【はりねずみのルーチカ】心優しいはりねずみの、ほのぼのストーリー。シリーズ第1巻。【小学校中学年以上】

フェリエの国に、ふしぎな動物たちが幸せに暮らしています。ルーチカは心の優しいはりねずみ。いつも頭にりんごを一つ、乗せています。その日、ルーチカは、今まで聞いたことのない、美しい笛の音を聴いたのでした…… (はりねずみのルーチカ かんのゆうこ/作 北見葉胡/絵 講談社)
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆
はりねずみのルーチカ かんのゆうこ/作 北見葉胡/絵 講談社
<かんのゆうこ>
1968年、東京生まれ、東京女学館短期大学文科卒業。主な絵本に「ふゆねこ」などの四季ねこシリーズ、「カノン」、「星うさぎと月のふね」「マルーシカと12の月」(以上、講談社)「碧空のかけら~チベットの子どもからのおくりもの」(エイト社)など多数。「星うさぎと月のふね」はプラネタリウム番組化され、各地で上映されている。
<北見葉胡>
1957年、神奈川県生まれ。武蔵野美術短期大学卒業。主な絵本に「カノン」(講談社)「そらの木」(岩崎書店)「リトル・レトロ・ラム」(理論社)「小学生になる日」(新日本出版社)「絵本・グリム童話シリーズ」(岩崎書店)など。「タマリンとポチロー」(講談社)で、2005年ボローニャ国際絵本原画展入選。「ルウとリンデン 旅とおるすばん」(講談社)で、2009年ボローニャ国際児童図書賞(ラガッツィ賞)受賞。
最近、はりねずみがひそかなブームです。文房具や雑貨、シールなど、かわいいはりねずみがあしらわれているものが増えましたよね。
小さくて非力な小動物なのに、大きな動物に踏んづけられると針を出してやり返すなんて、はりねずみ、かっこいい。
わたしは、はりねずみモノが大好きなので、シールや雑貨など、かわいいものをちょこちょこ買っています。
ほんもののはりねずみは肉食で、かなり気性が荒いらしいのですが、あのトゲトゲが、妙に可愛らしく感じられてしまうんです。
今回ご紹介するのは、心優しいはりねずみ、ルーチカのシリーズです。初版は2013年。
このシリーズは初読です。はりねずみが主人公の創作童話があったんですね。
お話は……
ここはフェリエの国。動物や精霊や人間たちが仲良く暮らす、不思議な場所です。
はりねずみのルーチカは、うちにあるリンゴのジャムがなくなったので、新しいジャムをつくろうと、赤すぐりを摘みにでかけました。仲良しの、もぐらのソルも一緒です。
そこで、ルーチカは、いままで聞いたこともない、美しい笛の音を聞いたのでした。
すぐりを摘んだ帰り道、川に落ちそうになっていた、てんとうむしのニコを見つけます。必死に助けようとするルーチカたちですが、どうしても手が届きません。そんなとき、不思議な少年が助けてくれて……
……と、いうのがあらすじ。
ルーチカはいつも頭の上にリンゴを1個、のせて歩いています。これは、おなかをすかせた人に出会ったら、プレゼントするため。なんだかアンパンマンみたいですね。優しい子なんです。
ルーチカは、てんとうむしのニコを助けようとして、不思議な少年トゥーリに出会います。どうやら彼はレギュラーキャラになるようです。
ほかにも、仲良しのもぐらのソル、白猫と黒猫のふたごルクルとクプル、物知りの陸亀テールおじさん、オルゴールの中に住む小さな楽団カノンたち、妖精の女の子ノッコなど、心優しい仲間たちがフェリエの国に住んでいます。
さて、おなかをすかせて倒れていたトムテ(小人)の子どもにりんごを上げて、お礼にバイオリンをもらったルーチカ。これがあとで大騒動になるのですが……
後半は、とある存在がみんなに迷惑をかけるのですが、みんなの機転で、一緒に楽しく遊んじゃうと言うハッピーエンド。
おお、悪者退治ではないんですね。意外だけど、ほのぼの楽しいラストに、ちょっとだけじーんとしてしまいました。
どんな存在も、存在そのものを受け入れてしまうフェリエの国の人たち。
これからどんな事件が待っているのでしょうか。
北見葉湖先生のあたたかみのある絵も魅力的で、ふんだんに入っています。ルクプルの家は素敵だし、ごちそうを食べているシーンがとにかくおいしそう。かんのゆうこ先生のやさしい文章にぴったりです。
字は程よく大きくて読みやすく、難しい漢字には振り仮名がふってあるので、小学校中学年から。残念ながら総ルビではありませんが、あまり難しい漢字は使われていないので、がんばれば読めると思います。
大人の和み本としても、おすすめ。悪者が登場しないお話なので、心が疲れたとき、リラックスタイムの読書に最適です。
かわいいルーチカのシリーズ、これからこつこつ読んでゆくつもりです。つづきが楽しみです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。
ちょっと疲れたときの、回復アイテムとしておすすめします。
優しい動物たちのファンタジーです。騒動を起こす存在はいますが、悪者ではありません。悪者退治ではなく、アイディアを使って楽しく解決してしまいます。
子どもから大人まで、なごみたい時に。
読後は、赤すぐりのジャムと、ほかほかのパンでティータイムを。
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