【りんごかもしれない】目の前にあるのはりんご?それとも?子どもの想像力を広げるゆかいな絵本【3歳 4歳 5歳 6歳】
ある日、学校から帰ってくるとテーブルの上にりんごがおいてあった。でも……もしかしたら、これは、りんごじゃないかもしれない。……ヨシタケシンスケ先生の衝撃のデビュー作。
この本のイメージ 荒唐無稽☆☆☆☆☆ 子どもの想像力☆☆☆☆☆ 日常を楽しく☆☆☆☆☆
りんごかもしれない ヨシタケシンスケ/作 ブロンズ新社
<ヨシタケ シンスケ>
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。スケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表している。初の絵本作品となる「りんごかもしれない」(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞など数々の賞を受賞。
絵本界の鬼才、ヨシタケシンスケ先生の衝撃のデビュー作がこちら。初版は2013年です。
テーブルの上に置いてある一個のりんごから、壮大な空想を繰り広げる小さな男の子の脳内を描いた「発想絵本」。この作品で、ヨシタケシンスケ先生は、このジャンルを確立させました。
とはいえ、「あとに続くものは出るのか?」と言うくらい、唯一無二の個性。
誰が読んでも小さな子どもの頃を思い出して「ああ、あるある」と懐かしい気持ちになるのがヨシタケワールド。
テーブルの上に無造作に置かれたりんご。
これは、りんごかもしれないけど、りんごじゃないかもしれない。もしかしたら、内側には複雑なメカが隠されてるのかも。もしかしたら、何かのたまごなのかも。もしかしたら、育てたら大きな家になるのかも。
りんごを見ながら、男の子はどんどん考えます。
これ、小さな頃、こんな遊びをしたことはありませんか?
わたしは、あります。空想ごっこ。
あそこの壁にはもしかしたら、隠しドアがあるかもしれない。あの窓を開けたら、別の世界に通じているのかもしれない。そんなことを考えていた頃が、確かにあります。
りんごひとつで、ここまで発想が広がるこの男の子、ヨシタケ先生自身の頭のなかを覗いているような楽しさ。
この絵本は、小さな子どもの無限の想像力の世界に一緒に乗っかっている楽しさがあります。なんの制限も囚われもない、空想だけの世界は、ここまで心地いい。
字はすべてひらがなで、50音が読めればお子さまひとりでも読めますが、親子で読み聞かせをして読めば、あれこれと一緒に想像できて楽しそう。
また、凝り固まった頭のなかをぐにゃぐにゃに柔らかくしてくれる絵本なので、大人のリラックスタイムに役立ってくれるかもしれません。大人が読んでも、クスっとしながら「なるほど」と思い、最後まで楽しめます。心が疲れたときの和み絵本に。さまざまな楽しみ方ができる新感覚の絵本です。
この絵本が突然出現したときは、そりゃあ衝撃だったでしょう。
斬新でありながら、誰もが持っている、小さな子どもの頃のシュールな空想遊びの記憶を呼び覚ましてくれます。この「感覚」をいまでも持ち続けていて再現できるなんて。
ヨシタケワールドの入門書かもしれない本書、子どもから大人まで、固くなった心をゆるっとふわっとゆるめたい時におすすめです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。
突拍子もない空想力で、周囲から浮いてしまいがちなHSPやHSCには共感できる絵本だと思います。とにかく楽しいし、隅から隅まで楽しめます。
読後は「これはりんごかもしれないし、りんごじゃないかもしれない」「これはバナナかもしれないし、バナナじゃないかもしれない」「これは湯飲みかもしれないし、湯飲みじゃないかもしれない」と、なんにでも「かもしれない」遊びをしてしまいそう。
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