【かあちゃんの取扱説明書】これさえあれば、かあちゃんは思い通り? ゆかいで楽しいファミリーストーリー【小学校低学年以上】

2024年3月28日

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かあちゃんの取扱説明書 いとうみく/作 佐藤真紀子/絵 童心社

かあちゃんは、いつもいばってて、ガミガミうるさい。ぼくはかあゃんのトリセツをつくることにしたんだ。だって、扱い方がわかれば、かあちゃんを思い通りにすることもできるかもしれないから……

この本のイメージ 子の親への愛☆☆☆☆☆ 親の子への愛☆☆☆☆☆ ほのぼのゆかい☆☆☆☆☆

かあちゃんの取扱説明書 いとうみく/作 佐藤真紀子/絵 童心社

<いとうみく>
神奈川県生まれ。フリーライター。広告から教育・保育・福祉・食関係の企画制作まで幅広く行う。「気のいい死神」で第37回JOMO童話賞優秀賞受賞。「糸子の体重計」(童心社)で第46回日本児童文学者協会新人賞受賞。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人

<佐藤真紀子>
1965年、東京都生まれ。作品に「いえでででんしゃ」「いえでででんしゃはこしょうちゅう?」「ねこじまくん」「風の森のユイ」(以上、新日本出版社)、「バッテリー」Ⅰ~Ⅵ(教育画劇)、「りんごの木」「いちばん星、みっけ!」(ポプラ社)、「なまくら」(講談社)など多数。

 かわいい本を見つけました。初版は2013年です。

 最近は、「ホームドラマ」ってあんまり見ないですよね。昔は、わりとあったんです。特にサスペンスでもミステリーでもない、なんということもないほのぼのとしたホームドラマ。

 子ども向けのドラマでも、ただ、子どもが日常の些細な問題に出会って解決するような、そんなシリーズもたくさんありました。

 これは、そんな「古きよき」雰囲気がする小説です。

 小学校低学年向けの、短い物語なのですが、大人のわたしが読むととにかくかわいい。でも、小さなお子さまが読むと「そうそう」「あるある」の連続だと思います。

 これは、お母さん(かあちゃん)についてあけすけに書いた作文を先生にほめられた主人公哲哉が、お父さん(とうちゃん)にそそのかされ、「かあちゃんの取扱説明書」を書くお話。

 「かあちゃんの取扱説明書」を本格的に書くにあたって哲哉はコーヒーメーカーの取扱説明書を参考にしました。

 ・各部の名称
 ・各種機能
 ・お手入れの方法
 ・ご使用方法

 こんなふうに。

 取扱説明書を書くためにかあちゃんを観察していると、いままで気がつかなかったかあちゃんのいいところにも気づきます。自分がかあちゃんをよく観察していると、かあちゃんも自分のことを良くみていて、気にかけてくれてることがわかってきました。
 また、「うらやましい」と思っていた親友カズくんのお母さんにも、それなりに悩みがあることもわかってきて……

 なんということもない、ほのぼのとしたお話なのですが、親子の愛にあふれています。
 子どもの親への愛、父の子への愛、母の子への愛。それが大げさではなく、さりげなく、日常のささいこことの中に描かれている……

 それなのに、ユーモアにあふれてて、ぷっと噴出してしまうようなシーンもあって。

 なんでもないときに、読んでいただきたい物語です。とにかく面白いし、大人が読んでも最高にゆかい。読み終わったら、自分でも「かあちゃんの取扱説明書」を書きたくなることまちがいなし!

 字はほどよく大きく、読みやすいフォントで、すべての漢字には振り仮名がふってあります。主人公の心情も男の子らしく、ほとんどの欲求が「ガミガミ言われたくない」と「好きな晩ごはん」で占められているのがおかしい。あはは、こんなものかも。

 また、面白おかしく書いているように見えて、「仲良くしたい相手のことをよく観察して知ろうとする」「相手の喜ぶことをする」「お願いごとを言うときのコツ」など、コミュニケーションのうえで大切なことも書かれています。

 これが、「小賢しい処世術」にはならず、ちゃんと心のこもったコミュニケーションになるまで落とし込んでいるところもすばらしい。

 肩の力をぬいて、楽しく読んで、読み終わったらしみじみほっこりする物語です。ささいなことで親子喧嘩をしてしまい、気まずいときに机の上にぽんと置いておくのもいいかもしれませんね。

 日常の小さな楽しいこと、幸せなことに気づかせてくれる物語です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。おすすめです。
 ふつうの人たちとはちがい、HSPやHSCの方は、もっと深掘りして、多くのメッセージを受け取れるのではないかと思います。

 主人公の哲哉くんとかあちゃんの心の交流はもちろんのこと、他人をよく観察し知ろうとすること、相手の喜ぶことをすること、自分の要求の伝え方など、コミュニケーションについて大切なことが書かれています。

 読後は、晩ごはんにからあげが食べたくなるかも。

 

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