【ルルとララ】クレープを作ってみよう! おいしくって楽しい、素敵なお茶会を。【ルルとララのわくわくクレープ】【小学校低学年以上】
ある日、のねずみのフィオナが真剣な顔でやってきした。なかよしの友だち四ひきをなかなおりさせるお菓子がほしいというのです。そんな魔法のお菓子はないけれど、でも、お菓子の力でフィオナをたすけたいルルとララは……
この本のイメージ 友情の橋渡し☆☆☆☆☆ クレープの作り方☆☆☆☆☆ クレープの魅力☆☆☆☆☆
ルルとララのわくわくクレープ あんびるやすこ/作 岩崎書店
<あんびるやすこ> 群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」シリーズなど。
あんびるやすこ先生のクッキングファンタジー「ルルとララ」シリーズ。かえでの森にかこまれたメープル通りに小さなお菓子屋さんがあります。店長は、小学生のルルとララ。
髪をツインテールにしていて少し心配やさんのルルと髪をお団子にしていて元気で明るいララは、森の動物たちをお客さんに、美味しいお菓子で悩みや困りごとを解決してゆきます。
今回のテーマはクレープ。初版は2010年です。
わたしの若い頃、クレープの大ブームがおきました。お店でお上品に食べるクレープではなくて、くるくると巻いた、片手で食べるクレープです。おしゃれで新しい、流行のお菓子だったのです。
最近またクレープのブームがやってきたようで、YouTubeでクレープを頬張る若者のすがたをよく見るようになりました。
クレープってそんなに難しくはないんですよ。たしかに生地をうすーーく伸ばして綺麗に焼くのは難しいけれど、小学生でもがんばれば作れるお菓子なのがクレープのいいところ。
今回の「ルルとララのわくわくクレープ」では、クレープの作り方だけでなく、楽しみ方も詳しく説明しています。
お話は……
真剣な顔をしてルルとララの店を訪ねてきたのねずみのフィオナ。仲良しのお友だち四匹を仲直りさせたいのです。仲たがいしたお友だちを仲良くさせるお菓子はないかしら?
真剣なフィオナの頼みに、思わず引き受けてしまったルルとララですが、困り果ててしまいます。
うさぎのアーダ、かわうそのモリー、あなぐまのベティ、きつねのエルザにそれぞれ好物を聞くと、いちご、チョコレート、バナナ、チーズや野菜とみんなばらばら。
四匹の好物を全部使ったお菓子を作るなんて、ルルとララにはとても思いつきません。
そんなとき、シュガーおばさんがお土産にクレープを買ってきてくれて……
……と、いうのがあらすじ。
クレープと言うシンプルなお菓子でそれぞれの好物を包んで楽しいお茶会を開催することで、みんなが楽しいパーティーをひらくことができたフィオナ。
美味しいものを食べた四匹は、仲たがいしたことも忘れてしまいます。
そして、いつも地味で目立たないフィオナが、この五匹のグループをひとつにしていることに気づくのでした。
女の子の仲良しグループには、よくフィオナのような子がいます。
グループをまとめているのは、グループを引っ張っている華やかな女の子ではなく、みんなの愚痴を根気強く聞いているいちばん地味な女の子だったりすることがよくあるのです。
華やかないちごやチョコレート、バナナやチーズをうまく包んでまとめる、それだけでは味がしないクレープ。
シンプルで、それだけでは濃い味がないからこそ、強烈な個性をもった食材をひとつにまとめることができるのです。
そんなクレープのようなフィオナの価値に、友だちたちとフィオナ自身が気づくのが今回のお話。
小さな子どもの頃は、いちごやチョコレート、シャインマスカットのような子がもてはやされます。何か特技があって、華やかで、一緒にいると誇らしくなるような。
でも、大人になるとクレープのような子は大切です。
誰の心にも寄り添い、受け止め、励まし、嬉しいときはともに喜び幸せを二倍にし、つらいときはともに悲しみ辛さを半分にしてくれるような人の持つ力こそ「コミュ力」なのです。
フィオナはキラキラした友だちたちの魅力に目がくらんで自分の良さを見失っていました。
でも、フィオナの最大の良さは、その、友だちたちの「キラキラした魅力に気づけること」。
自己嫌悪の沼に沈んで、自分の魅力だけでなく他人の魅力も認められなくなってしまうのではなく、どんなに落ち込んでもフィオナは純粋に華やかな友だちたちが大好きなのです。
そして意地を張ってなかなおりができない四匹を心配して、誰よりも「みんな仲良くしたい」と願い、努力するのもフィオナ。フィオナがみんなをつなぐ橋なのです。
あんびる先生の物語は悪人が登場しないやさしい世界ですが、いつも大切なことを教えてくれます。
字は程よく大きく、フォントはかわいらしく、すべての漢字に振り仮名がふってある総ルビです。小学校低学年のお子さまにぴったり。そして、レシピは徹底して火を使わず、過熱は電子レンジで行います。今回はホットプレート。
また、毎回のルルとララのファッションも魅力。今回は、ブルーとホワイトのメイドさんスタイル。ルルは可愛いロングスカート、ララは軽快なショートパンツです。
おしゃれでかわいくて、おいしくて、そして、ほのぼのじーんとさせてくれる、最高のクッキングファンタジー、ルルとララ。
おせち料理やお餅に飽きたら、家族や友だちとホットプレートでクレープを焼いてみましょう。サラダやフルーツ、好きなものをまいて食べると楽しそうです。
そして、今年もみんな仲良くね!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。HSPやHSCの方に、心からおすすめです。とくに、いいことも悪いことも共感しやすく、それでいて内向的であまり表に出ることのないHSCのお子さまのほうが、気持ちがわかるかもしれません。
色々なクレープの作り方が書いてあるので、レシピ集としても役に立ちます。
読後は手づくりのクレープでティータイムを。
ルルとララのそのほかのレシピは・・・
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