【歴史探偵アン&リック】きっと歴史が好きになる! 最強バディが挑む歴史ミステリー第2巻。【壇ノ浦に消えた剣】【小学校中学年以上】
わたし、花畑杏珠。相棒は石松陸。ふたりで「アン&リック」。歴史にまつわる秘宝をさがすバディなの。今回はママの彼氏伝兵衛さんの頼みで唐津に来たんだけど……
この本のイメージ 歴史ミステリー☆☆☆☆☆ 凸凹バディ☆☆☆☆☆ 宝探し☆☆☆☆☆
歴史探偵アン&リック 2 壇ノ浦に消えた剣 小森香折/作 染谷みのる/絵 偕成社
<小森香折>
東京都に生まれる。「ニコルの塔」でちゅうでん児童文学賞大賞、新美南吉児童文学賞を受賞。作品に「歴史探偵アン&リック」シリーズ、「夢とき師ファナ」「時知らずの庭」「ウパーラは眠る」など、翻訳に「リスベート・ツヴェルガーの聖書物語」などがある。
<染谷みのる>
奈良県に生まれる。イラストレーター、漫画家。書籍の装画や挿絵、雑誌での漫画執筆を中心に活動
歴史にまつわる謎を解き、失われた秘宝を探す「歴史探偵アン&リック」シリーズ、第2巻は2016年初版です。
お話は一応、一話完結の形をとっておりどの巻から読んでもわかるようになってはいるのですが、アンとリックがはじめて出会いバディを組むきっかけとなった第1巻から読んだほうがわかりやすいでしょう。
第1巻「里見家の宝をさがせ!」のレビューはこちら↓
歴史と言うと、誰もが学校で年号をひたすら覚えさせられた記憶があるはず。でも、人名と数字だけ覚えていても、つまらないだけ。どうして何百年も前のことをこんなに必死でおぼえなきゃならないの……と、嫌になってしまう子もいるはず。
歴史を数字と人名の羅列だと思っていると退屈なだけ。
けれど、たくさんのキャラクターが登場する「大河小説」だと思うとこれが面白いのです。
テストの時はあんなにつまらなかった歴史も、そんな風に思うと楽しくなってきます。
あの時代、あの時、彼らはほんとうはこう思っていたのかも、こうしようとしていたのかも……そんなたくさんの「もしも」を感じさせてくれるのが歴史ミステリー。
「歴史探偵アン&リック」は、そんな歴史の「もしも」を小さな子どもにわかりやすく、そしてわくわくする冒険小説に料理して楽しませてくれるシリーズです。
今回のお話は……
里見家の秘宝を発見したことで一躍有名になってしまったアンとリック。彼女たちのもとへは全国から不思議な「秘宝」の話や相談が次々と舞い込むようになってしまいました。
そんななか、アンとママは伝兵衛さんとリックの4人で伝兵衛さんの幼馴染が経営する唐津の旅館に行くことになります。
実は、旅館のあるじ鶴田さんは唐津で力をもっていた水軍松浦党の子孫で、失われた「草薙の剣」が唐津のどこかにあると聞かされ、リックに相談したいと考えていたのです。
すでに唐津では鶴田さんのお父さんと瀬戸内大の考古学者大原先生が「秘宝」の発掘をしていました。
地元の少年、千葉航くんの協力をもらい、独自の調査をはじめるリックたち。
はたして、伝説の「秘宝」は見つかるのでしょうか?
……と、いうのがあらすじ。
アンこと花畑杏珠(はなばたけあんじゅ)は、ファッションが大好きなおしゃれな小学6年生。バディのリックこと石松陸(いしまつりく)は頭脳明晰で運動神経も抜群だけど、歴史が好きすぎる大変人。
アンはおしゃれやファッションには詳しいけれど歴史についてはぜんぜんなので、彼女が疑問に思ったことをリックが詳しく解説してくれる、と言う形でお話がすすみます。
ふたりのやりとりを読んでいるだけで、歴史好きは楽しいし歴史に詳しくなくてもマニアックな歴史知識が自然に身につくというわけ。
今回は、「平家物語」でも有名な源平の決戦時に、安徳天皇ととももに壇ノ浦に消えた草薙の剣にまつわるミステリー。この時代は大河ドラマでも放映されたばかりなので親しみがありますね。
リックの推理力だけでなく、アンの意外な才能が発揮されて、ふたりは大活躍。どんなふうに謎が解けてどんなお宝が見つかるのかは、読んでみてのお楽しみ。
文章は読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってあるわけではありませんが、ひらがながわりと多めで難しい漢字には振り仮名がふってあるので小学校中学年から。細かい章に分かれており、アンとリックの一人称で書かれた章が交互に入っているので、ふたりの視点がよくわかり読みやすい。
歴史が好きな子も歴史に詳しくない子も楽しく読める「アン&リック」。
読み終えたら、いままでより歴史が好きになっていそう。染谷みのる先生のかわいい表紙と挿絵も魅力です。
この機会にぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。明るく楽しい歴史ミステリーです。学校ではいまひとつとっつきにくい歴史について、楽しさに気づかせてくれる冒険小説です。
おしゃれ大好きな子、歴史大好きな子におすすめ。毎回、歴史ミステリーを追ってゆかりの場所をたずねるシリーズらしいので、読むと旅行に行きたくなるかも。
読後はあんみつとお茶でティータイムを。
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