【ガーガンティス】冒険の船出!少年と少女のファンタジック・ホラー冒険譚第2巻。【イアリーの魔物】【小学校高学年以上】

2024年4月5日

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ガーガンティス イアリーの魔物 2 トーマス・テイラー/作 代田亜香子/訳 長砂ヒロ(ゴキンジョ)/装画・挿絵  小学館

夏は避暑地で賑わい、冬は霧に包まれる街、イアリー。イアリーの「魔海ホテル」の忘れ物係ハービーのもとに、不気味なフードの男が忘れ物を届けにくる。やがてハービーとおてんばな少女バイオレットのふたりは、イアリーに嵐をもたらす「ガーガンティス」の謎を追って、嵐の海へ船出することになる……

ガーガンティス イアリーの魔物 2 トーマス・テイラー/作 代田亜香子/訳 長砂ヒロ(ゴキンジョ)/装画・挿絵  小学館

<トーマス・テイラー>
イギリス在住のイラストレーター兼児童文学作家。「ハリー・ポッター」シリーズのイギリスでの挿絵を描いたことで知られる。本作は作家としてのデビュー作。 

<代田亜香子>
翻訳家。訳書に「スチュアート・リトル」「屋根にのぼって」「マインド・スパイラル1 スクランブル・マインド」「マインド・スパイラル2 ミッシング・マインド」(共訳)「家なき鳥」などがある。

<長砂ヒロ>
アニメ美術背景マンとしてキャリアをスタートしたのち渡米。元ピクサーアートディレクター、現トンコハウスの堤大介、ロバートコンドー監督作品「ダムキーパー」(アカデミー賞ノミネート)にリードペインターとして参加。現在はフリーランスとして自身のプロジェクトの立ち上げ、アーティストの育成、プロデュースなど精力的に活動中。

 原題はGARGANTIS.イギリスでの初版は2020年。日本語版の初版は2021年です。

 この「イアリーの魔物」シリーズは、お話としては一話完結でどの巻から読んでもわかるようになっていますが、大きな流れはあるので、第1巻「マラマンダー」から順番に読んだほうがわかりやすいでしょう。


 「マラマンダー」のレビューはこちら

 作者のトーマス・テイラー氏はイギリスで「ハリー・ポッター」シリーズの挿絵を担当されていた方だそうです。イラストレーターが書いた小説らしく、お話がかなり映像的。
 摩訶不思議な光景が、ありありと目に浮かぶ表現力はさすがです。

 今回のお話は……

 夏は避暑地として賑わい、冬はミステリアスな霧に包まれる海辺の町、イアリー。
 イアリーの「魔海ホテル」の「忘れ物係」ハーバート・レモンのもとに、不気味なフードの男が荷物を預けに来る。それは、真珠色のとげとげした巻貝だった。

 一方、海岸では漂流物収集家のウェンディ・フォッシルが、魚の形をした不思議なビンを拾う。持ち主が不明なビンをドクター・タラシ、フォッシルさん、イアリーの漁師たちが取り合い、仲裁に入った「魔海ホテル」のオーナー、レディー・クラーケンのはからいで、ビンは忘れもの係のハービーが預かることに。

 しかし、このビンの中身が危険な冒険にハービーを誘うのだった……。

 はたして、イアリーを滅ぼすとも言い伝えられる伝説の嵐の怪物ガーガンティスは実在するのか? 不気味な貝殻の正体は? ビンの中身は?

 物語は思わぬ方向へと転がってゆく……

 ……と、いうのがあらすじ。

 「イアリーの魔物」シリーズは、男の子ハービーと相棒の女の子バイオレットが巻き込まれるファンタジック・ホラー冒険物語。

 主人公のハービーは、赤ちゃんの頃レモンの箱に乗ってイアリーの海岸に打ち上げられた、身元不明の男の子。「魔海ホテル」のオーナー、レディー・クラーケンに保護されて、ホテルの「忘れ物係」として働いています。

 その勤務態度は真面目で誠実、どんな忘れ物も大切に扱い、ルールを守ってきちんと管理する。ちょっと内気で引っ込み思案なところはあるけれど、レディー・クラーケンが全幅の信頼を置いています。

 相棒のバイオレットは、やんちゃでおてんば、好奇心いっぱいの女の子。よく確認もせず、怪しいことに突っ込んでハービーを危険にさらすこともしばしば。けれど、ピンチから助け出してくれる頼もしいところもあり、長所と短所でプラマイゼロと言う感じの子です。

 そして、この摩訶不思議な物語のスパイスになっているのが、「イアリー書方箋局」と言う、図書館のような、本屋のような、占い館のような、薬屋のような不思議な場所。

 ここでは、からくり人形の「マーモンキー」(上半身は猿で下半身が魚の妖怪)の帽子にコインをいれると、マーモンキーがその人に必要な本を「処方」してくれるのです。

 おみくじのようにマーモンキーから吐きだされた番号と記号を頼りに書棚に並んでいる本を探すと、そこには「必要な本」があるという仕組みです。

 たしかに、現実でも偶然出会った本がなんらかのヒントになることは多いから、本当にこんな場所があったら通ってしまいそう。人間に「これがいいですよ」とすすめられるより、おみくじみたいな、「ご神託」っぽいところがあるのにも惹かれるのかも。

 今回も、ハービーはマーモンキーが選んだ本をヒントに事件の謎に挑みます。

 物語は長めでそこそこボリュームがあります。
 総ルビではありませんが、難しい漢字には振り仮名がふってありますので、だいたい小学校高学年から。
 本を読み慣れているお子さま向き。しかし、文章がハービーの一人称で展開がスピーディなので読みやすいと思います。もちろん、大人も楽しく読めます。

 ミステリアスで、面白くて、わくわくして、ちょっぴり怖い、冒険物語です。ジャンルとしてはゴシック・ホラー・ファンタジーでしょうか。「ルイスと不思議の時計」シリーズがお好きなら、はまると思います。

 冬に暖かい部屋で、温かい飲み物を飲みながら読むのにぴったりのファンタジー。
 寒い週末のおうち時間にぜひどうぞ!

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ちょっぴり怖い、ゴシック・ホラー・ファンタジーです。しかし、残酷なシーンは気をつけて書かれているので、それほどではありません。流血シーンもほとんどありません。

 「そういうシーンがあるのだな」とあらかじめ身構えていれば大丈夫な方なら、楽しく読めると思います。

 読後は、フィッシュ・アンド・チップスが食べたくなるかも。または、濃い紅茶やホットチョコレートもおすすめです。

 

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