【オリンポスの神々と7人の英雄】タルタロスに落ちたパーシーとアナベスは帰還できるのか?シリーズ第4巻【ハデスの館】【パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々シーズン2】【小学校高学年以上】
アラクネに引きずられて、生きたままタルタロスに落ちたパーシーとアナベス。一方、ジェイソン、パイパー、フランク、ヘイゼル、リオの五人は、パーシーたちを救出するべく、奮闘する。ギリシャ神話の神々が現代によみがえる、ファンタジーアドベンチャーシリーズ。
この本のイメージ ギリシャとローマ☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ アドベンチャー☆☆☆☆☆
オリンポスの神々と7人の英雄 4 ハデスの館 【パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々シーズン2】 リック・リオーダン/作 金原瑞人・小林みき/訳 ほるぷ出版 静山社ペガサス文庫
<リック・リオーダン>
リチャード・ラッセル・ライアダン・ジュニア(Richard Russell Riordan, Jr.、1964年6月5日 ~ )はアメリカ合衆国の推理作家、児童文学作家、ファンタジー作家。通称リック・ライアダン(Rick Riordan)。日本ではリック・リオーダンあるいはリック・ライオダンとも呼ばれている。代表作は「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」。
世の中は激動に継ぐ激動で、目が回りますね。先日までオリンピックが行われていたのに……と思うと、感情が追いつきません。けれども、オリンピックの意味をあらためて噛み締めます。
いろいろと闇が無いではないアスリートの世界ですが、やはり、「オリンピックが開催できる世界」は、貴重なのだと思います。一刻も早く世界が落ち着いて、四年後もオリンピックが開催されますよう祈ります。
さて、本日ご紹介する本は、そんな「オリンピック」の原点、ギリシャとギリシャ神話をテーマにしたファンタジー。
ギリシャ神話の神々が現代によみがえる、リック・リオーダンのファンタジー「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(Percy Jackson & the Olympians) のシーズン2「オリンポスの神々と7人の英雄」(The Heroes of Olympus)の第4巻です。
原題はThe Heroes of Olympus;The House of Hades 原書初版は2013年。日本語版初版は2014年です。
このシリーズは、シーズン1から完全にお話が続いていますので、まずは「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」第1巻「盗まれた雷撃」からお読みください。
シーズン1第1巻のレビューはこちら↓
ストーリーは……
古き神々が復活し、ガイアが冥界の扉を開けたことで、死んだ怪物たちが復活しようとしていました。そんなとき、ローマ神の子どもたちのローマ訓練所とギリシャ神の子どもたちのハーフ訓練所はガイアの陰謀で対立してしまいます。
ギリシャの神々は、ローマ神としての側面もあるため、ふたつの訓練所が対立すると、彼らは精神的に不安定になってしまい、病んでしまうのでした。このふたつの訓練所を和解・融合させようとしていたのがヘラ。
しかし、うまく行かないまま、パーシーとアナベスは、タルタロス(地獄)に引きずり落とされてしまいます。ふたりを救出し、冥界の扉を閉めるべく、ジェイソンら残りのメンバーは奮闘、パーシーとアナベスはタルタロスで生き残るべく戦います。
7人の若者たちは、過酷な戦いを経て、それぞれ成長するのでした。
ギリシャとローマ、ふたつの勢力を和解させるためには、奪われたアテナ像をローマ側の人間の手で、ギリシャ側のハーフ訓練所に返還すること。
はたして、できるのか? そして、ガイアの野望は止められるのか?
……と、言うのがあらすじ。
今回は、最終決戦の手前のお話なので、それぞれが成長します。気弱で、こどもっぽい顔つきだったフランクは強くなり、ヘイゼルは新しい能力を身につけ、パーシーとアナベスも、文字通り地獄を潜り抜けて強くなります。
リオは、心の成長を果たし、孤独だったニコは自分と向き合います。
個人的にはグローバーが再登場し、活躍してくれたのがうれしい。ちょっぴりだけどレイチェルも登場します。
お話は、かなりボリュームがあり、1冊1冊が分厚くて、凶器にもなりえる分厚さですが、面白くて読み応えがあります。
ただ、海外もののファンタジーに慣れていない方だと、キャラクターの多さやカタカナの固有名詞で混乱してしまう人も多いかもしれません。
パーシー・ジャクソンシリーズは、とくにアメリカ名だけでなく、ギリシャ、ローマの名前が入り乱れるので、いちばん混乱するのはモンスターや怪物の名前です。
わたしも、神様の名前はわかるけど、怪物の名前は知らないことが多いので、なかなかおぼえられません。もう歳なので、読むスピードも落ちていますしね……
そんなときは、メモをしたり、ふせんを活用するのがおすすめ。「本を読むときにメモなんてしたら勉強みたいで楽しくない」って方もいると思うのですが、メモやキャラクター表があると、大河ものや長編シリーズはぐんと楽しくなりますよ。
このシリーズは、親子関係や友情関係などを様々な形で描いており、一人ひとりが自分の悩みに向き合って、乗り越えてゆくのが魅力。神様だからといって万能ではないし、いつでも助けてくれるわけでもない、失敗もたくさんすると言うのも、いいのです。
また、パーシーたちのような神と人間のあいだに生まれた子は、学習障害とか、どこかふつうでないところがあり、特殊能力がある代わりに一般社会にはなじめない、と言う設定があります。これは、作者であるリック・リオーダン先生の息子さんがADHDであったため、彼のために書いた小説だから、だそう。これについては、賛否あるかもしれませんが、わたしは好きです。
神々との戦いをファンタジックに描きながら、多様性に満ちた世界を描いた冒険物語です。たいへんボリュームがあり、読み応えがあるので、おうち時間におすすめのファンタジーです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
戦闘シーンも流血シーンもあります。気をつけて書かれているほうだと思いますが、今回のタルタロス編は、今までに比べると少しハード。繊細な方だと苦手なシーンあるかもしれません。「そういうシーンがあるのだな」と身構えてから読めば大丈夫な方ならおすすめです。
ただし、キャラクターや怪物の名前がややこしいので、メモをとりながら読むとわかりやすいと思います。
作中においしそうなシチューが何度も登場するので、晩御飯はシチューが食べたくなるかも。
最近のコメント