【なぜ あらそうの?】人はなぜ争うのか?ストレートに問いかける絵本。【子どもから大人まで】
この本には文章がありません。けれども、絵だけですべてがわかります。どうして人は争うのか、そして争いはどんな結果をもたらすのか。子どもから大人まで、すべての国の人に理解できる絵本です。
この本のイメージ なぜ争うのか☆☆☆☆☆ 争いは何を生むのか☆☆☆☆☆ 絵だけの絵本☆☆☆☆☆
なぜあらそうの? ニコライ・ポポフ/作 BL出版
<ニコライ・ポポフ>
1938年ロシアのサラトフに生まれる。外科医の父から絵を描くことを、母から音楽や詩に親しむことを教わる。10代半ばから本格的に絵画を学び始め、1962年モスクワ印刷大学を卒業。1964年より国内外の文学作品のライストで活躍する。1975年「ロビンソン・クルーソー」のさし絵でBIB世界絵本原画展グランプリを受賞。本書は1996年ベルギー児童図書評論賞に選ばれている。
毎日、ニュースを見て気が滅入る日々。自分の力ではどうにもならないことがほとんどで、できることと言えば、ささやかなことを積み上げるだけ。でも、きっと世界中にそんな人がいるのだと思います。
本日ご紹介する絵本は、偶然インターネットで見つけました。SNSで流れてきて、興味を持って手に取りまして、「いい絵本だな」と感じたのでご紹介。
文章のない絵本、「なぜあらそうの?」です。原題はЗачем? スイスで出版されました。英語圏では"Why?"と言うタイトルで出版されました。描かれたのは1995年で、初版は1996年。日本での初版は2000年です。
この絵本には文章はなく、絵だけで構成されている絵本です。しかし、ストーリーはわかりやすい。
一匹のカエルが花を持っています。そこへネズミがやってきます。
ネズミはカエルから花を奪い取ります。すると、カエルは友達を呼び、仲間たちとねずみを追い散らして、花をめちゃくちゃに摘みます。
すると、ネズミも仲間を呼んで戦車のようなのでカエルを蹴散らします。
するとカエルたちは……
彼らの争いはあっと言うあいだにエスカレートしてゆきます。
そして最終的には……
……と言うのがストーリー。
この本は、1996年にスイスで出版されてから世界のほぼすべての国で再出版され、現在でも世界中から高く評価されています。
絵だけで構成されているため、どんな国のどんな子どもたちも読むことができるシンプルな絵本ですが、おそらく戦争や紛争について最もわかりやすく表現していると思います。
社会で起きていることを小さな子どもにわかりやすく伝えるのは難しいことです。
しかし、一緒に絵本を読んで、話し合ったり、それぞれで考えたりすることはできかもしれません。
楽しい絵本ではありませんが、「どうして?」と言うお子さまの問いに、一つの答えは提示できるかもしれません。
大人と言うのは、子どもの頃思っていたほど賢くもなく、万能でもありません。
一人の人間として、できないことだらけです。
ですから、大人になってから自分の無力さを実感して、悩んだり落ち込んだりする人も多いはず。人類の歴史は長いけれど、何千年経っても人はまだ戦争もするし、克服されていない伝染病はたくさんあるし、天変地異も予測できません。
でも、そんなときでも「考えることが出来る」と言うのは、人間のよさなのかもしれないな、と思います。
わからないことに答えをくれる本ではありませんが、考えさせてくれる本です。
読んでみてはじめて知りましたが、出版はスイスですが、作者の方、ロシアの人なんですね。ロシアでこの本は今でも入手可能なのでしょうか。
オーストリア、ベルギー、ドイツ、スイスをはじめとして世界中で出版され、世界中の親子に愛されてきたロングセラーです。
世界中から「子どものための最高の本」と高い評価を受けてきました。
お休みの日、おうち時間にじっくり読みたい絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
楽しい絵本ではありません。クラシックで可愛らしい絵で、深いメッセージを伝えてくれます。言葉がなく、絵だけで表現されているので、何歳からでも読むことが出来ますが、伝えようとしていることをどう受け止めるかは、それぞれの年齢で違うと思います。大人にもおすすめです。
戦争や紛争について、子供が考え始めたときに、考えるきっかけをくれる絵本です。
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