【ふたりはとっても本が好き!】本がもっと好きになる!読書の楽しさを教えてくれる本【小学校低学年以上】
チーターのチッタちゃんとカバのヒッポくんは本が大好き。チッタちゃんは読むのが速くてどんどん読んでしまいます。ヒッポくんはゆっくりゆっくり読むのが好き。だけどふたりは大の仲良しなのです……
この本のイメージ 読書の楽しさ☆☆☆☆☆ 読み方いろいろ☆☆☆☆☆ 本がつなぐ友情☆☆☆☆☆
ふたりはとっても本がすき! 如月かずさ/作 いちかわなつこ/絵 小峰書店
<如月かずさ>
1983年、群馬県桐生市生まれ。「サナギの見る夢」(講談社)で講談社児童文学新人賞佳作、「ミステリアス・セブンス―封印の七不思議」(岩崎書店)でジュニア冒険小説大賞、「カエルの歌姫」(講談社)で日本児童文学者協会新人賞を受賞
<いちかわなつこ>
1974年、東京都生まれ。絵本の作品に「リュックのおしごと」「リュックのピクニック」(ポプラ社)、「おつきみピクニック」(ほるぷ出版)などがある
絵本を卒業して「小説」を読むようになる、読み始めのころ、あなたはどんなふうに本を選んでいましたか? 小学校低学年のころ、どんな本をどんなふうに読んでいたかしら。
この本は、長い小説を読み始めの頃のお子さま向けの、読書がもっともっと楽しくなる本です。
チーターのチッタちゃんと、カバのヒッポくんは、本が大好き。チッタちゃんはいつも図書館でいっぱい借りて、すごいスピードでどんどん読んでしまいます。
ヒッポくんは一冊の本をゆっくりゆっくり読むタイプ。
チッタちゃんは本を読むスピードは速いけれど、読み終わったあと、感想が「面白かった」しか出てきません。ヒッポくんは、文章の細かいところまでよく憶えています。
そんなとき、夏休みの宿題で読書感想文を書くようにと言われたのです。
チッタちゃんとヒッポくんは、本は好きだけど感想文を書くのは苦手なので大弱り。でも、図書館で読書感想文のための本を一緒に選んでいるうちに、ふたりはとっても仲良くなったのです……
……と、言うのがあらすじ。
子どもの頃、自分の家には無い、たくさんの珍しい本と出会うことが出来る図書館は、貴重な場所。
まずは、学校の図書室で本を借りることに慣れてみましょう。
感受性の鋭い小さなお子さまによっては、中学生や高校生、大人も出入りする自治体の図書館は「怖い」と思う子もいます。そんなときは、小学校の図書室からはじめてみるのがいいでしょう。小学生向けの図書ばかりですから、本を選ぶのも簡単です。
慣れてくると物足りなくなるので、そうしたら図書館デビュー。
図書館には知らない本がたくさんあるし、オンラインシステムを使えば、連携している図書館からも本を借りられます。図書館でリクエストの多い本は図書館が追加購入してくれますから、本の売り上げにも貢献できます。気に入った本はおうちで買ってもらってもいいですね。
わたしの子どもの頃は、岩波書店が「ドリトル先生シリーズ」と「アーサー・ランサム全集」を毎月一冊ずつ家に届けると言うサービスをしていて、それを読むのが楽しみでした。いまでもこの二つのシリーズには格別の想いがあります。同世代で同じ経験をした人は多いのではないでしょうか。
わたしは内向的な子どもで、あまりたくさん友だちはいませんでしたが、そのかわり本をよく読む子どもでした。
今、なんらかの事情で小学校に通うことが難しい子も、本をたくさん読むことで何とかなる場合もあります。
過去の偉人にも、有名なところではエジソンなど学校教育を受けず自宅で本を読みながら独学で成功した人もいました。
このサイトでご紹介しているビアトリクス・ポターは上流階級の娘だったので家庭教師に育てられており、学校に通ったことがありません。エリナー・ファージョンはそれほど裕福な家の子どもではありませんでしたが、学校に通わず自宅の膨大な蔵書を読むことで独学で作家として大成しています。
このように、たくさん読書をすることで児童期の学校学習を補完することは不可能ではありません。(とはいえ、通えるなら学校に通ったほうがいいのですが……)
また現代でも、学校の成績がどん底だった子が、一念発起して夏休みに大量読書したことで秋以降成績が目覚しく上がったと言う事例はよく聞きます。ちょうどこれからは夏ですし、読書の夏としてみるのもいいかもしれません。
チッタちゃんは猛スピードのせっかち読書、ヒッポくんはゆっくりじっくり読書ですが、互いに相手のスタイルを否定しないのもいいところ。ふたりは、一緒に本を探して選んで、楽しいひとときを過ごしました。
ストーリーの中に図書館の利用方法も書かれており、読みながら図書館のしくみを知って、親しめるようになっています。「図書館のつかいかた」と言うパンフレットより、こういう本のほうがすんなり使い方が理解できるかも。
最初は、受付の大人のお兄さんやお姉さんに話しかけるのも怖いと思う子がいるでしょうから、まずは勇気を出すところから。
でも、図書館にいる人たちはみんな本が大好きで、「読書の楽しさ」を知っている人たちばかりですから、どの方も優しく、慣れるとどんどん通うのが楽しくなります。そして、慣れれば、本を読むことが生活の一部になってきます。
本を読んで感想を誰かに伝えると自分の内面の世界だけでなく、外側の、自分を取り巻く世界も広がってきます。チッタちゃんとヒッポくんが仲良くなれたように、ちがいすぎる者どうしも仲良くなれるのです。
お子さまを本好きに育てたい、と思うなら、絵本を卒業したら最初はこの本がおすすめです。読書の楽しさがぎっしり詰まっているだけでなく、読んでいるうちに図書館が身近に感じられてきます。
夏休みのちょっと前のこの時期、まずはここからはじめてみるといいかもしれません。もちろん、読み聞かせにもおすすめです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はひとつもありません。本好きさんどうしの友情ストーリーです。読みながら、図書館の使い方が理解できるように書かれており、読み終わると図書館で本を借りて、読んだ本について誰かにお話したくなります。
どんな読書法も否定せず、その人なりのスタイルで本を読むことを肯定してくれる素敵な本です。
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