【まじょのむすめワンナ・ビー】ありのままの自分でいればいい。マイペース魔女っ子のほんわか絵本【小学校低学年以上】

2024年4月1日

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まじょのむすめワンナ・ビー 竹下文子/作 種村有希子/絵 偕成社

森のなかの家でワンナ・ビーはうまれました。とうさんはまほうつかい。かあさんはまじょでした。愛をいっぱい受けて育ったワンナ・ビー。でも、彼女はちょっと変わった女の子で……

この本のイメージ 自己肯定感☆☆☆☆☆ 育つスピードは人それぞれ☆☆☆☆☆ マイペース☆☆☆☆☆

まじょのむすめワンナ・ビー 竹下文子/作 種村有希子/絵 偕成社

<竹下文子>
1957年、福岡県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。
作品に「黒ねこサンゴロウ」シリーズ(偕成社)、「風町通信」「木苺通信」(ポプラ文庫ピュアフル)、「ひらけ! なんきんまめ」「旅するウサギ」「にゃんともクラブ」「ちいさなおはなしやさんのおはなし」(小峰書店)などがある。

<種村有希子>
1983年、北海道釧路市生まれ。多摩美術大学絵画学科卒業。2012年、第34回講談社絵本新人賞を受賞。受賞作である「きいのいえで」で、絵本作家としてデビューする。主な作品に「キノキノとポキのふしぎなみ」(双子の姉、種村安希子との共作)、「あのこのたからもの」、「きょう、おともだちができたの」など。東京都在住。

 魔女もの、魔法使いものが大好きなわたしがまたしてもかわいい絵本を発見。
 好みが偏りすぎじゃないかと言われそうですが、個人のブログなんだから独断と偏見でいいんじゃあああ!と開き直って書いています。

 今回ご紹介する「まじょのむすめワンナ・ビー」は、「黒ねこサンゴロウ」「なまえのないねこ」の竹下文子先生の作品。2019年初版です。
 

 お話は……

 森のなかのおうちでワンナ・ビーは生まれました。お父さんは魔法使いでお母さんは魔女でした。
 暗いところも高いところも怖がらないワンナ・ビー。

 明るくていつも笑っているワンナ・ビーをお父さんとお母さんはかわいがり、草花のこと、傷薬の作り方、ジャムの作り方、月や星、お天気のことなどたくさんのことを教えました。

 六歳になるとワンナ・ビーは魔女の学校に通うことになりました。ところが、ワンナ・ビーは魔法の勉強がとても苦手だったのです。先生の言う通りにどうしてもできないワンナ・ビーは、魔女の学校に通うことをあきらめることになりました。

 でも、ワンナ・ビーはぜんぜん気にしていませんでした。

 人間の学校に通うことになったワンナ・ビー。
 夏のキャンプで事件がおこります。みんながあわてふためくなか、ワンナ・ビーは……

 ……と、いうのがあらすじ。

 今、話題の「自己肯定感」という言葉。これは、「自分自身をまるごと肯定する」と言う意味です。
 ワンナ・ビーは、お父さんとお母さんに思いっきり愛されて育ったので、彼女のハートには愛がいっぱいつまっています。

 彼女は、魔女の学校では劣等生。ひとつも先生の言う通りにできません。けれど、ワンナ・ビーは悩むこともなく、へいちゃらです。

 ついには学校を辞めさせられてしまいますが、何も気にしていません。

 また、魔法使いのお父さんと魔女のお母さんもすばらしい両親で、「ワンナ・ビーが魔女であろうとなかろうとかわいい娘にはかわりない」と、人間の学校に通わせることにします。

 「自分たちの娘であるからには、優秀な魔女でなければ」とか思わないのです。

 そして、人間の学校でもワンナ・ビーは、いつものように窓の外を眺めたり、小さな石を拾って並べたりとマイペース。

 でも、ワンナ・ビーは劣等生でも「できない子」でもなかったのです。彼女は、キャンプの夜、悪天候に見舞われたとき、魔法の力でみんなを助けたのでした……

 「学習」や「成長」のスピードは人それぞれ。
 人は、ほかの子ができてることを自分だけできていないと、「自分はダメなのじゃないか」と悩みがちです。親も、「よその子はこれくらい簡単にできるのに……」と焦ってしまいがち。

 ところが、両親からまるっと肯定されて育ったワンナ・ビーは、そんなこと、ぜんぜん気にしていません。
そして、周囲の人がいちばん助けを必要としているときに、ちゃんと魔法が使えたのでした……。

 現実にもいますよね。授業中そわそわして窓の外を眺めてよそ見してしまったり、みんながドッジボールして遊んでいるときに校庭の隅できれいな石を拾って並べていたり。人の話を聞いてるんだか、聞いていないんだか、なんだかよくわからない、マイペースな子……。

 もしかしたら周囲の人は、「こんなにできないんだから少しは落ち込んで危機感を持てよ」と思っているのかもしれません。
 けれども、ワンナ・ビーの中には今まで学んだことはちゃんと生きていて、「ここぞ」というときに発揮できたのです。

 ワンナ・ビーは怠けていたのでもサボっていたのでもなく、ちゃんと学んで吸収していて、自分のなかでそれが成熟するまでに時間がかかっていただけだったのでした。

 ちょっぴり成長が遅めの子、早生まれの子、内向的で普通の人よりおっとりしている子など、「自分の外側のペース」になかなかあわせることができない、マイペースのお子さまにおすすめの絵本です。

 天真爛漫なワンナ・ビーに癒され、励まされます。そして、世の中の評価がどうであろうと、ワンナ・ビーをまるっと受け止めるお父さんお母さんの深い愛情にも、読んでいてあたたかな気持ちになります。

 種村有希子先生の、ほんわかとあたたかみのある絵も愛らしい。

 文章のボリュームがそこそこあるので「小学校低学年以上」としましたが、文章は漢字交じりですがすべての漢字にふりがながふってあります。

 また、これから小学校に上がるお子さまを力づけるために、読み聞かせしてあげるのもいいかもしれません。
 うまくいってもいかなくても、自分はパパとママの子なんだ、と思えると新しい環境への不安も小さくなって元気が出てくることでしょう。

 とても可愛いお話で、だいすきなので、続編があればいいなと思います。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。とくに、成長と学習のスピードが周囲と比べてゆっくりめのお子さまに。文章量が多いのですが、学校へ上がる前の読み聞かせに。
 ワンナ・ビーの天真爛漫さと自己肯定感の高さが魅力。

 内向的で、小石を集めたり、窓の外の鳥たちを眺めるのが好きだったりするお子さまにも。元気が出るお話です。

 

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