【にげてさがして】逃げてもいいんだ。今、苦しみの中にいる子どもたちへのメッセージ絵本【子どもから大人まで】

2024年3月28日

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にげてさがして ヨシタケシンスケ/作 赤ちゃんとママ社

にげることははずかしいことでもわるいことでもない。きみのあしは「やばいものからにげるため」についてるんだ……  今、つらいきみへ。つらかったら、逃げていい。ヨシタケシンスケ先生の、愛にあふれたメッセージ絵本です。

この本のイメージ 逃げてもいい☆☆☆☆☆ 逃げながらさがす☆☆☆☆☆ いつかみつかる☆☆☆☆☆

にげてさがして ヨシタケシンスケ/作 赤ちゃんとママ社

<ヨシタケ シンスケ>
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。スケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表している。初の絵本作品となる『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞など数々の賞を受賞。

 ヨシタケシンスケ先生の、手のひらサイズの小さな絵本。初版は2021年。

 逃げてはいけない、立ち向かうんだ。と言うのは、よく言われる話。
 けれど、この本ではあえて「逃げていい」と書いています。

 この世にはいろんな人がいる。そのなかには、「想像力を使うことが苦手な人」がいる。そういう人に傷つけられたら、すぐ逃げること。

 君の足は「やばいもの」から逃げるためにあり、「君を守ってくれる人」を探すためにある。

 ……という、メッセージ絵本。

 「逃げていい」。これは本当に大切なことですが、なかなかそれを大人たちは子どもたちに言うことが出来ません。

 なぜかというと、やはり「自分を傷つける人がいるので引っ越したい」「転校したい」と言うのは物理的に難しい人のほうが多いし、大人たち自身も辛いから引っ越す、勤めをやめる、などはそう簡単には出来ないからでしょう。「その場で我慢する」ほうが人間は簡単なのです。

 しかし、子どもの世界はとても狭いのです。それは大人になってからわかることだけど、子ども時代はわかりません。学校に行けば、あまりにもたくさんの子どもたちがいるからです。

 こんなにたくさん子どもがいるのに、わたしはクラスの友だちたちと上手く付き合えない……。わたしをわかってくれる人はいないのかもしれない。そんなふうに悩んでしまう子は多いと思います。

 ところが、大人になってみると、「同じ地域の」「同い年」の人間ばかりがあんなに大勢で集団行動するのは子ども時代だけだと気がつきます。
 同じ地域の同じ年の子の中に気の合う子がいなくても、もしかしたら、広い世界に出れば自分と気の合う人はいるのかも、と気がつくのは子ども時代を卒業してから。

 物理的に逃げるのは、難しい場合も多いかもしれません。しかし、「逃げていい」と思えるのは、心を助けます。「逃げちゃダメだ」と思いすぎて、毎日、正面衝突して玉砕を繰り返していたら、心が壊れてしまいます。

 「同じクラスの友だちどうしなのだから、わかりあいましょう」と言われても、わかりあえない時はあります。せいいっぱいがんばって、それでダメなら逃げていいんだと言うのを、思えるか思えないかだけで、人生のつらさがかなり違います。

 これは、自己肯定感を高めるというよりも、壊れそうな自己肯定感を守るためにエールをくれる本です。

 わたしがこの本のなかでいちばん好きなのは「そのひと(自分をわかってくれるひと)はまだうまれていないかもしれない」という言葉。

 これ、本当にいるんです。そう言う人。
 「ああ、この人、生まれるのが早すぎたんだな」と言う人です。
 このサイトでもご紹介してきた、メアリ・アニングビアトリクス・ポターなど、その人が「あたりまえ」と思っていることがその時代にとっては新しすぎる人たち。彼女たちはいつも孤独でした。

 現代社会でも、たまに、発想や考え方が突拍子もなさすぎて周囲の人がついてゆけない人というのがいますよね。そう言う人は、とかく「わがまま」と言われがち。
 その人自身がそれを気にしない、マイペースな人ならいいのですが、繊細で傷つきやすい人だった場合は、理解されないことで心を閉ざしてしまうこともあります。

 また、「生まれた場所」の問題もあって、大都会に生まれていればちょっと変わった子も居場所があるけれど、人口の少ない小さな町では理解されないと言う場合もあります。

 でも、そう言ったことを全部「自分が環境に適応する力がないから」と思いすぎてしまうと、生きづらくなってしまいます。もちろん「変えられるのは自分だけ」であることは確かですが、「自分でないものになってしまう」まで自分を変えてしまう必要はないはず。

 現代は、パソコンのむこうに広い世界がひろがっている、いい時代になりました。
 自分と同じ気持ちの人は、この世界のどこかにいるかもしれません。同じ苦しみを持った人も、わかってくれる人も。
 もし、周囲の環境に適応できなくても「そんなに無理をして自分でないものになる必要は無い」「自分を壊してしまうまで変わらなくていい」と言ってくれる人も、この世界のどこかにはいるかもしれません。

 たしかに、インターネットの海には、びっくりするほど攻撃的な人もいれば、むやみに人を傷つける人もいます。どんなに努力しても誤解されることはあるし、わかってもらえないときもあります。

 でも、広いインターネットの海には、きっとわかってくれる人もいるはずです。
 今は夜の海を泳いでいるような気持ちになっていても、いつかかならず岸があり、そこに陸地があるはず。

 このブログも、そんな小さな「陸地」になりたいと思って、毎日書いています。偶然ここにたどりついた、あなたのために。

 この絵本は、一見、子どものための絵本に見えますが、何歳になっても、大人でも、老人でも、励まされるメッセージがいっぱい詰まっています。

 手ごろな大きさなので、カバーをかけて持ち歩くと、いつでも読めて元気になれます。13.5 x 0.8 x 17.2 cmという変形サイズなので、カバーをお探しの場合は、四六版の大き目のカバーをつけるか、お気に入りの紙か布で自作してみてください。

 あなたの「わかりあえる人」は、もしかしたらうんと年上かもしれないし、うんと年下かもしれない。まだ赤ちゃんで、あなたと語り合えるときを10年、15年は待たないといけないかもしれない。もしかしたら、うんと遠くにいる人かもしれない。言葉も違う人なのかも。

 でも、どこかにいるはず。そして、むこうも探していて、苦しんでいるかもしれないのです。

 頑張ろうね。今日も探そうね。
 わたしも頑張るから。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。全年齢のHSP、HSCにおすすめです。自分を辛くさせるものから、それが可能ならば「逃げていい」、そして、自分をわかってくれる人や助けてくれる人を探しに行こう。と言う、あたたかいエールに満ちた絵本です。

 この本を読み聞かせしてもらえる子どもは幸せですね。ぜひ、読み聞かせしてあげてください。

 学校や職場で苦しんでいる大切な人へのプレゼントにもおすすめです。小さくて持ち運びのしやすい絵本なので、お気に入りのカバーをかけてバッグにお守り代わりに忍ばせておき、しんどいときにトイレなどで読んでパワーチャージするのもいいでしょう。がんばって!

 

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