【あなたがうまれたとき】自己肯定感を高める! 子どもの成長を見守る母の気持ちを描いた、愛情いっぱいのメッセージ絵本です。【子どもから大人まで】
あなたがうまれたとき わたしはおかあさんになりました。あなたが はじめて めをあけたとき このこをまりたいとおもいました。……子どもの成長を見守るお母さんの、愛情たっぷりの絵本です。美しい絵とともに。
この本のイメージ 母の愛☆☆☆☆☆ 感謝☆☆☆☆☆ 自己肯定感☆☆☆☆☆
あなたがうまれたとき くさかみなこ/作 横須賀香/絵 小学館
<くさかみなこ>
絵本作家/イラストレーター 宮城県出身 上智大学英文学科卒業 絵本作品に「いちにちパンダ」「よるだけパンダ」(絵/大塚健太 作/小学館)、「なんのたまごかな?」「のりものいっぱい」(絵/きむらゆういち 作/東京書店)など。
<横須賀香>
東京都出身。東京藝術大学日本画科卒業、同大学院絵画科修了。幼稚園、高校、カルチャー教室などで絵画講師をつとめるかたわら、息子2人の子育てを経験するなかで、絵本の制作に興味を持つ。第32回日産 童話と絵本のグランプリで大賞を受賞した「ちかしつのなかで」(BL出版)でデビュー。埼玉県在住。
素敵な絵本のご紹介です。初版は2022年。
このサイトでは、定期的に、お子さまの自己肯定感を高める絵本をご紹介しています。
自己肯定感とは、「自分自身をまるっと肯定すること」。
よく誤解される「自信」や「自己正当化」とはちがい、自分の容姿がどうでも、失敗しても、他人からの評価が低くても、それでも自分自身の「根っこ」のところを力強く肯定することができるのが自己肯定感です。
この自己肯定感が強いと、土壇場で底力を出すことができたり、ピンチのときにめげない心が湧いてきます。心がくじけにくくなるのです。
自己肯定感は、幼少期にいちばん身近な大切な人に肯定されることで育まれます。
うまれたての赤ちゃんの頃、人は皆無力で、なんの役にも立ちません。むしろ、周囲に迷惑をかけ、負担になってばかりです。しかし、それなのに、あどけない仕草や笑顔、無邪気な笑い声などに大人は癒され、救いをもらったりもします。
この人生スタートの時期に「有能無能関係なく、役に立つ立たない関係なく、ただただ愛され必要とされる」経験が、自己肯定感の基礎となります。
昔から日本人は、謙虚で控えめな美徳はあるけれど自己肯定感が低めだと言われてきました。
日本人の礼儀ただしさは、教育の賜物ではあります。
良いことをすれば褒め、悪いことをすれば𠮟る。文字を教え、箸の持ち方を教え、礼儀をおしえ、きちんと育てる。そういう真面目なところは日本人のいいところです。
ところが、「いいことをしたら褒める」「悪いことをしたら𠮟る」「成功したら褒める」「失敗したら欠点を指摘する」だけだと、「いい子でいないと嫌われてしまうのではないか」「失敗したら嫌われてしまうのではないか」と小さな子どもの脳が誤解してしまうのです。
「でも、悪いことをしたら𠮟らないといけないでしょ? いいことをしても褒めないのはおかしいでしょ?」と言うのはごもっとも。
もちろん、悪いことをしたら𠮟らないといけないし、失敗したときには一緒に原因を探る必要もあります。
だからこそ、どんなに𠮟られても、どんなに失敗しても、「わたしは親に愛されている」と確信できることが自己肯定感なのです。
それはもっと根本的な「自分はこの世界に存在していい」「自分という命は存在しているだけですばらしい」と、心の深いところで知っているかどうか。
わたしは子供のころ、猫を飼っていました。子猫が生まれて、よそに譲ったこともありました。
猫って、かしこい猫だけじゃないですよね。どう考えても、あまり賢くないと言うか、人間の役にも立たず、家でゴロゴロしてばかりの、ねずみも捕らないような猫もいます。
たまに狩りをしたかと思えば、コウモリとか縁日のスルメとか、とんでもないものを見せにくる(だいたい、猫がイカ食べちゃだめだろう)。それでもかわいくて愛おしい。
愛情とは、役に立つ立たないではなく、成功するしないでもない。損得とは関係のないところにあるもの。
親子の愛は、その根源にあるものなのです。
でもこれは、口下手でシャイな日本人には難しい。海外ドラマのようになんでもないときに「あなたを信じているわ」とか、「おまえなら大丈夫だな」なんて言えないのが日本人。
なんでもないときにわが子に「かわいいね」とか「いいこねえ」なんて言っていたら親ばかみたいではずかしい。……そんなふうに思ってしまう方のほうが多いはず。
そんなときに絵本が強い味方になってくれるのです。
絵本には、親からの子どもへの愛情あふれる言葉があふれています。美しい絵とともに、語りかけてくれます。読み聞かせしてあげれば、それは、小さな子どもの心にまっすぐに届きます。
この絵本は、小さなわが子が生まれ、成長してゆく様子を見守る母親の視点で描かれています。
無力な赤ちゃんだった子が、すこしずつ大きくなり、笑ったり泣いたりして、やがて自分で歩くようになり、転びながらも生きてゆく。
病気になったら代わってあげたいと思い、悩んでいるときは自分も苦しい気持ちになり、喜んでいるときは自分も嬉しい気持ちになる……
字はすべてひらがなでひとり読みもできますが、この本はぜひ、読み聞かせしてあげてください。
このお話は、お母さんが主人公で、子どもが成長したすがたは女の子なので、母娘向きの本ではあります。しかし、成長したすがたになるまでは子どものすがたがわりと中性的なので、男の子でも感情移入はしやすいでしょう。
また、成長したお子さまが成人したときや、就職するとき、結婚するとき、一人暮らしするときのプレゼントにもおすすめです。
「これどうぞ!」とリボンをかけてプレゼントするよりも、何かの荷物にそっとしのばせるほうがふさわしい、そんな控えめでやさしい愛が、すべてのページに満ちています。
もちろん、大人の自分ための絵本としても。
もう親から独立して久しい人や、親と永いお別れをした人、もしかしたら母親のいない人の心にも、この絵本はしみじみとしみてくれるかも。大人の心の奥底にある、小さな子ども心をじんわりと優しく癒してくれるのです。
人には、それが目の前のほんものの母親ではなくても、イマジナリーな母性が必要です。
それが「自分はこの世に生まれてきてよかったんだ」と言う自己肯定感につながり、心の根っこを支えるのです。
アリスン・マギーの「ちいさなあなたへ」がお好きな方には、この本もおすすめです。
「ちいさなあなたへ」のような絵本で、もっと日本人的な雰囲気のリアルテイストの絵をお探しならば、ぜひこれを。
また、この絵本が気に入った方には「ちいさなあなたへ」もぜひ。
子ども、いいえ胎教から大人まで、すべての世代におすすめできる絵本です。
出産祝いに、誕生日祝いに、成人祝いに。そして、自分へのねぎらいとしても。
どうぞお手元においてくださいね。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はひとつもありません。
HSCのお子様への誕生日プレゼントに。また、HSPの方の、大人のなごみ絵本としてもおすすめです。誰かへのプレゼントにも、そして、頑張った自分へのプレゼントにも。
小さなお子様がいらっしゃるなら、毎日読み聞かせしてあげてください。大人なら、仕事でがんばった週末のお風呂上りや就寝前に、ゆっくり読むのがおすすめです。
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