【あめのもりのおくりもの】雨の季節、あじさいを見に行こう。クマとヤマネのほのぼの友情物語絵本【おおきなクマさんとちいさなヤマネくん】【4歳 5歳 6歳】

2024年3月28日

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あめのもりのおくりもの おおきなクマくんとちいさなヤマネくん  ふくざわ ゆみこ/作 福音館書店

ある雨の日、クマさんのもとにヤマネくんが「なないろ谷のあじさいが満開らしいよ。見に行こうよ」と誘いに来ます。けれど、外では雷が光っていて、クマさんは怖くて出かけられません。すると、ヤマネくんはクマさんのためにひとりであじさいの花をとりに出かけるのでした……

この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 雨の季節☆☆☆☆☆  友情とは☆☆☆☆☆

あめのもりのおくりもの おおきなクマくんとちいさなヤマネくん  ふくざわ ゆみこ/作 福音館書店

<ふくざわゆみこ>
東京生まれ。絵本作家。主な絵本に「ぎょうれつのできるパンやさん」「ぎょうれつのできるチョコレートやさん」他、ぎょうれつのできるおいしいえほんシリーズ(教育画劇)、「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」「ブルくんとかなちゃん」シリーズ(福音館書店)など多数。

  ふくざわゆみこ先生の、のんびりなクマさんと無鉄砲なヤマネくんのコンビの絵本です。初版は2006年です。

  このシリーズ、どれから読んでもかわいらしいのですが、もし、第一作からお読みになりたい場合は、まずは「もりいちばんのおともだち」からお読みください。

 「もりいちばんのおともだち」のレビューはこちら

 とある森に住むおおきなクマさんと、小さなヤマネ(ねずみに似たげっ歯類の動物)くんは大の仲良し。ふたりはいつも自分のことより相手のことを優先する大親友です。

 さて、今回のストーリーは……

 雨の季節、なないろ谷のあじさいが満開です。ヤマネくんはクマさんと一緒に見に行きたくて、雨のなか、クマさんを誘いに来ました。

 けれど、クマさんは雷が怖くて出かけることができません。ヤマネくんは一人でクマさんのためにあじさいを取りに出かけました。

 ところが、なないろ川があふれて水がクマさんの家に流れ込んできます。洪水がおきていたのです。
 クマさんは、なないろ川の上流のなないろ谷に出かけたヤマネくんを心配して飛び出しました。

 上流に行くと、あじさいの花を取ろうとしたヤマネくんが、いまにも川に落ちそうになっています。

 危機一髪でヤマネくんを救ったクマさんは……

 ……と、いうのがあらすじ。

 身体の大きなクマさんは、気弱で雷が怖くて外へ出ることが出来ません。でも、大好きなヤマネくんのためなら勇気が出るのです。

 と、これはこの物語のクマさんの性格ですが、実際にはクマは山では何よりおそろしい生物ですよね。顔がかわいらしいので誤解されやすいですが、山で出会ったら死を覚悟しなければならない動物がクマ。

 なので、ヤマネくんより度胸のないクマさんは、現実にはありえないのですが、そんなこと言い出したら小動物とクマが仲良くしているのがありえないですからね。

 そこは、突っ込んじゃいけないのが動物ファンタジー。

 動物ファンタジーは科学的視点で見るとありえないことばかりなのですが、これは様々な人間の比喩だと思うとすんなり受け入れることが出来ます。身体が大きいけど心優しい人、体格は小さいけどすばしっこくて勇気がある人などなど、動物ファンタジーは多様性の物語なのです。

 クマさんは自分のためだとまったく勇気が出ない怖がりなのですが、他人のためには力を出すことが出来ます。大好きなヤマネくんのためなら、怖いものなんてありません。本当なら近くに雷が落ちただけでも布団をかぶってしまう怖がりなのに、ヤマネくんが死にそうだと思ったら激流の中に足を踏み入れて助けることもできます。

 そのヤマネくんも、クマさんのために雨の中川の上流にあじさいを取りに行くことが出来るのです。
 お互いがお互いのためになら勇気も力も出せる。まさにベストコンビですね。

 このふたりは、互いがそれぞれ自分にはないものを持っているのに相手に対して余計なコンプレックスは持たないし、そのうえ自分ができて相手にできないことがあっても文句も言わない。

 相手を自分にあわさせようとするのではなく、つねにそれぞれが「相手のために何ができるか」を考える関係なのです。こういう友情、見習いたいものです。

 クマさんとヤマネくんのシリーズを読んでいると、「相手に何も求めない、ありのままを受け入れる友情」に学ばされることが多々あります。
 こんなにちがいすぎるふたりなのに、どちらも相手に対して「こうしてくれればいいのに」とは、ひとつも思わないんですね。そこが、本当にすばらしい。

 文章はひながなとカタカナだけで書かれており、大きめの本なのでひとり読みもできるのですが、できればこれは読み聞かせしてあげてください。友情とはなんなのか、生い立ちも見た目も性格もぜんぜんちがう人と友だちになると言うのはどういうことなのか、その理想形を見せてくれるシリーズです。

 絵がほのぼのとしてかわいらしいので、かわいいもの好きの大人にもおすすめです。大人の和み本としても。

 雨の季節、おうち時間におすすめの絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。絵本のサイズは大きめです。雨の季節をテーマにした絵本のなかで、熱い友情モノならばこれでしょう。

 友情とは相手に要求することではなく、「自分とちがう相手の個性をありのままに受け入れること」、「自分が相手に何をしてあげられるのかを考えること」と言う、大切なことを教えてくれます。

 読後は、あたたかいお茶と和菓子でティータイムにしましょう。紫陽花って和菓子があるの、ご存知でしょうか。雨の季節にぴったりです。

 

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