【お屋敷の謎】ビクトリア時代の少女ステラの不思議な大冒険!出生の秘密に迫る【ステラ・モンゴメリーの冒険】【小学校高学年以上】

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お屋敷の謎 ステラ・モンゴメリーの冒険 2 ジュディス・ロッセル/作 日当陽子/訳 評論社

海辺の町での冒険を終えたステラは、幼い頃に住んでいたお屋敷に預けられました。そこには、ステラのいとこたちがいるはずです。奇妙な生物たちが生息するお屋敷とその周囲……ステラは再び怪異事件に巻き込まれます……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ ビクトリア時代☆☆☆☆☆ ゴシックホラー☆☆☆☆☆

お屋敷の謎 ステラ・モンゴメリーの冒険 2 ジュディス・ロッセル/作 日当陽子/訳 評論社

<ジュディス・ロッセル>
オーストラリア在住の作家、イラストレーター。現在までに13冊の物語を発表。さし絵、絵本の仕事は80冊を超える。オーストラリアのメルボルンで、猫とともに暮らしている。日本では「ルビーとレナードのひ・み・つ」「名探偵スティルトン ぬすまれた財宝をさがせ!」などの絵本が紹介されている。

<日当陽子>
子どもたちが読みたいと思う本を紹介したくて翻訳家に。おもな訳書に『ハリーとしわくちゃ団』、『6この点―点字を発明したルイ・ブライユのおはなし―』「リトル・プリンセス」シリーズ、「魔女の本棚」シリーズなど。

 ブログ書く時間にフィギュアスケート世界選手権女子シングルフリーだったので、ブログそっちのけで全集中してしまいましたよ。
 坂本花織選手、優勝おめでとうございます。やりました、世界のカオリサカモト!
 世界チャンピオンです、世界女王です! なんとめでたい。ショート、フリーともにすばらしかった。
 暗いニュースの多い昨今、心が洗われます。

 樋口選手、河辺選手は悔しい結果となりましたが、実力はある方々なので、来季はもっともっと活躍してくれると思います。

お屋敷の謎 ステラ・モンゴメリーの冒険 2 ジュディス・ロッセル/作 日当陽子/訳 評論社

 さて、本日ご紹介する本は、オーストラリアの作家ジュディス・ラッセルの描く、ビクトリア時代のちょっとダークなファンタジー、「ステラ・モンゴメリーの冒険」第二巻「お屋敷の謎」です。

 原題は、Wormwood Mire;A Stella Montgomery Intrigue Two.オーストラリアでの初版は2016年。日本での初版は2019年です。

 これは、一話完結の形をとってはいますが、完全に続き物なので、まずは第1巻「海辺の町の怪事件」からお読みください。
 第1巻のレビューはこちら

 ストーリーは……

 「マジェスティック・ホテル」での事件を潜り抜けたステラでしたが、2日間も行方不明になっていたことで、三人のおばさまたちはかんかんに怒っていました。
 お仕置きもかねて、ステラはいとこたちの住むワームウッド・マイアに送られます。
 そこは、ステラが幼い頃に住んでいた場所。

 小さな頃の記憶がないステラは、ワームウッド・マイアで自分の出生の秘密をさぐろうとしますが、そこは、かつての館の主が世界中から珍しい生物や植物を集めた、奇怪な屋敷だったのです……

 と、いうのがあらすじ。

「ステラ・モンゴメリー」シリーズは、ビクトリア時代の雰囲気の中、ステラという出生の秘密を抱えた少女が冒険する、ちょっとダークなファンタジー。

 ステラは魔法は使いませんが、すこしだけ特殊な能力があります。毎回、おどろおどろしい悪役が登場して、ステラを追い詰めるのですが、ステラが知恵と勇気とちょっぴりの特殊能力で切り抜けるのが魅力の物語です。

 雰囲気としては江戸川乱歩の怪奇小説を子ども向けにして、女の子を主人公にしたような感じ。ちょっとダークで、レトロで、そして、わくわくした冒険の香りもあります。

 前回は、ステラに力を貸してくれた大人もいたのですが、今回は子どもたちだけで問題を解決します。
 いとこの男の子ストライドフォースと、女の子ホーテンス。お屋敷の管理人バードックさんの息子のジェムです。

 はじめは人見知りしていたステラですが、いとこたちとだんだんと仲良くなり、ステラにも友達が出来ました。

 また、行儀作法に厳しい三人のおばさんに、「レディとしてのたしなみ」以外のことはひとつも教えてもらえていなかったステラでしたが、家庭教師のアラミンター先生から学問を教えてもらえるようになりました。

 それまでステラが読むのをゆるされていた小説は、「悪い子が不幸になってしまう話」ばかりが収録されている「ユリの庭」と言う教訓童話集だけ。
 これが、ものすごい本で、派手なリボンをつけて外出した女の子が転落人生を送ったり、親の言いつけを守らない子がヒツジに踏み潰されたり、ディナーで間違ったスプーンを使った子が落とし穴に落ちて死んだり……そんな物語ばかりが収められている短編集なのです。(しかも、ステラは暗記するくらい何度も読んでいるので、要所要所でこの本の悲惨な物語が脳裏をよぎる)

 そんな本でも「無いよりはまし」と、唯一の小説として読んでいたステラは、ワームウッド・マイアの大きな図書室に驚きます。
 行儀作法と裁縫、ピアノしか習ってこなかったステラでしたが、男の子のストライドフォースと一緒にアラミンター先生から勉強を教わることになりました。

 このアラミンター先生がかなり魅力的で、植物学の研究者で、医療にも詳しく、はつらつとしていてさわやかな女性です。
 ステラに当然のごとく勉強することをすすめ(当時の女の子は花嫁修業はさせられるけれども、勉強をさせてくれることはありませんでした)、それだけでなく、自分から読み書きを教わる以外にも「自分自身の研究」をしなさい、と言います。

 つまり、自分自身で自発的に好きな本を選んで読んでいいのよ、と言うのです。アラミンター先生に「好きな本を読むべきよ」と言われ、ずっと緊張していたステラは思わず笑顔になるのでした。

 冒険小説の主人公の女の子は、たいてい賢くて好奇心旺盛、そして、他人のピンチを放っておけない性格という三拍子になっています。ステラは少し内向的で、おせっかいな部分は少ないのですが、その分、好奇心は強く、自分の出生の秘密を解き明かすためにがんばります。

 海外の子ども向けファンタジーの女の子は、本好きなことが多く、大きなお屋敷の豪華な図書室に感動して入り浸る、と言うシーンがよく見られます。それは、昔は、女の子が読書をすることは、いいことだとされていなかったから。
 日本でも、つい最近まで「女の子が勉強して賢くなることはよくないこと」と言われていました。

 わたしたちが若い頃よく言われたのは、「男に勝とうとするなんて」とか「そんなにでしゃばらなくても」と言う言葉です。

 でも、こういった小説を読んでいて、あらためて思うのは、女の子が本を読みたいと思うのは純粋な「好奇心」であって、誰かと勝負するためではないんですよねえ。
 「チャーメインと魔法の家」のチャーメインも三度の食事より本が好きな女の子で、同じく本好きの王女様と図書室の整理に没頭しますが、それもやっぱりただ「好き」なだけ。誰かと勝負しているわけではありません。

 ここいらへんは、本を読みたい勉強をしてみたいという女の子と、世間一般の認識の大きなズレだなあ、としみじみ思います。

 堅苦しいビクトリア時代に、自分ひとりの力で危険と対決したり、謎を解いたり、冒険したり。
 成長したステラは、今度は学問をすることをおぼえ、仲間を得て、世界を広げます。

 次のお話では、どうやらステラは学校へ行くようです。摩訶不思議なファンタジーストーリーとともに、ステラの成長も楽しみです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ダークな雰囲気のするファンタジーですが、気をつけて書かれているので、残酷なシーンなどはありません。江戸川乱歩の少年小説を女の子を主人公にして西洋風にしたような、レトロファンタジーです。

 レトロな雰囲気のする子ども向けダークファンタジーが好きな方にはおすすめ。ボリュームがそこそこあるので物語を読みなれたお子さま向きです。

 読後は、ホットチョコレートでひとやすみ。

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