【ムジナ探偵局】妖怪がらみの事件はムジナ探偵におまかせ。ミステリアスな事件簿第3巻【闇に消えた男】【小学校中学年以上】

2022年8月1日

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ムジナ探偵局 闇に消えた男 富安陽子/作 おかべりか/画 童心社

へんてこ横丁のつきあたりの古本屋「狢堂」にはもう1枚、奇妙な看板がありました。それは「狢探偵局」。店主は嶋雄太朗。愛称はムジナさん。狢(むじな)とは、人を化かす狸のこと。今日もムジナさんのもとに、怪事件が舞い込みます……

この本のイメージ 妖怪☆☆☆☆☆ 推理☆☆☆☆☆ 名探偵☆☆☆☆☆

ムジナ探偵局 闇に消えた男 富安陽子/作 おかべりか/画 童心社

<富安陽子>
富安 陽子(とみやす ようこ、1959年2月15日~)は、日本の児童文学作家。東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。25歳でデビューし、1989年「クヌギ林のザワザワ荘」で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、2000年「空へつづく神話」でサンケイ児童出版文化賞を受賞。「やまんば山のモッコたち」はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。2011年、「盆まねき」で第49回野間児童文芸賞、第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2021年、「さくらの谷」で第52回講談社絵本賞を受賞。(wikipediaより)

<おかべりか>
1950年埼玉県に生まれる。オリジナル作品に「よい子への道」「よい子への道2」「とちめんぼう劇場」「やきゅうじょうにいこう」(福音館書店)「しずちゃんのおつかい」(ひかりのくに)「おだんごちゃん」(童心社)など。挿絵に「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)「やまんば妖怪学校」シリーズ、「おばけやさん」シリーズ(偕成社)「はっけよい鯉太」(フレーベル館)「空を飛んだポチ」(講談社)「日本のわらい話」(ポプラ社)など多数。

ムジナ探偵局 闇に消えた男 富安陽子/作 おかべりか/画 童心社

 「ムジナ探偵局」は「天と地の方程式」「シノダ!」など、日本神話や日本の妖怪をテーマに、独特のファンタジーを書き続ける富安陽子先生の人気シリーズ。第3巻「闇に消えた男」は2007年出版です。

 お話は、それぞれ一冊でまとまっており、どの巻から読んでも楽しく読めるようになっているのですが、細かな設定などは、順に読んだほうがわかりやすいため、まずは第1巻からお読みになることをおすすめします。

 第1巻のレビューはこちら

  おはなしは……

 へんてこ横丁のつきあたり、「古書商 狢堂」(こしょあきない むじなどう)の看板のわきに「狢探偵局」と言う不思議な看板がかかっています。

 店主は「ムジナさん」こと嶋雄太朗。店には時々、不可思議な事件を携えて奇妙な依頼人が訪れます。

 今回は、七年前にふいに消えたお客様の行方を捜してほしい、と言う奇妙な依頼。その方は阪崎(はんざき)さんと言う男。近々、その男の妹が訪ねてくるらしい。それまでに、行方不明の男の謎を解いてほしいというのです。

 はたして、消えた男は何者なのか?そして、男はどうして消えてしまったのでしょうか?

 ……と、いうのが今回のあらすじ。

 今回のお話は、オカルトやファンタジー要素はあるけれど、がっつりミステリー。密室トリック的要素と叙述トリック要素がいい感じに混ざっています。そして、ムジナさんの推理も冴えわたる。

 妖怪や精霊など、あやかしのものは、自然霊であることが多いので、人間と自然のかかわり方が物語の深いところで絡んできます。ムジナさんの出生の秘密のことも考えると、今後、このあたりは大切なテーマになりそうな予感。

 今回も、長い時を生きる存在たちと人間の考え方の違いや感覚のズレ、そして人間の身勝手などが、事件を引き起こしていました。

 ともすれば重苦しくなりそうなテーマを、ムジナさんの相棒、小学生の源太くんとムジナさんの関係が明るくしてくれます。
 おっちょこちょいだけど明るく元気な源太くんと、ちょっぴりミステリアスなムジナさんの掛け合いが、物語の大きな癒し要素となっているのです。このギャグパートがなければ、わりと深刻なお話だったんだなとあとで気づくのですが、読んでいるときは気づかないで楽しく最後まで読めてしまう。こういうところがさすがすぎる。

 なんと、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビなので、50音が読めればがんばれば読みきれます。このボリュームで総ルビはうれしい。小学校低学年にはかなりたいへんだとは思いますが、できないことはないし、面白い物語なので、チャレンジできそうならしてみてください。ふつうは、小学校中学年から。

 お子さまが、小学校中学年と低学年のきょうだいだと、一緒に読めていいかもしれません。ファンタジーの要素とミステリーの要素が絶妙に融合していて、読み応えがあるシリーズです。ファンタジーはお子さまの想像力を育て、ミステリーは論理的に考える力を育むので、このシリーズは知育要素も頼もしい。そして、大人が読んでも、楽しめます。

 まだまだムジナさん自身の謎も明かされていません。つづきが気になる、オカルトファンタジック・ミステリー。
 和の妖怪好き、推理好きの方は、ぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。子どものための良質な児童文学です。
 巻末に叙述トリックの解説があり、国語の豆知識的な解説が面白く、大人でもためになります。

 オカルト要素、推理要素、コメディ要素など盛りだくさん。オカルト要素が推理を邪魔しない(超能力とか妖力とかがトリックではない)ところも見事で、このふたつの融合具合がすばらしい。新感覚のファンタジックミステリーです。

 読後は、渋いお茶と羊羹で、ほっと一息。

この本の続きはちら

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