【ケイティのふしぎ美術館】小学校低学年のお子様に。美術館をめぐっている気持ちになるファンタジー絵本です。第4巻【ケイティと星月夜】【4歳 5歳 6歳 7歳】
大好きなおばあちゃんと一緒に美術館のゴッホ展に行くケイティ。ケイティは、「星月夜」と言う絵がお気に入りです。どうしても、あの星がほしくて、手を伸ばしてみると……
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 知育☆☆☆☆ ゴッホ☆☆☆☆
ケイティと星月夜 ケイティのふしぎ美術館 4 ジェイムズ・メイヒュー/作 西村秀一/訳 結城昌子/監修 サイエンティスト社
<ジェイムズ・メイヒュー>
1964年イギリス生まれの絵本作家。メイドストン美術大学。絵画、オペラ、バレエに造詣が深く、その魅力を伝える絵本を制作している。
<西村秀一>
1984年山形大学医学部卒業後、CDC(米国疾病対策センター)インフルエンザ部門留学、国立感染症研究所主任研究官などを経て、現在は仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長。研究の傍ら、医学関係の翻訳のほか、絵本翻訳も手がける
<結城昌子>
武蔵野美術大学卒業。アートディレクター、アートエッセイスト。1993年「ゴッホの絵本うずまきぐるぐる」(小学館)を刊行して以来、子どもとアートをつなぐ様々な活動を開始。ワークショップや講演、小中学生を対象とした各種コンクールの審査などを続けている
面白くてためになる、「ケイティのふしぎ美術館」シリーズ第4巻、「ケイティと星月夜」です。原題は、KATIE and the Starry Night. 本国初版は2012年。日本語版初版は2012年です。
今回はゴッホの絵のお話。
美術館のゴッホ展に行く、おばあちゃんとケイティ。おばあちゃんは例によってホールで眠ってしまいます。
ケイティは大好きな「星月夜」と言う絵の中に入り、星を一つ、ポケットにいれておばあちゃんにプレゼントしようとしますが、あらたいへん、絵の外に出ると、星たちも飛び出してきます。
外に飛び出した星たちを捕まえようとして、ケイティは「アルルのゴッホの椅子」を使おうとしますが届きません。
星たちは「昼寝」と言う絵に飛び込んでゆきます。追いかけるケイティ。寝そべっている女の人、マリーも一緒に星を追いかけて、「オリーブの樹」で収穫中の女性たちにも手伝ってもらい、「浜辺の漁船」で魚網を使って星をつかまえます。
最後はみんなが絵の中に戻って、おばあちゃんが目覚めて、めでたしめでたし。
……と、言うストーリー。
今回のお話の中に登場する絵は、「星月夜」(アメリカ・ニューヨーク近代美術館)、「アルルのゴッホの椅子」(イギリス・ナショナルギャラリー)、「昼寝」(フランス・オルセー美術館)、「オリーブの樹」(アメリカ・ナショナルギャラリーオブアート)「浜辺の漁船」(オランダ・ゴッホ美術館)です。
ケイティのシリーズ、第1巻もゴッホなので、メイヒュー先生はゴッホが大好きなんですね。
子どものための知育絵本と言う形でありながら、題材の偏り具合が作者の愛を感じて、そういうところがいいんですよ。今風の言葉で言うと、この絵本はメイヒュー先生の「推し活」なんでしょうね。
そして、相変わらず、絵の再現具合がすごい。本当に絵の中に入ってしまう気持ちになります。ケイティはもちろん、安定のかわいさ。
「星月夜」は、ゴッホが精神的にとても苦しんで入院していた病院で描いたものと言われています。描かれている糸杉は、ヨーロッパでは天地を結びつける死の架け橋の象徴とされており、宗教的な意味があったようです。
そんな苦しみの中で描かれていた絵に、幼いケイティが入ってゆき、無邪気に星をほしがる様子がほほえましい。ゴッホのことを知れば知るほど、彼の深い悲しみが押し寄せてきますが、それをケイティのあどけなさが浄化してくれるようにも感じられます。
物語に登場する、絵の中の女性、マリーさんは、どうやらゴッホの「アルルの女」のモデルになった方のようです。このシリーズで具体的に名前が出てくる場合は、実在の人物なので、わたしもちょっぴり調べてみました。
この方は、ゴッホが下宿していた、「カフェ・ド・ラ・ガール」(ゴッホの「夜のカフェ」の題材となった)の経営者ジョセフ・ミシェルの奥様ジヌー夫人のようです。 じゃ、昼寝をしていたふたりは、このご夫妻だったのですね……。
わたしは、ブログを書くときはなるべく調べて細かいことを書くよう心がけていますが、それはね、意識高いとかそういうのではないんです。「役に立つことをお書きなさい」と言う、インターネットの神の教えがあるから。そう、SとEとOがつくアレですよ。
このブログは、わたし個人の楽しみのための読書記録であり、推し本録でもあるわけですが、本の面白さを語ろうにも、読んでもらわないことには何もはじまらない。それには、必要なことがあるのです。(がんばる)
それに、感情の赴くままに書くと、ついつい鼻息が荒くなっちゃうので気をつけないと。好きなことを語ると暑苦しくなってしまうのがわたしの欠点でもあります。(反省)
勢いに任せて書くので、誤字や書き間違いも多いので、ヒヤヒヤしながらあとで直しています。本当に、お恥ずかしい。気づいたことがあれば、ぜひ、お問い合わせフォームからお知らせくださいね。
でもわたしは、これからも書きます。本が好きだし、インターネットが好きだから。
いつも思うんですが、インターネットは農業と似ています。地面を耕して、種をまいて水をやって、毎日少しずつ、育てないといけないんです。
そして、自分ができることは、自分の畑を耕すことだけ、自分の樹を植えることだけ。
ここにどんな庭が出来るのか、どんな森が出来るのか……。それはわたし自身にもわからないけれど、わたしは、毎日少しずつ、自分のできることを続けてゆきます。
ケイティのシリーズは、毎回とてもファンタジックな物語で、そして、文章は読みやすくて総ルビです。絵が主役の物語なので、文章はそんなに多くはありません。読み聞かせにもぴったり。
幼いころ思った、「あの絵の中に入ってみたい」と言う気持ちを叶えてくれる、ケイティのシリーズ。
どの本も、ほっこりした気持ちになるハートフルなお話で、小さなお子さまへの知育本としても、大人の癒し本としてもおすすめです。
おでかけできない寒い季節、絵本を読んで美術館に行った気持ちになりましょう。でも絵の中に閉じ込められないように、気をつけてね。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素は一切ありません。安心してお楽しみいただけます。読後は、美術館のHPなどをサーフィンしてみるのも楽しいかもしれません。
ケイティがとても可愛らしいので、大人が読んでも癒されます。
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