【精霊のなみだ】中国からやってきた不思議なファンタジー。哀しい湖の精霊の物語【トゥートゥルとふしぎな友だち】【小学校低学年以上】

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精霊のなみだ トゥートゥルとふしぎな友だち 湯湯/作 高野素子/訳 平澤朋子/絵 あかね書房

村のみんなから怖がられている藍ばあさんと仲良くなったトゥートゥル。藍ばあさんは、彼女に長い長い物語を話してくれました。それは遠い地の美しい湖の精霊たちのお話…

この本のイメージ 中国ファンタジー☆☆☆☆☆ 世にも奇妙な?☆☆☆☆☆ 大自然と人間☆☆☆☆☆

精霊のなみだ トゥートゥルとふしぎな友だち 湯湯/作 高野素子/訳 平澤朋子/絵 あかね書房


<湯湯>
1977年中国浙江省武義生まれ。自然豊かな故郷で育ち、小学校教師を経て児童文学作家に

<高野素子>
1959年大阪府生まれ。1984~1987年上海の復旦大学に留学。日中児童文学美術交流センター、中国児童文学研究会会員。おもに「虹の図書室」(日中児童文学美術交流センター)に翻訳を発表

<平澤朋子>
1982年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。

精霊のなみだ トゥートゥルとふしぎな友だち 湯湯/作 高野素子/訳 平澤朋子/絵 あかね書房

中国からやってきた、世にも奇妙なファンタジー、「トゥートゥルとふしぎな友だち」シリーズの第3巻です。本国初版は2017年。原題は……フォントがなく、表示できません……。日本での初版は2020年です。

  「トゥートゥルとふしぎな友だち」は、じゃがいも、と言う意味の名前、トゥートゥルという女の子が出会う、不思議なお話のシリーズです。
 一話完結の形をとっていますが、トゥートゥルの生い立ちなど、基本設定を知っていたほうが楽しめますので、まずは、第一巻である「真夜中の妖精」からお読みください。

「真夜中の妖精」のレビューはこちら

 今回のお話は……

 トゥートゥルの住む南かすみ村の広場のそばの小さな小屋に藍ばあさんと呼ばれるおばあさんが暮らしていました。
 凧揚げをして遊んでいたトゥートゥルの凧が藍ばあさんの小屋の屋根に落ちたことをきっかけに、トゥートゥルは藍ばあさんと仲良くなります。

 藍ばあさんは村の誰とも交流せず、一人で暮らす謎のおばあさんでしたが、トゥートゥルと仲良くなるうちに、長い長いお話を聞かせてくれるようになりました。

 それは遠い地の枯れた湖が、再び美しく満ちることを祈りながら待つ、水の精霊のお話……

 ……と、いうのがあらすじ。

 今回は、少しせつないお話です。

 第1巻の「真夜中の妖精」も、トゥートゥルと水の精霊のお話でしたが、トゥートゥルは人間以外の存在を見たり、好かれたリする能力があるようです。

 藍ばあさんと仲良くなり、遠い土地の美しい湖のお話を聞いたトゥートゥル。水の精霊たちは、ふるさとがかつての美しいすがたに戻るときを信じて、苦しみながら待ち続けていました。

 「真夜中の妖精」は、トゥートゥルの村が湖を埋め立ててしまったことで、水の精霊が去ってしまう話でしたが、今回のお話では遠くの湖が干上がってしまい精霊たちがふるさとを追われるお話でした。

 どちらも、精霊たちとふつうの人間はわかりあうことができず、トゥートゥルだけが精霊の気持ちを理解できる存在として描かれています。

 日本と同じように中国でも、文明の発達に伴う自然破壊が問題になっているのかもしれません。物語に登場する南かすみ村の様子は、とてもほのぼのとしていて牧歌的なのですが、世界中どこにでもこのような問題はあるのでしょう。

 大自然や目に見えない不思議を理解しない人間たち、そして、他者を認めず偏見でレッテルを貼る人間たち。「真夜中の妖精」の精霊は少し怖いところもある存在でしたが、今回の湖の精霊たちは人間を恨むこともありませんでした。

 わたしが子どもの頃にこれを読んだら、大泣きしてしまったかも。でも、とても優しい物語です。
 とても哀しく、せつないお話なのですが、ラストには、ほんのすこし希望が持てるようになっています。

 トゥートゥルは、普通の人には見えないものが見えると言う設定なので、最後のあの光景は彼女の空想ではなく、本当のことならいいなあ……

 ほのぼのとしていてあたたかく、そして、心に染み入る物語です。「トゥートゥルとふしぎな友だち」シリーズは、東洋的な不思議さとしみじみとした情緒、心の交流が描かれているファンタジーシリーズ。
 日本にも「羽衣伝説」や「玉藻狐」など人間と精霊の交流するお話があるので共感できるところが多く、親しみを持って楽しく読めました。(しかも、怖くない)

 字はわりと大きくて文章も読みやすいので小学校低学年からおすすめしたいのですが、残念ながら振り仮名が総ルビではないので、保護者の方が足してあげるといいかもしれません。しかし、お話はとても面白いのでおすすめです。

 日常と非日常が優しく隣り合う、トゥートゥルの物語。
 日ごろの生活の中で、不思議を探すのが大好きな子におすすめのファンタジーです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 少しせつないお話です。でも救いのあるラストになっています。HSCのお子さまは多くのことを受け取れるでしょう。目に見えないものを大切にすることや、偏見や先入観で人を判断しない、など多くの大切なメッセージが含まれています。

 読後は、中華まんと中国茶でひとやすみしたくなります。

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