【オンネリとアンネリのふゆ】小さいお客様たちがやってきた!幼いふたりの秘密の生活パート2。クリスマスプレゼントに【小学校中学年以上】

2024年3月20日

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オンネリとアンネリのふゆ マリヤッタ・クレンエミ/作 マイヤ・カルマ/絵 渡部翠/訳 福音館書店

アンネリはお父さんとお母さんが別れて暮らしているお金持ちの女の子。オンネリは八人きょうだいの大家族が一部屋でぎゅうぎゅうづめで暮らしている女の子です。ふたりは、不思議な夫人から家を買い、ふたりだけの家を持っていました。ある日、ちっちゃなお客さんがやってきて……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ クリスマス☆☆☆☆☆ ちょっひりサスペンス☆☆☆☆☆

オンネリとアンネリのふゆ マリヤッタ・クレンエミ/作 マイヤ・カルマ/絵 渡部翠/訳 福音館書店

<マリヤッタ・クレンエミ>
1918~2004年。フィンランドの児童文学作家。1946年、「赤蟻プッケの冒険」でデビュー。やがて30作品を著し、そのうち5作品で自国フィンランドを始め北欧の児童文学賞を受賞。また、200作品にものぼる海外児童文学の翻訳等も手掛けた。

 1968年、フィンランドで発表された作品を2016年に翻訳し出版された本です。原題はOnnelin Ja Annelin Talvi.

 これは、女の子ふたりが、自分たちだけの「秘密基地」を手に入れるお話。「秘密基地」って子どもにとって、わくわくす響きです。男の子だけじゃなく、女の子だって秘密基地は欲しい。

 でも、男の子が大好きな、使っていない倉庫とか古いガレージや物置小屋じゃ嫌なの、もっとかわいくておしゃれでなくちゃ……。

 そんな女の子の夢がいっぱい詰まったファンタジーです。
 このお話は、「オンネリとアンネリのおうち」で、ふたりが秘密のおうちを手に入れたことではじまるので、まずは「オンネリとアンネリのおうち」をお読みください。

 「オンネリとアンネリのおうち」のレビューはこちら

 さて、夏に、不思議な薔薇乃木夫人から家を買った、オンネリとアンネリ。もうすぐ冬、クリスマスがやってきます。そんなとき、ふたりのおうちに、ちっちゃなちっちゃなお客様がやってきました。それは、プティッチャネン族のショーララ家ご家族ご一行様。

 ショーララ氏、ショーララ夫人、おばあちゃん、息子のプティ坊、娘のリッリちゃん、あかちゃんの六人家族です。
 ショーララ家は、倉庫の中のお城に住んでいたのですが、いきなり倉庫が取り壊しになり、新しい家を探している旅の途中でした。「薔薇乃木夫人はどんな人にもぴったりのおうちを見つけてくれる人」と言う噂を聞きつけ、訪ねてきたのです。

 ところが、薔薇乃木夫人は、オンネリとアンネリに家を売った後、引っ越していってしまいました。でも、お隣は、薔薇乃木夫人のいとこ、ノッポティーナさんとプクティーナさんのカーニバル家の姉妹。クリスマスにはいつもカードが届きます。そこに薔薇乃木夫人の新しい住所が書いてあるはず……。

 と、いうわけで、ショーララ家はふたりのおうちに、クリスマスまで滞在することになりました。彼らのおうちはもちろん、家を買ったときについてきた、素敵な素敵なドールハウスです!

 ドールハウスで暮らすちっちゃな一家と、オンネリとアンネリの、すばらしい冬が始まりました。

 ところが、ショーララ家をつけねらう悪者が、彼らのことをそっと見張っていたのでした……

 ……と、いうのがあらすじ。

 前半は、オンネリとアンネリ、ショーララ家の出会いと、楽しい共同生活。オンネリとアンネリのおうちは、魔法のおうちで、不思議な機能がたくさんあります。たとえば、ドールハウスの蛇口をひねるとお水が出るし、コンロもちゃんと使えます。

 おとなりのカーニバル家も、不思議なおうちです。
 ふたりは、魔法のお庭を持っていて、そこで育てている草花からは、クリスマスのオーナメントや、ガラスの鈴、カラフルな風船やアクセサリーが花や実になって生まれてきます。そして、今回、名前だけ登場する彼女たちの兄、ミラクルソン・カーニバルは、不思議な薬品や機械をつくる発明家のようです。

 素敵な人たちが暮らす薔薇横丁。みんなとショーララ家の人々は、素敵なプティクリスマスを過ごします。

 「プティクリスマスパーティー」とは、11月最後の日曜日から4週間後のクリスマスまで、友だちを招きあったり、レストランに繰り出したりするフィンランドの風習。そして、クリスマスの当日は家族で過ごすのだそう。

 クリスマスを間近に控えた楽しい暮らし。平和な日々はずっと続くかに見えました。

 後半は、ショーララ家の人たちを捕まえて、お金儲けに利用しようとする悪い奴らとの戦いになります。

 これが、本当に悪い大人たちで、素直な子どもたちは、対抗するのにかなり苦しみます。はたして、ショーララ家の人たちを守りきれるのでしょうか?それは、読んでみてのお楽しみ。

 文章は、アンネリの一人称という形で書かれており、すべての漢字に振り仮名が振られています。とても読みやすい小説です。そこそこボリュームがあるので、小学校中学年以上としてありますが、賢い子なら低学年でも、こつこつ読めば読めると思います。また、ファンタジーとしても面白いので、大人も楽しめます。

 この季節の、小さな女の子へのプレゼントにぴったり。親子で読んでも楽しい小説です。一人称なので、読み聞かせにもおすすめ。お子様に読んでもらっても、楽しそうです。

 オンネリとアンネリのシリーズは、本国フィンランドでは四冊出版されているそうです。
 日本では、現在「オンネリとアンネリのおうち」と「オンネリとアンネリのふゆ」の二冊しか翻訳されていません。

 けれども、最高にかわいくて面白い児童文学なんですよ!
 小さな女の子の「あったらいいな」が全部詰まっており、50年以上前に書かれたとは思えない、色あせない魅力があります。

 ぜひ、残りの2冊も翻訳してくださいませ。出版社さま、お願いします!(と、テレパシー)

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。かわいくてファンタジックな児童文学です。後半は少し、サスペンスな展開になり、悪者退治の要素も入るので、プリキュアとか好きなお子におすすめです。

 子ども時代の遊び心がいっぱい詰まっているお話なので、大人の和みタイムにもおすすめです。疲れた心の回復アイテムとして。

 読後は、北欧風パンケーキと、熱々のコーヒーでひとやすみ。

 

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