【てぶくろ】山で落としたてぶくろの中に、森の動物たちが入って? ゆかいで愛らしい民話の絵本。【ウクライナ民話】【3歳 4歳 5歳 6歳】

2024年3月24日

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てぶくろ ウクライナ民話 エウゲーニー・M・ラチョフ/絵 うちだりさこ/訳 福音館書店

おじいさんがもりをあるいてきました。おじいさんはあるいているうちに、てぶくろをかたほうおとして そのままいってしまいました。そこへねずみがやってきて「ここでくらすことにするわ」と言うと…… 

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 動物がかわいい☆☆☆☆☆ みんな仲良し☆☆☆☆☆

てぶくろ ウクライナ民話 エウゲーニー・M・ラチョフ/絵 うちだりさこ/訳 福音館書店

<エウゲーニー・M・ラチョフ>
1906年、シベリアのトムスクに生まれる。幼年時代をバラビンスカヤ草原の大自然の中で、鳥や動物と親しんで育つ。クバン美術師範学校、キエフ美術研究所で学んだのち、1930年にキエフの出版所“クリトゥーラ"に勤め、編集者シベルスキーに子どもの本の絵について教わる。1935年からモスクワ国立児童図書出版所絵画部の編集長を務め、数々のすぐれた動物絵本を生み出す。ライプツィヒ国際図書展銀メダル、ロシア連邦共和国人民芸術家賞を受賞。主な作品に「マーシャとくま」(福音館書店)、「麦の穂」(ネット武蔵野)などがある。1997年没。

<うちだりさこ>
1928年、東京に生まれる。早稲田大学露文科卒業。1964年、ポーランドに留学。ロシア、ポーランド、チェコなどのすぐれた児童文学・昔話・絵本を翻訳、紹介した。主な訳書に、童話「きつねものがたり」「ぞうのドミニク」「ロシアの昔話」、絵本「おおきなかぶ」「マーシャとくま」「もぐらとずぼん」「しずくのぼうけん」「くった のんだ わらった」(以上、福音館書店)、「ちいさなヒッポ」(偕成社)など多数。1997年没。

 ウクライナ民話をもとにした絵本です。原題はRukavichka-An Ukrainian folktale. モスクワでの初版が1951年。日本版の初版は1965年です。

 お話は……

 おじいさんが森で、手袋を片方落としてしまいます。
 そこへやってきたのは、くいしんぼねずみ。
 雪の上に落ちていた手袋にねずみがが住みこみました。

 次にやってきたのは、ぴょんぴょんがえる。かえるも一緒に住むことになります。
 次にやってきたのは、はやあしうさぎ。「ぼくもいれて」と仲間入り。
 そこへやってきたのは、おしゃれぎつね。
 さてさて、「わたしもいれて」と、きつねも入りました。

 手袋はその度に少しずつ大きくなってゆきます。なんだかもうはちきれそう。
 次は、はいいろおおかみ、そしてきばもちいのしし、のっそりくま……

 おいおい、てぶくろはどうなるの?

 ……と、いうのがあらすじ。

 驚くべきことに、これ、全部入っちゃうんですよ! くままで。

 最初、ねずみとかえるがてぶくろに住み着いてシェアハウスにしはじめたあたりは可愛くて、ほほえましかったのですが、その後、きつね、オオカミと、肉食獣になるにつれ、「食べられちゃうんじゃないか?」「今度こそ食べられないか?」とヒヤヒヤするのですが、全部手袋に入っちゃうんですね。

 いやいや、無理でしょう! 

 って感じなのですが、見せ方がうまくて、住み着く動物が増えるたびに手袋に木の枝で造った床下とはしごが付いて、だんだん高床の家っぽく見えてきます。

 外は、寒い寒い冬。雪深い森です。

 厳しい大自然が襲い掛かる場所で、肩を寄せ合いながら、楽しく暮らす動物たち。ねずみも、うさぎも、きつねも、おおかみも、くまも。

 おじいさんの小さなてぶくろが抱く、小宇宙です。

 最後は、犬がてぶくろを見つけ、おじいさんがてぶくろを拾って、おしまい。おじいさんが見つけたときは、てぶくろはただのてぶくろに戻っていました。

 摩訶不思議なファンタジーです。

 世界があまりにも急激に変化して、つい十日ほど前に、北京でオリンピックがあったばかりだとは、信じられません。

 世界中の選手たちがお互いを称えあい、笑顔で記念撮影し、共に舞い踊ったフィギュアスケートのエキシビションは、桃源郷のようでした。

 勝者も敗者も、国境も関係なかった。

 ロシアの少女はアメリカのスーパーヒロインに扮して舞い、アラビアの美女になってジョージアの青年と踊りました。
 中国の青年と日本の青年は楽しげにくるくると回っていました。
 日本の少女はロシアの少女と微笑みあい、アメリカの少女は幸せそうに笑顔で踊っていました。
 アメリカの青年は世界中の人々の喝采と祝福を受け、彼に憧れるロシアの少女と記念写真を撮りました。

 誰もが笑顔でした。

 ほんの数時間ほどの時間でしたが、ユートピアを見せてもらいました。あまりにも、はかなく、そして美しかった。

 このおとぎ話の小さな手袋の中には、本来、喰うか喰われるかの関係の動物たちが、ぬくぬくとあったまりながら暮らしています。ちっちゃな手袋には入りそうも無い、いのししやくまさえ入ってしまいます。

 そんなことは、ありえないことではあるのですが、てぶくろにすっぽりおさまってしまった動物たちは、なんとも幸せそうで、かわいいのです。

 これから世界がどんなすがたになってゆくのか、まったくわからないけれど、人は、無力なときにも祈る事はできます。

 てぶくろの中で微笑み会う動物たちの絵を見ながら、あのはかなくも美しい時間を思い出しながら、わたしは祈ろうと思います。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。ゆかいで、可愛らしい絵本です。「なんでそうなるの?」「次はどんな動物が来るの?」と、わくわくしながら最後まで読むことが出来ます。
 絵は、リアルとデフォルメのちょうどいい塩梅。動物が二足歩行して服を着てるのですが、ピーター・ラビットのような、デフォルメ最小限のタイプです。

 服は、ウクライナの民族衣装で、これまたかわいいのです。ぜひ、読み聞かせに。また、大人の和み絵本としても、おすすめです。

 心が疲れたときは、努力してでも休息時間をとってくださいね。あまりにもきついときは、ニュースを見るのを控えましょう。あたたかいハーブティを飲みながら、お風呂上りに読むのにおすすめの絵本です。

 

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