と心の中で宣言したほうが良い、と言われています。これは、考え方としては西洋と同じだと思います。

 人形は自力で動くことが出来ません。望まない環境で望まないことをされても、逆らうことができません。それだけに、ファンタジーに登場するお人形は、みな、強い意思があり、強力な「祈りの力」を持つように描かれます。

 この物語では、お人形のホリーだけでなく、アイビーも、そして、この物語に登場するすべての人が、最終的にそれぞれみんな「願い」が叶い、幸せになりました。

 お人形のホリーの切なる願いがきっかけとなって、すべての人の願いが叶ったのです。

 最初は、ばらばらの場所からはじまる、それぞれの登場人物の物語が、最後にパズルのピースが合うように、ひとつひとつ、はまってゆきます。そして、全部がぴたっとはまったとき、それぞれがみんな、最高の笑顔でクリスマスをむかえられることになりました。

 字は大きく、ひらがなが多くて総ルビなので、小学校低学年のお子さまに。
 けれども、物語としてたいへん面白く、しみじみと感動するお話なので、ぜひ、読み聞かせなどして、一緒にお読みになってみてください。大人の和み本としてもおすすめです。

 また、赤い表紙に緑色の飾りのついた装丁は、クリスマスプレゼントにぴったり。

 純粋な「祈り」は、きっと聞き届けられる、それだけでなく、かかわるすべての人を幸せにするのだ、と言う力強いメッセージに心が洗われます。

 読み終わった時には、心が温かくなり、晴れ晴れとした気持ちになるファンタジーです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。ネガティブな要素はまったくありません。純粋な祈りに満ちた物語で、登場人物全員が幸せになります。
 思いも寄らない小さな描写が伏線になっていたりと、読み込むのも楽しい物語です。

 自力で動くことが出来ないお人形が、ひたむきな気持ちで願いを叶えるお話なので、現在、自力ではどうしようもない悩みを抱えている小さなお子さまの励みにもなります。くじけない心と希望をくれる物語です。

 読み終わったら、熱いお茶でティータイムを。この季節は、いろんなお店がクリスマスフレーバーを出しているので、楽しみですね。

 

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