【サーティーナイン・クルーズ】39のてがかりを集め秘密の遺産を探す大冒険。第9巻はカリブ【海賊の秘宝】【小学校中学年以上】

2022年7月25日

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サーティーナイン・クルーズ 9  海賊の秘宝  リンダ・スー・パーク/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

女海賊アン・ボニーの謎を追うエイミーとダンは、誰よりも信頼していた世話係ネリーの正体に気づいてしまう。三人の信頼関係は戻るのか……謎の遺産をもとめて世界を旅する冒険小説第9巻。

この本のイメージ  アン・ボニーの謎☆☆☆☆☆ ネリーの秘密☆☆☆☆☆ ジャマイカ☆☆☆☆☆

サーティーナイン・クルーズ 9  海賊の秘宝  リンダ・スー・パーク/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

<リンダ・スー・パーク>
1960年、アメリカ・イリノイ州生まれ。韓国系アメリカ人2世。2002年、"A Single Shard"で、ニューベリー賞を受賞。ニューヨーク在住。

<小浜杳>
1973年横浜市生まれ。東京大学英語英米文学科卒。書籍の翻訳以外に、映画字幕翻訳も手がける。訳書に「ゴール」「ゴール!2」(イーストプレス)「ジョージとの日々」(ダイヤモンド社)ほか。

サーティーナイン・クルーズ 9  海賊の秘宝  リンダ・スー・パーク/著 小浜杳/訳 HACCAN/イラスト メディアファクトリー KADAKAWA

 アメリカからやってきた、ヤングアダルトアドベンチャー小説、「サーティーナイン・クルーズ」シリーズの第9巻。原書タイトルはThe 39 Clues:Storm Warning .初版は2010年。日本語版初版は2011年です。

 この物語は、全体構成と第1巻を「パーシー・ジャクソンシリーズ」のリック・リオーダンが担当し、それぞれの巻は別々の作家が担当するという集団創作方式を採用しています。また、シーズン1が終了すると、シーズン2、3と続いています。アメリカのテレビドラマの形式を採用したようです。

 アメリカの長期連続テレビドラマは「ショーランナー」と言う作家が、全体構成や世界観、キャラクターの基本設定を決め、その人が創った世界観やあらすじをもとにして、多数のシナリオライターが分業する方式をとっています。これによって、全体の世界観やテイストの統一をはかります。日本でも、日曜朝のアニメーションや特撮シリーズはこの形式をとっているようです。

  小説では、この「サーティーナイン・クルーズ」のほかにも、アメリカで90年以上愛されている少女探偵「ナンシー・ドルーミステリ」や、ドイツのSF「宇宙英雄ローダンシリーズ」、日本では「グイン・サーガ」シリーズが作者の死後この方式で継続中です。

 現在市場では第1巻と第7巻が入手困難で、あとは買えるようです。第1巻と7巻も中古なら手に入ります。以前品薄だった10巻は入手できるようになったので、時々重版しているようです。面白い物語なので、電子化希望。

 お話が完全に続いているので、まずは、第1巻「骨の迷宮」からお読みください。第1巻のレビューはこちら

 今回の歴史ミステリーは、カリブ海の女海賊アン・ボニーと、ジャマイカの逃亡奴隷のリーダー、グラニー・ナニー。
 海賊の宝の中に、ケイヒル一族の手がかりがあると信じ、バハマからジャマイカへと渡ってきたエイミーとダン。
 そこで、彼らは、一族の手がかりの小さな箱を見つけます。

 シーズン1の完結間近ということで、ミステリアスなスーパー姐さん、ネリー・ゴメスの正体があきらかになります。
 小さなものから大きなものまで、自動車から小型飛行機まで乗り物は何でも操縦できるネリー。困ったときには絶対に助けてくれる、頼もしいお姉さんのネリーは、もしかしたらエイミーとダンを裏切っているのかも……。

 前回のお話では、エイミーとダンがケンカをしてしまい、別れ別れになってから再会し、もういちど結束すると言う話でしたが、今回は、ネリーとエイミー・ダンきょうだいの関係にひびが入ってしまいます。

 はたして、彼らの信頼関係はもとにもどるのか?そして、このレースの秘密は?

 ……というのが、今回のあらすじ。

 多数のキャラクターが、複数の陣営に入り乱れて戦うと言う構図は、リック・リオーダンの得意技。「パーシー・ジャクソン」もそれが魅力ですが、「サーティーナイン・クルーズ」もシーズン1のラストに向けて盛り上がってまいりました。

  ひとつひとつのエピソードに、歴史ミステリーがちりばめられているのも魅力です。
 そして、最初は冒険とアクションだけだった物語に、だんだんと心理描写が追加されてゆき、裏切りと和解など、複雑な人間模様が語られるようになりました。

 もともと、このお話は、親戚同士がルール無用のレースをすることで、騙し騙され、出し抜きあうお話で、関係が近ければ近いほど信用できないという、殺伐とした側面があります。

 今回は、その乾いた人間関係が逆転する兆しが見えてきました。この、血で血を洗う、ケイヒル一族の不幸の連鎖を、エイミーとダンは止められるのでしょうか?

 この「ただ単に家族とか親戚と言うだけでは、人は信用できない。しかし、ともに苦難を乗り越えれば、赤の他人でも家族とかわらない信頼や結束が得られる」と言うテーマは、神々と人間との混血児たちが争いあう「パーシー・ジャクソンシリーズ」にも通じるものがあります。シリーズ構成をしたリック・リオーダンのポリシーなのかもしれません。

 字はほどよい大きさで、文章も読みやすく、簡単な漢字以外には手厚く振り仮名が振ってあるので、小学校中学年から。
 登場する歴史上の人物をインターネットで調べたり、地球儀で移動ルートを確認すると、より楽しさが味わえます。

 この、歴史ミステリーと移動ルートを地図で確認する要素は「パーシー・ジャクソン」にもあり、わくわくする気持ちを盛り上げてくれます。保護者目線で見ると、知育要素もあるのがうれしいところ。
 アン・ボニーは「ワンピース」のキャラクターのモデルにもなっているので、調べてみると楽しいかもしれません。

 巻末には「エイミーのリサーチノート」として、毎回の歴史人物のメモが、また「クルーズ・クエスト」として、ほかの手がかりのヒントなどが掲載されていて、これもクイズ感覚で面白い。

 エイミーとダンと一緒に世界中を旅しているつもりになれる、アドベンチャー小説。
 長く楽しめるので、寒い季節のおうち時間にぴったり。図書館で借りるのもおすすめですよ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 気をつけて書かれているので、残酷シーンや流血シーンなどのネガティブな要素はありません。ハリウッド映画のような疾走感あふれるアドベンチャー小説です。
 主人公が姉と弟なので、女の子でも男の子でも楽しめます。

この本の続きはちら

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