【ピン・ポン・バス】乗り物好きのお子さまに! バスとすごす、ほのぼのな1日を描いた絵本。読み聞かせに【2歳 3歳 4歳】

2024年3月24日

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ピン・ポン・バス 竹下文子/作 鈴木まもる/絵 偕成社

「おりるかたは ボタンをおして おしらせください」。ピンポンとなるたびに、バスはとまります。駅前のにぎやかなバス停から、いろんな人を乗せて、そしていろんな人が降りて、バスはどこへゆくのかな?

この本のイメージ バス大好き☆☆☆☆☆ 町の人々☆☆☆☆☆ バスの1日☆☆☆☆☆

ピン・ポン・バス 竹下文子/作 鈴木まもる/絵 偕成社

<竹下文子>
竹下 文子(たけした ふみこ、1957年2月18日~)は 日本の児童文学作家。夫は画家の鈴木まもる。福岡県生まれ、東京学芸大学教育学部卒業。大学在学中より執筆を行う。1978年「月売りの話」で日本童話会賞受賞。1979年『星とトランペット』で第17回野間児童文芸推奨作品賞受賞。1985年『むぎわらぼうし』で絵本にっぽん賞受賞。1994年『黒ねこサンゴロウ<1>旅のはじまり』『黒ねこサンゴロウ<2>キララの海へ』で路傍の石幼少年文学賞受賞。2009年『ひらけ!なんきんまめ』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。2020年『なまえのないねこ』で日本絵本賞、講談社絵本賞受賞。(wikipediaより)

<鈴木まもる>
1952年、東京都に生まれ。「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さしえ賞を、『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。

 「せんろはつづく」の竹下文子先生と鈴木まもる先生のゴールデンコンビの絵本、「ピン・ポン・バス」です。

 男の子って、乗り物が大好き。いや、もちろん、乗り物が大好きな女の子もいますが、男の子の乗り物好きは多いように思います。

 だから、子ども向けのアニメや特撮には電車や乗り物がたくさん登場します。乗り物が合体変身してロボットになるなど、「乗り物+ヒーロー物」は、子どもが大好きな一大ジャンルとなっています。

 この「ピン・ポン・バス」は、そんな乗り物愛、とくにバスへの愛が詰まった絵本。

 小さな子どもにとって、一人でバスに乗り、整理券を取って、ちょうどいいタイミングで「降車ボタン」を押し、お金を払って、停留所で降りる、と言うのは、一大ミッションです。ちゃんと乗って降りるまでに、確認しなければならないこと、成し遂げないといけないことが何個もあり、そして、それぞれのチェックポイントで不測の事態が発生しうるので、ドキドキしっぱなし。

 わたし自身、バス酔いするタイプだったので、小さな子どもの頃は、バスに乗った瞬間から緊張の連続でした。
 まずは、整理券をちゃんと取り、失くさないようにポケットにいれると、なるべく酔わないような席をいちはやく取らないといけません。この争奪戦に負けると、タイヤの上のいちばん酔う席に座ることになります。
 その後は、バス酔いの波がこないように祈りながら、停留所の数を数え、降りる予定の場所のちょっと前にうまく降車ボタンを押さないといけません。ボタンを押したら、降りる前に、整理券の番号を電光掲示板で確認して、お金を財布から出して、バスが止まったらすぐに出口へ歩けるようにしておかねば。

 こんな単純な手続きですが、小さな子どもには緊張の連続です。

 でも、それらを乗り越えて、バスを降りるときには、達成感でいっぱいになって、誇らしい気持ちになります。小さな子どもにとって、バスは、成功体験の詰め合わせボックスなのです。

 この絵本では、駅前の停留所からたくさんの人がバスに乗り込み、病院やお店、お寺などの前で人が降りたり乗ったりして、街から山へと走ってゆくバスの様子が描かれています。

 バスが街の赤信号で停車するところは俯瞰で、建物の前に止まるところは遠景で、また、バスの中の様子は緻密に描かれており、子どもがふだん、バスに乗るときには目に入っていないような周囲の様子を教えてくれます。幼児は、実際にバスに乗ってるときは、ちゃんとお金を払って降りることに全集中してますからね。

 運転手さんが、バスを追いかけて走ってくる人を待ってあげたり、手を振ってくれる小さな子のために少しだけスピードを落としたり、すれ違う運転手さん同士で小さな挨拶を交わしたり、忘れ物を教えてあげたりと、さりげないけれど心温まる場面もあります。

 のどかな田園を抜けて、山道を走り、終点に行くと、また始発の駅前にもどります。ああ、駅前のバスはここから来るのか、と謎が解けるわけです。

 さいごは、バスの運転席の詳しい絵でしめくくられます。これこれ、どれが何なのか、わたしも知りたかった!

 ……あのスイッチは、放送テープのスイッチだったのか!

 バスの面白さ、楽しさを知るだけでなく、ふだんバスに乗って移動している世界を、ちょっぴり遠くから見せてくれる絵本です。自分を取り巻く世界を少しだけ、俯瞰して詳細に見せてくれ、周囲の見方を変えてくれる面白さもあります。

 バスが大好きな子に、または、バスが怖くて乗れない子にもおすすめ。乗り物好きな大人が読むと、ノスタルジックな気持ちになる絵本です。

 この時期、密になることが多いバスは避けられがちですが、バス好きなお子さまは絵本で楽しみましょう。また何の心配も無く乗り物に乗って遠くに行ける時が来ますように。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。ほのぼのとした、バスの1日を描いたお話です。自分の周囲と自分が利用する区間しか知らない小さなお子さまに、バスを通じて広い世界を見せてくれる、心温まる絵本です。

 運転手さんの、さりげない優しさが、読んでいてほっこりします。読むと、バスに乗りたくなります。

 

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