【スパゲッティがたべたいよう】「魔女の宅急便」の角野栄子の、かわいいおばけと女の子のドタバタコメディ。スパゲッティ、食べたいよね?【角野栄子の小さなおばけシリーズ】【アッチとソッチとドッチ】【小学校低学年以上】

2024年3月29日

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スパゲッティがたべたいよう 角野栄子/作 佐々木洋子/絵 ポプラ社 角野栄子の小さなおばけシリーズ

アッチはくいしんぼうのおばけの男の子。アッチの家は、町いちばんのレストランの屋根裏です。ところが、あるおうちでおいしそうなトマトソースのスパゲッティを見て、アッチは食べたくなりました……。

この本のイメージ こわくないオカルト☆☆☆☆☆ おいしいスパゲッティ☆☆☆☆☆ つくるのは楽しい☆☆☆☆☆

スパゲッティがたべたいよう 角野栄子/作 佐々木洋子/絵 ポプラ社 角野栄子の小さなおばけシリーズ

<角野栄子>
日本の童話作家、絵本作家、ノンフィクション作家、エッセイスト。日本福祉大学客員教授。代表作は「魔女の宅急便」

<佐々木洋子>
1952年、青森県生まれ。女子美術大学卒業。「小さなおばけ」シリーズ、「ぴょんぴょんえほん」シリーズ(ともにポプラ社)で、角野栄子さんと長年コンビを組んでいる。自作の絵本に、「くまくんのあかちゃんえほん」シリーズ、『おもちおばけ』(ともにポプラ社)などがある。

 じつは初読です。
 「魔女の宅急便」で知られる角野栄子先生の小さな子どものためのオリジナル童話、「小さなおばけシリーズ」です。第一巻き「スパゲッティがたべたいよう」は、1979年初版。40年以上愛されるロングセラーです。

 

お話は……

 小さなおばけの男の子「アッチ」は、とっても食いしん坊。町いちばんのレストランの屋根裏に住み着いています。おばけのアッチは、レストランでいちずらし放題、つまみ食いし放題。

 ところがある日、あるおうちで、小さな女の子、エッちゃんがひとりでスパゲッティを作っているのを見かけました。そのスパゲッティがあんまりにもおいしそうなので、女の子をおどかしてスパゲッティを食べようとします。

 ところがこのエッちゃん、かなりの怖いもの知らず。
 知恵を使ってアッチを撃退してしまいます。

 どうしてもスパゲッティが食べたいアッチは……

 ……と、いうのがあらすじ。

 エッちゃんはおたふくかぜで学校を休んでいて、なおりかけ。お父さんとお母さんがおでかけ中にひとりで晩ごはんを作っていたのでした。

 こんなに小さいのに、ひとりでトマトソーススパゲッティがつくれるなんて、エッちゃん、すごいなあ。
 アッチとエッちゃんはこの一件で仲良しになります。そして、仲良くスパゲッティを食べたあと、アッチはエッちゃんにすすめられて自分でスパゲッテイをつくることにしたのでした。

 わたしが若いころ、レストランで注文した料理がなかなか来ないときにしていた、昭和定番の冗談を思い出します。

 「スパゲッティ、遅いね」
 「きっとパスタを切らしていて、今買いに行ってるのよ。待ちましょう」
 「けっこう遅いね」
 「トマトも切れていたのかもしれないわ」
 「玉ねぎを切らしていたのかも」
 「もしかしたら、今、麦を刈り取りに言ってるのかもしれないわね」
 「いや、麦を蒔いているのかも」
 「トマトを育てているのかもしれないね」
 「玉ねぎの収穫待ちなのかも」
 「収穫はいつかしら」

 そんなアホな会話をしているうちに、料理が来るのでした。たいていは、切らしたトマトを買いに行くくらいで料理が来るものですが、ミートソースの牛を子牛から育てるくらいまで話が発展しちゃったこともありましたねえ。懐かしい。

 なんでそんな話を思い出したかと言うと、アッチはそのレベルでスパゲッティをつくることになるからです。

 いや、どちらかというと、もはや「鉄腕DASH」の世界でしょうか。(実際にやってしまう人がいるというのが恐ろしいところです。リアルが冗談を軽く越えている……)

 さてさて、元気でユーモアあふれるエッちゃんと、おばけのアッチの物語、これからシリーズ化して続いてゆきます。わたしは初読なので、これからの展開が楽しみ。

 小さなお子さま向けの童話には、おばけの出てくるゆかいな話がいっぱい。と、言うのも、子どもの世界は未知のものでいっぱい、怖いものでいっぱいだから。

 子どもの頃は、夕暮れ時や暗闇、夜のトイレ、大きな犬、近所の怖いおじさんなどなど、怖いものがいっぱい。おばけだって本気で信じている子もいます。

 おばけの登場するゆかいなファンタジーは、子どもの「怖い」を「楽しい」に変換してくれる、やさしい魔法。「怖い」ものが「楽しい」ものになると、世界はどんどん楽しさに満ちてゆきます。

 その感覚が、子どもが知らないもの、未知のものに出会ったときの「心の予防接種」になるのです。

 いたずらばかりしていたアッチが、大好きな食べ物が食べたくて「何かを創る」ことに夢中になった結果、いたずらしなくなったのも、かわいいハッピーエンド。
 エッちゃんも小さいのにお料理上手だし、「何かをつくる」楽しさも教えてくれるストーリーです。

 字がとても大きくて読みやすく、絵本を卒業したてのお子さまにおすすめ。字の大きさは「モンスター・ホテル」と同じくらいですね。

 すべてのページに佐々木洋子先生の絵が入っているので、絵本ともいえないことはないのですが、これは「小説」としてご紹介したい。「物語」とのはじめての出会いや、長い物語の読み始めの時期におすすめです。もちろん、読み聞かせにも。

 夕暮れ時や夜のお留守番が楽しくなる「小さなおばけシリーズ」、おいしいものが大好きなお子さまに。いつかはアッチみたいにお料理上手になるかもしれませんよ?

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。楽しくて、ゆかいなおばけファンタジーです。ヒロインのエッちゃんは「おたふくかぜのなおりかけ」という設定です。

 トマトソーススパゲッテイがとてもおいしそうで、読んだ後はつくりたくなります。

 

商品紹介ページはこちら

 

 

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