【チョコレート・ウォーズ】バレンタインシーズンに! ニワトリたちのチョコレート工場の労働問題? かわいくってシビアなファンジー絵本【4歳 5歳 6歳】

2023年1月29日

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チョコレート・ウォーズ エリス・ドラン/作 三辺律子/訳  光村教育図書

ここはバニー社長のチョコエッグ工場。ニワトリたちがチョコエッグをつくるために毎日せっせと働いています。とっても儲かっているのに、社長はまだまだ儲けたいみたい。はてさて……

この本のイメージ チョコレート☆☆☆☆☆ ブラック企業☆☆☆☆☆ チームワーク☆☆☆☆☆

チョコレート・ウォーズ エリス・ドラン/作 三辺律子/訳  光村教育図書

<エリス・ドラン>
イングランド南東部のサセックスに育つ。ケンブリッジ・スクール・オブ・アートで子どものためのイラストを学び、修士号を取得。ケイト・グリーナウェイ賞、ロアルド・ダール賞など、権威ある児童書の賞にノミネートされるなど高い評価を得ている。絵本作家として活躍する一方、アングリア・ラスキン大学で若い作家の育成に努めている。ケンブリッジ在住

<三辺律子>
翻訳家。東京都に生まれる。聖心女子大学英語英文学科卒業。白百合女子大学大学院児童文化学科修士課程修了

チョコレート・ウォーズ エリス・ドラン/作 三辺律子/訳  光村教育図書

 原題はMr.Bunny’s Chocolate Factory.イギリスでの初版は2017年。日本語版の初版は2019年です。

 そろそろバレンタインシーズンなので、チョコレートにちなんだ絵本をご紹介。
 海外では「愛の日」とされ、男性から女性に贈り物をしたり、大切な人に贈り物をしたりすることが多いバレンタインデーですが、日本では女性が男性にチョコレートをプレゼントする風習になっています。

 しかし、いつからか、「第二のお歳暮」とまで言われるようになったバレンタイン。こういうのを年中行事に組み込んでしまうのが日本人のお国柄です。

 わたしにとって、バレンタインシーズンはその季節しか食べられない、限定チョコが買えるシーズン。(自分用か!)
 デパートや100円ショップの製菓コーナーも爆発的に拡張されるときなので、この季節にしか手に入らないかわいい型とかもあるんです。わたしはあんまり料理が得意なほうではないけど、美味しそうなお菓子やかわいい製菓グッズは、見ているだけで気分が上がります。

 さて、今回ご紹介する絵本「チョコレート・ウォーズ」は、卵型のカラフルでかわいいチョコレート「チョコエッグ」の工場のお話。

 チョコエッグ工場の社長さんはなんとうさぎ。そして、働いている社員さんたちは、ニワトリたちです。
 チョコエッグは、チョコレートを板チョコにしてニワトリたちに食べさせ、チョコの卵を産ませることでつくるのです。

 おいしくてかわいいチョコエッグは、大人気でバニー社長の会社は大繁盛。
 でも、強欲なバニー社長はまだまだ儲けたいと思い、ニワトリたちを無理矢理こき使います。

 昼も夜もチョコエッグをつくらされて、ニワトリたちはついに限界を超えてしまいました。ばたばたと倒れ、エッグには大量の不良品が。そして、お客様からはクレームの嵐です。

 ついに、ニワトリたちはストライキ。そして、ひとりぼっちになったバニー社長は、ひとりでも工場を動かそうとしますが……

 ……というのがあらすじ。

 絵はかわいくてゆかいなカトゥーンアニメ風。
 ニワトリたちが働くチョコエッグ工場の解剖図が、細かくて、ゆかいで、かわいいのです。ドールハウス好き、車や船の解剖図好きのお子さまにはたまらないはず。

 また、チョコレートを掻き混ぜる力仕事係のニワトリさん、工場の設備をととのえるエンジニアニワトリさん、卵を産む係のママニワトリさんたちなどなど……小さなニワトリたち一羽一羽に表情があり、それぞれの性格がよくわかります。

 これ、後半がわりと大切なので今回はネタバレしてしまいますと、バニー社長はちゃんと改心するのです。
 ただ「悪い人に罰が当たって悪は成敗されました、おしまい」と言うお話ではなくて、バニー社長がいい社長になって、みんなで力を合わせてバニーズチョコエッグファクトリーが素敵なホワイト企業になるお話なのです。

 バニー社長は社員たちの意見を聞き、いままでのやり方を改め、社内を改善します。
 どんよりしてピリピリしていた社内はカラフルで楽しい雰囲気になって、エアロビクススタジオや卓球場、カフェなどの設備もできました。ニワトリたちは毎日笑顔で働いています。

 生まれ変わったバニー社長に、ニワトリたちが「これをきてイメチェンしないと」と、黒のタートルネックセーターを持ってくるのがほほえましい(たぶんスティーブ・ジョブスリスペクト)。

 海外ドラマではベンチャー社長のトレードマークのような黒タートルネック。「イマドキの社長さん」は黒セーターっていうのは、万国共通の言語なのでしょうか。

 そして、社長室の壁に貼られている「せいさんせい(生産性)」と書かれたグラフは、昔よりずっと上昇しているのでした。

 かわいくって楽しい絵本ですが、ひとつのお話の中に「強欲はいけない」「ひとりでは何も出来ない」「チームワークが大事」「働くことだけじゃなく休むことも楽しむことも大事」「ちゃんと休んだほうが生産性は上がる」「人はやりなおすことができる」など、たくさんのメッセージが入っていて、これがなかなか味わい深い。

 でも、ひらがなとカタカナだけで書かれているので、50音さえ読めればひとりで読むこともできるのです。

 カラフルでゆかいで、そしてちょっぴり大人の世界を覗くことができるファンタジー絵本です。
 この季節、親子での読み聞かせに、おうちバレンタインのプレゼントにいかがでしょうか。
 軽~い見かけなのに、何度も読み返して楽しむことができ、読み返すたびに発見がある、侮れない絵本ですよ。

 Amazonでは最近まで新品が品薄でしたが在庫が入ったようです。バレンタインシーズンに、これは、おすすめです!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 漫画風の絵柄のかわいくてゆかいな動物ファンタジー絵本です。

 「会社」や「工場」という、大人の世界をのぞき見るような楽しさと、「チームワーク」や「無理をしない」など、人生や人間関係において大切なテーマもたくさん含まれています。

 読後は、もちろんチョコエッグでひと休み。

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