【おばけと友だちになる方法】ハロウィンシーズンに。かわいいおばけと一緒にすごす楽しい絵本【4歳 5歳 6歳 7歳】

2024年3月30日

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おばけと友だちになる方法  世界傑作絵本シリーズ・カナダの絵本  レベッカ・グリーン/作 岸本佐和子/訳 福音館書店

おばけってこわい?じつは、とってもかわいくて人間と友だちになりたがっているんです。これから、おばけと仲良くする方法をお教えしますね……

この本のイメージ ハロウィンに☆☆☆☆☆ 怖くないオカルト☆☆☆☆☆ 西洋のおばけ☆☆☆☆☆

おばけと友だちになる方法  世界傑作絵本シリーズ・カナダの絵本  レベッカ・グリーン/作 岸本佐和子/訳 福音館書店

<レベッカ・グリーン>
REBECCA GREENイラストレーター、画家、ごっこ遊び発明家。子どもの本や雑誌の絵を日々(ときどき夜も)描いている。こわいもの知らずというわけではないけれど、おばけや怪奇現象にまつわることが大好き。本作は、はじめての絵本。アメリカ・ミシガン州在住。

<岸本佐和子>
翻訳家。おもな訳書に、S・タン「遠い町から来た話」、L・ベルリン「掃除婦のための手引き書」、N・ベイカー「中二階」、編訳書に「変愛小説集」「居心地の悪い部屋」「コドモノセカイ」など、著書に「ねにもつタイプ」(講談社エッセイ賞受賞)「死ぬまでに行きたい海」などがある。

 夏休みが終われば、次はハロウィン。ハロウィンシーズンにかわいい絵本のご紹介です。原題はHOW TO MAKE FRIENDS WITH A GHOST. カナダでの初版は2017年。日本での初版は2021年です。

 黒とグレーと赤で描かれた、不思議な不思議な絵本です。シーツをかぶったような、かわいいおばけと女の子がお友だちになる物語を、「おばけの取扱説明書」のような形式で描いています。

 これは、カナダの絵本なので、登場するのは西洋のおばけです。西洋では、幽霊は「恐ろしい存在」として認識されているので、ハロウィンの仮装も「かわいい系」より血まみれとか、頭に斧が刺さっていたりなどの「怖い系」が多数派です。だから、「おばけはかわいいものなんですよ」と言う絵本がより楽しいのだと思います。

 わたしたち世代が「おばけ」と言うと、藤子不二雄先生の名作「オバケのQ太郎」と言う漫画が大ヒットしていて、すでに「おばけはかわいいもの」と言う認識が生まれていました。

 おそらく、藤子不二雄先生たちは戦争体験世代なので、オカルト体験が日常的にあったのだと思います。あの世代の方と話をすると、必ず一つはそういう体験があったものでした。「戦後10年はそこらじゅうで(幽霊が)見えた」と祖母たちは話していましたね。

 きっと藤子先生たちは「怖いものだらけ」の日本を「かわいいものだらけ」にしたいと願いをこめて描いてくださったのではないでしょうか。
 「オバQ」こと「オバケのQ太郎」は、見事に子どもたちのおばけ像を「怖いもの」から「かわいくて楽しいもの」に変換してくれたのです。

 この絵本のおばけも白くてまるっとしててふわふわしてて、かわいいおばけです。
 第一部の「おばけの基本」では、主人公の女の子がおばけと出会って仲良くするまでが描かれています。

 第二部は「おばけのせわ」です。
 おばけたちの好物は「どろのタルト」や「耳あかのトリュフ」や「トーストのかびジャムぞえ」とか、ぞっとするものばかり。さすがに「作りたい」と言われたらびびってしまいますね。
 でも、女の子と一緒にお料理しているおばけは楽しそう。

 日本のおばけは生前に好きだったものをお供えすればいいだけだから、そこは楽なもんです。(一応、日本では仏壇の前にお供えされた食べ物から故人は「気持ち」を受け取って食べるので、お供えしたあとの食べ物は仏前から下げて人間が食べていいことになっています)

 さて、おばけと仲良くなった女の子はおばけと一緒に遊んだり、おふろに入れてあげたり、本を読んであげたり、一緒に寝たりします。たのしいおばけとの生活です。

 第三部は「ずっといっしょに」。
 女の子がどこへ行っても、歳をとっても、おばけはずっといっしょです。女の子がおばあさんになって、あまり元気に動き回れなくなっても、おばけは元気に一緒に遊んでくれます。
 そして……

 ……と、いうのがあらすじ。

 最初はオカルトコメディなのかな、と思って読んでいましたが、これは今流行の「イマジナリーフレンド」のお話なのだと気がつきました。

 「イマジナリーフレンド」と言うのは、自分の心の中にいる、「イメージの中の友だち」のことです。これは、くだらない遊びでもなんでもなくて、アスリートや経営者のなかでもやっている人が多い、思考を整理したり心を励ますのに有効な方法なのです。

 心の中に歴史上の偉人をイメージして困ったときにアドバイスを求めたり、もう一人の自分に意見を聞いたり、ぬいぐるみに話しかけて考えを整理したりする人は昔からいましたが(わたしもたまにします)、それがどういう存在かは人それぞれ。自分にしか見えないけれど自分の心を支えてくれる存在を設定する方法……「おばけと友だちになる方法」はあれとよく似ています。

 最近、大人気の「コウペンちゃん」もイマジナリーフレンドの風味があるなと感じています。心の中にコウペンちゃんがいて「今日も生きててすごい!」と言ってくれると心がなごみますよね。

 ハロウィンむけの、かわいくて楽しい絵本であると同時に、小さなお子さまの心を暖かくサポートする要素がいっぱい詰まっている、「コワかわいい」絵本です。

 怖いけどかわいい、怖いけど楽しい。お子さまの「怖い」を「かわいい」「楽しい」に変換してくれ、いつか歳をとって死ぬことさえ「楽しい」と思わせてくれます。白と黒とグレーと赤だけで描かれているのに、おばけがなんとも愛らしく、表情豊か。

 感受性の豊かな、やさしいお子さまにぴったり。ハロウィンシーズンにぜひ読み聞かせしてあげてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 暗闇や夕暮れ時が怖い、幽霊が怖いなど、感受性の鋭いHSCのお子さまにおすすめです。「怖い」を「かわいい」「楽しい」に変換してくれる強力な魔法の絵本です。
 読み終わったら、おばけのぬいぐるみがほしくなるかも知れません。

 

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