【くすのきだんちは10かいだて】違うことを認めあえれば楽しくすごせる!愛されるロングセラー絵本【3歳 4歳 5歳】
もぐらのもぐは くすのきだんちのかんりにんです。もぐはこのいえが とてもきにいっています。くすのきだんち は10かいだて。もぐのへやは いっかいのもひとつした。……様々な動物たちが住む「くすのきだんち」。あたたかな風がふく絵本です。
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ ご近所付き合い☆☆☆☆☆ 助け合い☆☆☆☆☆
くすのきだんちは10かいだて 武鹿悦子/作 末崎茂樹/絵 ひかりのくに
<武鹿悦子>
武鹿 悦子(ぶしか えつこ、1928年12月20日~)は、日本の児童詩人・児童文学作家。東京生まれ。東京都立第八高等女学校卒業。1983年「詩集ねこぜんまい」で産経児童出版文化賞、日本童謡賞受賞。2014年「星」で日本児童文学者協会賞、日本童謡賞受賞。児童詩、絵本、再話、翻訳、子供向け伝記など多数を執筆している。奈良県三郷町在住。
<末崎茂樹>
1948年大阪生まれ。主な作品に「わんぱくだん」シリーズ、「やまねこせんせい」シリーズ、「おーいおばけ」「くんくんくん」「とんとんとん」「おかしなかくれんぼ」(以上、ひさかたチャイルド)、「くすのきだんち」シリーズ(ひかりのくに)、「おべんとうなあに?」(偕成社)、「ふるるるる」「ねこなんてだいきらい!」(以上、フレーベル館)などがある。
素敵な絵本のご紹介です。初版は2007年。
この絵本は「月刊保育絵本」と言う、保育園や幼稚園でしか購入することのできない絵本だったそうなのですが、あまりにも人気があるため一般にも販売されるようになったという経緯があるそうです。
読んでみましたが、なるほどかわいい。
「くすのきだんち」と言う、大きな楠木をくりぬいてつくられた団地に住む様々な動物たちの心温まるご近所づきあいストーリーです。
地下一階に住んでいるのが管理人のもぐさん。もぐらです。彼はくすのきだんちが大好きです。
一階に住んでいるのは、若い狐の音楽家です。朝晩、バイオリンの音色を聞かせてくれます。
二階と三階は仲良しのうさぎの看護師さんが住んでいます。
四階には猿の大工さんが住んでいて、窓やドアなどを直してくれます。
五階と六階は展望台つきレストラン、りすの「くるみてい」です。見晴らしが良くて素敵なレストランです。
七階と八階は空き家です。
九階にはふくろうが、十階にはももんががずっと昔からすんでいます。
さて、七階の空き家に若いかけすが引っ越してきました。やがてそこに奥さんがやってきます。
二羽はそこで卵を産んで育てることにしました。
ところが、その卵をねらって、へびが八階に住みたいと訪ねてきて……
……と、いうのがあらすじ。
へびから卵を守るために、くすのきだんちの動物たちが知恵を働かせます。
動物たちの特技は様々ですが、それぞれの特技を使って彼らはくすのきだんちで力をあわせ、寄り添いあいながら暮らすのでした。
動物ファンタジーでは、鳥や獣、肉食獣と草食獣たちが一緒に仲良く暮らしている話が多く、生物学的には間違っている設定になってはいます。
科学や自然大好きなお子さまの中には「間違っている」と受け付けない子もいるのですが(それはそれですばらしい感性です)これは、様々な人たちの多様性の比喩として描かれている手法です。
この「くすのきだんち」にも狐と鳥、りすが仲良く暮らしていますが、それが「様々な人たちが力を合わせて暮らしている」表現になっており、最終的にかけすの一家を住人たち全員で守り、みんなで子どもたちを育てると言う心温まるハッピーエンドになっています。
もちろん、人間の物語として描いてもいいのでしょうが、大きな木をくりぬいて作ったかわいい団地に様々なかわいい動物たちが集っているとロマンがあります。
また、「くすのきだんち」もステンドグラスの入った玄関や、格子模様のテラコッタタイル、美しいてすりの螺旋階段などぐっとくるデザインで、思わず「住んでみたい」と思ってしまうおしゃれさ。
字はひらがなとカタカナ。数字とカタカナにはひらがなて振り仮名がふってあり、ひらがなさえ読めればひとりでコツコツ読むことができます。もちろん、読み聞かせも楽しそう。
光がさんさんと降り注ぎ、気持ちのいい風が流れる物語です。
まったく違った人たちと力を合わせ、寄り添いあう素晴らしさを感じてください。大人のなごみ絵本としてもおすすめ。幼稚園や保育園で読み聞かせしてもらった経験がある方には、懐かしさがあふれてしまうかも。
読み聞かせに、プレゼントに、大人の和みタイムに。
動物ファンタジーがお好きな方はぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。
様々な動物たちが力を合わせて楽しく暮らす動物ファンタジーです。くすのきだんちのデザインがおしゃれで可愛らしく、思わず住みたくなります。
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