【はりねずみのおいしゃさん】みんなの病気をなおしてくれる、やさしい小さなお医者さん。ふくざわゆみこ先生のほのぼの絵本【4歳 5歳 6歳】
森の病院で、動物たちの病気をなおしてくれるのは、小さな小さなはりねずみ先生。自分よりずっと大きな患者さんたちを、はりねずみ先生は優しく治してくれるのです……
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆ 病院はこわくない☆☆☆☆☆
はりねずみのおいしゃさん ふくざわゆみこ/作 世界文化社
<ふくざわゆみこ>
東京生まれ。絵本作家。主な絵本に「ぎょうれつのできるパンやさん」「ぎょうれつのできるチョコレートやさん」他、ぎょうれつのできるおいしいえほんシリーズ(教育画劇)、「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」「ブルくんとかなちゃん」シリーズ(福音館書店)など多数。
ふくざわゆみこ先生のほのぼの動物ファンタジー。初版は2018年です。
何度も波を迎えながら、また、おでかけしないほうがいい時期がやってきました。今年の夏は、例年にも増して暑いので、あまり出歩かず、人の多いところにも行かず、大人しく過ごしたほうがいいかもしれません。
今回の絵本は、お医者さんのお話。
はりねずみのお医者さんは、森の動物たちの救世主。どんな病気も怪我も断りません。
大きなくまのこやおおかみさんなどの肉食獣でもなおしてあげますし、うさぎのこが持ってきたパンダのぬいぐるみも「手術しましょう」と言って縫ってあげます。
雪の中、怪我をして飛べなくて困っていたところをたすけてもらった白鳥さんは、はりねずみ先生が大好き。怪我が治るまで、病院の受付をしながら入院していましたが……
……と言うのがあらすじ。
子どもの「嫌いな場所」に病院があります。
注射は痛くて怖いだけでなく、病院そのものの緊張した雰囲気やアルコールの匂い、待合室で待っている人たちの張り詰めた様子など、様々な要素を敏感に嗅ぎ取って「怖いところ」と認識している感受性の鋭い子どももいます。
もちろん、お子さまによっては、MRIなどのハイテク機器に目を輝かせ、様々な検査を面白がる子もまれにいますが、たいていは独特の緊張感を感じ取って、ドアを開けたあたりから気が張り詰めてしまうもの。
そういうときこそ、絵本の出番です。
絵本には、小さな子どもの「怖い」を「楽しい」や「かわいい」に転換してくれるのです。
「おばけ」を「楽しいもの」にしてくれるオカルトコメディがその筆頭ですが、この絵本のように、子どもが怖がりがちな「お医者さん」を小さくて可愛い存在にしたお話もそのような効果があります。
「なんとなく怖いところ」と言う漠然としたイメージだった「病院」は、心温まる可愛らしいお話を読んだことで、「やさしい先生がいるところ」に転換されるのです。
とはいえ、今は、病院に行くよりも自宅で体力温存を心がけたほうがいい時期でもあります。はりねずみ先生ごっこをしながら、自宅で早寝早起き、規則正しい生活、バランスのとれた食事を心がけるのもいいかもしれません。
文章はひらがなとカタカナで書かれているので、50音が読めれば、1人で読むことができますが、読み聞かせも楽しそうです。サイズが大きいので、愛らしい絵を存分に楽しめます。
本当に怖いところがひとつもなく、どの絵も可愛いので、「病院」「お医者さん」「病気」のイメージをあたたかくやさしいものにしてくれます。
この夏、おうち時間は、楽しく読書を。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。小さなお子さまが怖がりがちな病院やお医者さんを、やさしく、愛らしいものとして描いています。白鳥さんとはりねずみ先生の関係もほほえましい。
読後は、たぬきさんみたいに、かわいいパフェか、ナポリタンが食べたくなるかも。
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