【なんでも魔女商会】春を告げる二月のドレス。うきうきのファッションファンタジー第5巻。【きえた魔法のダイヤ】【小学校低学年以上】
なんでも魔女商会リフォーム支店のおさいほう魔女シルクとふつうの人間ナナは大の仲良し。ある日、ナナは何かから逃げているらしい女の子と服の交換をしますがそれがとんでもない事件に……
この本のイメージ 魔女☆☆☆☆☆ 十二ヶ月の妖精☆☆☆☆☆ ソーイング☆☆☆☆☆
なんでも魔女商会 5 消えた魔法のダイヤ あんびるやすこ/作 岩崎書店
<あんびるやすこ> 群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」シリーズなど。
本日ご紹介するのは、小学校低学年女子に大人気、あんびるやすこ先生の「なんでも魔女商会」シリーズ第5巻。初版は2005年です。
「なんでも魔女商会」は、基本的に一話完結で、どの巻を読んでもお話は通じるのですが、魔女のシルクと人間の女の子ナナの出会いが描かれている第1巻を最初に読むほうがわかりやすいでしょう。
第1巻のレビューはこちら↓
今回のお話は……
おさいほう魔女シルクが大叔母様から譲り受けた、愛用の魔法の指貫。それを使って、様々なドレスを仕立ててきました。ところが、この指貫に描かれた黒猫の目にはめこまれた魔法のダイヤが消えてしまったのです。
じつは魔法の指貫には「心」があり、すねたりへそを曲げたりすると、黒猫の目になっているふたつのダイヤが家出してしまうのだそう。前の晩、シルクが最新の指貫をうらやましがったことが原因らしいのです。
シルクとナナ、めしつかいねこのコットンは、逃げ出したダイヤを探しますが、どうしても見つからず、シルクは新しい指貫を買いに魔法市場に。
そこでナナは、何者かに追われているらしい女の子と洋服を取り替え、不思議な鈴をもらいます。
市場から帰ってきたふたりを待っていたの、十二ヶ月の妖精たち。二月の妖精が行方不明になったというのです。二月の妖精を呼び戻すために、彼女のドレスを素敵にリフォームし、年越しのダンスをみんなで踊るのが今回の目的。
さて、シルクたちは、この問題を解決することができるでしょうか……
と、いうのがあらすじ。
今回のテーマは「自分のよさを知る」。
ほかの月の妖精たちから味噌っかす扱いをされて、さみしい思いをしていた二月の妖精。ほかの月より日にちが少ないし、お祭りもなく、花も咲かず、自分のことを「いらない月」なのではないかと思っていました。
ダイヤが家出した古い指貫も、自分に自信を失っていたのかもしれません。
しかし、最新でなくても、華やかさはなくても、二月の妖精には二月の妖精だけの、古い指貫には古い指貫だけの、大切な役目や良さがあったのです。「いらない存在」なんて、どこにもないのです。
あんびる作品の魅力は、愛らしい絵柄と、おしゃれなデザイン、成長する主人公たち、そして、誰も悪者にしないほのぼのとしたストーリーです。今回も、十一ヶ月の妖精たちはちょっぴり考え無しで、毒舌なところがあったけれども、いじわるな人ではありませんでした。ここらへんが、とても好きなのです。
「なんでも魔女商会」のシリーズは、ファッションがテーマなので、おさいほう魔女シルクも、人間の女の子ナナも、毎回とてもかわいい服を着ています。シルクはメイド服に魔女帽というスタイル。今回は冬なので、白いボアのついたかわいいコートを着ています。ナナはニットのベレー帽とおそろいのマフラー、ミトン、そしてかわいいポンチョ。
シルクがリフォームした二月の妖精のドレスも素敵です。
「ルルとララ」ではお料理レシピのページがあるように「なんでも魔女商会」では、簡単なハンドメイドのページがあります。(今回はリボンとヘアピンでつくる、ヘアアクセサリー)
新年を迎えるお話なので、この季節にぴったり。
「誰にでも魅力がある」「どんな人もかけがえのない存在」がテーマの今回のお話は、自己肯定感の向上にもつながります。
おしゃれ大好きなお子さまに、おすすめのファンタジーです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。楽しくて、おしゃれで、ほのぼのとするファンタジーです。悪者がひとりもいない、優しい世界です。HSPとHSCにおすすめ。お洋服やお裁縫が好きなら、女の子にも、男の子にも。
読後は、コットンが淹れたような熱々の紅茶と、クッキーでティータイムを。
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