【いちばんしあわせなおくりもの】ほんとうのまごころとは?自己肯定感を高める絵本【絵本】【4歳 5歳 6歳】

2024年3月27日

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いちばんしあわせなおくりもの 宮野聡子/作・絵 教育画劇

もりのはずれに、ふたつのいえがありました。くまくんとこりすのいえです。こりすはくまくんが大好き。こりすは、くまくんにおくりものがしたいけれど、なにをきいても、くまくんはなにもほしがりません。なぜって、それはね……

この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 無条件の愛☆☆☆☆☆ しあわせとは☆☆☆☆☆ 

いちばんしあわせなおくりもの 宮野聡子/作・絵 教育画劇

<宮野聡子>
1976年、東京都生まれ。女子美術短期大学情報デザイン科卒業後、グラフィックデザイン会社、子どもの本専門店勤務を経て、絵本作家となる

 初版は2016年。
 可愛らしい絵本です。

 おはなしは……

 くまくんとこりすは大の仲良し。こりすは大好きなくまくんのために、おくりものをしたいと思います。
 自転車はどうかな? セーターはどうかな? 花束はどうかな?
 こりすくんは、思いつく限りを提案しますが、くまくんはなにも欲しがりません。

 あまりにもくまくんが何もほしがらないので、こりすはしょんぼりしてしまいました。

 でも、くまくんは、こりすくんと一緒にいるだけで幸せだったのです。
 くまくんは、こりすと一緒に「なんにもしないこと」がいちばん幸せだといいます。

 くまくんとこりすはさわやかな風を感じながら、一緒に夕日をながめるのでした……

 ……と、いうのがあらすじ。

 今、話題の自己肯定感。
 これは、自己正当化や自己愛、自己中心主義とはちがい、自分の土台からまるっと自分を受け入れることです。
 健全な自己肯定感がある人は、失敗を恐れぬチャレンジ精神があり、自分も他人も肯定することが出来ます。

 混同されがちなのですが、「肯定」とは「認める」という事で、「甘やかし」や「わがままを許す」ことではないのです。「許す」と言うより、どちらかと言うと「受容する」と言うほうがニュアンスとして近いと思います。

 これは、無力で何も出来ない赤ちゃんのときに、親に守られ、愛されることによってはぐくまれるもの。
 なぜなら、赤ん坊と言う存在は、まったく役に立たず迷惑をかけるばかりで、物理的な「価値」を生み出す存在ではないからです。「損得」でだけ考えれば、赤ちゃんを育てている親には負担しかありません。

 それでも、「この子がいるだけで幸せ」と感じる、それが「無条件肯定」です。

 人の好き嫌いの感情を乱暴に分類すると、「いるだけで嫌」と言うのが「無条件否定」。これはもうどうしようもなく嫌われているということです。「嫌なところはあるけれど、そこを直してくれれば好き」というのは「条件付否定」です。わりと一般的な「嫌い」の感情はこれではないでしょうか。

 そして、「こういうところがあるから好き」と言うのは「条件付肯定」です。
 これも、一般社会でわりと多い感情です。「自慢させてくれるから」「プレゼントをくれるから」「やさしくしてくれるから」「いい子で手がかからないから」「お手伝いをしてくれるから」「下の子の面倒をよく見るから」などなど……

 そして、最後に、最大級の「好き」は、「あなたはそこにいてくれるだけでいい」という無条件肯定です。

 「理由なんかない、あなただから大好き」と言う絶対肯定、そして「何かをしてくれなくても、そばにいてくれるだけで幸せ」と言う無条件肯定のふたつを幼児期にもらって育った子どもは、確かな自己肯定感をはぐくむことができます。
 このふたつの愛情は、どちらも、生まれたばかりの無力な赤ん坊が親からもらう愛情なのです。

 日本人は、この自己肯定感が低い人が多いと言われています。

 それは、日本人の子どもに対する愛が少ないということではなく、愛情をあからさまにすることが苦手だからと思われます。だって、日本人はもともと情が深くて優しい人が多いですから。

 しかし、そうは言っても日本人はなんでもないときに子どもに愛情を示すのが苦手です。子どもが100点をとったとか、かけっこで一等賞になったとか、特別なときにほめることはできるけれども、なんでもないときに褒めたら親ばかみたいと思う人も多いのではないでしょうか。

 また、甘やかしてばかりいると、子どもがダメになってしまうという心配もあるでしょう。もちろん、𠮟ることは、とても大切な行為だと思います。

 ただ、子どもが良いことをしたときに褒め悪いことをしたときに𠮟る、それだけを続けていると子どもの脳が誤解をしてしまい、「よい子でないと愛されないのではないか」「失敗すると愛されないのではないか」と、間違った認識が無意識に残ってしまうことがあるのです。

 それを避けるために必要なのが、「絶対肯定」「無条件肯定」。……なのですが、これを言葉に出せる日本人は……なかなかいない気がします。だって、口下手な日本人には難しいですものね。

 そんなとき、力になってくれるのが絵本です。
 絵本には、子どもに必要な言葉がちゃんと入っています。小さな頃から読み聞かせをすれば、知らず知らずのうちに子どもの心に届くはず。

 このブログでは、子どもの自己肯定感を育てる言葉の入った絵本を定期的にご紹介していますが、今回の絵本は「あなたがそこにいるだけで、なんにもしなくても幸せ」と言うストレートな言葉が入っています。

 しかも、くまくんとこりすの絵も愛らしく、ほのぼのとしていて幸せな気持ちがしみじみと伝わってきます。

 大きな肉食獣と小動物の友情というのは、現実の動物界ではありえないことなのですが、絵本で読むとそんな現実も忘れて心からあたたかい気持ちになれるのです。

 お子さま、お孫さんへのプレゼントに、読み聞かせに、そして、心が疲れた大人の和み絵本としても。
 無条件の、無償の愛を、ど直球で伝えてくれる絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。ネガティブな要素はいっさいありません。無償の愛に満ちた、やさしい物語の絵本です。
 小さなお子さまだけでなく、大人の和み絵本としても、そして、プレゼントにもおすすめです。

 読後はパンケーキが食べたくなるかもしれません。

 

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