【ゆきのけっしょう】冬の空から舞い降りる白い妖精、雪の写真を親子で楽しもう。小さな子どもの好奇心と感受性をはぐくむ美しい絵本です。【4歳 5歳 6歳】
雪。それは空から降りてくる不思議な氷。雪の結晶は、ひとつひとつ、ちがう。でも、生まれたときはみんなおんなじだったんだ…… 美しい雪の結晶の写真とやさしい文章で構成される、知識欲と感性が満たされる知育絵本!
この本のイメージ 知育☆☆☆☆☆ 科学☆☆☆☆☆ 感受性☆☆☆☆☆
ゆきのけっしょう 武田康男/監修・写真 小杉みのり/構成・文 岩崎書店
<武田康男>
空の探検家。1960年東京都生まれ。気象予報士、空の写真家、大学非常勤講師。日本気象学会会員。日本雪氷学会会員。日本自然科学写真協会理事。東北大学理学部卒業後、高校教諭(地学)を経て、第50次日本南極地域観測越冬隊員として、2008年から2010年まで観測業務に従事。「空の探検記」(岩崎書店)では、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞
<小杉みのり>
編集者。おもに児童書の企画・構成・編集・執筆に携わる。「世界恐竜発見地図」(ヒサクニヒコ著、産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞)、「空の探検記」(武田康男著、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞)(以上、いずれも岩崎書店)などの企画・制作に携わる
<この季節恒例のスケートトーク……不要な方はスクロールしてくださいね>

先日のフィギュアスケート四大陸選手権!
アイスダンス「かなだい」組こと、村元高橋組、銀メダルおめでとうございます!これで高橋大輔選手は、シングル、アイスダンス両方のメダリストとなり、まさにレジェンドとなりました……。もしかして、これってギネスですか?ギネスじゃないですか?(いや、わからないけど) ちょっとミスがありましたが、ソーラン節はやはりインパクト絶大。そして、ラ・バヤデールはオーラ全開ですばらしかった。うれしくてちょっぴり悔しい……のだと思いますが、今後の進化も楽しみなので、身体と相談しつつ、できるかぎり続けてくださいね。
女子、三原舞衣選手、金メダルおめでとうございます!見ているだけで心が浄化される妖精プログラム。フリーの三回転三回転があまりにふわっとしていて、羽があるみたいです。体重がないように思える柔らかで浮遊感のある演技は、三原選手ならではのもの。オリンピックでは補欠で参加とのことですが、親友坂本選手の心強い味方となりそうです。
松生理乃選手、所作が美しく、優雅な演技です。ジャンプも美しい。入賞おめでとうございます!
横井ゆは菜選手、ショートはくやしかったけれど、フリーはすばらしかった!キビキビとした躍動感あふれる動きと、くるくる変わる表情が魅力の選手です。今後も期待しています。
男子、友野一希選手、銀メダルおめでとうございます。あいかわらず、すばらしいニューシネマパラダイス、そして、フリーのララランドもすばらしかった。ジャンプだけでなく、軽快なステップは気持ちがウキウキしてきます。
三浦佳生選手、銅メダルおめでとうございます。いつもながら目が追いつかないほど速い!爆走からの豪快ジャンプ。これから、本格的な体型変化のときを迎えるのだと思いますが、怪我なく乗り越えることを祈っています。
三宅星南選手も4位と大健闘。長光歌子先生門下の選手ってみんなステップがドラマチックでかっこいい気がします。やはり高橋大輔選手のDNAが受け継がれているのでしょうか。ゴージャスな白鳥の湖でした。今後に期待しています。
<ここからが本題。本日のブックレビュー>
さて、本日ご紹介するのは、美しい写真とあたたかみのある文章で構成された写真絵本「ゆきのけっしょう」。2019年12月31日初版です。
雪の結晶は自然が生み出した芸術です。
手にとるとあっという間に解けてしまう、小さな小さな粒ですが、ひとつひとつが美しい六角形のすがたをしています。
この絵本は、その雪の結晶をさまざまな角度から撮影し、拡大した写真で構成されています。
子どもの好奇心を満たし知識欲を掻き立てるのが「学び」の本質だとすれば、これはすばらしい知育絵本。「雪」と言う身近なものの秘密をを、わかりやすく写真で説明してくれるのです。
さて、本日は、時々登場してくれる、自然大好き科学大好きのプログラマーにレビューしてもらいましょう。
では、どうぞ!
ただ写真集として眺めていても楽しい本ですが、結晶の作られ方、(最初は六角形のちいさなつぶからはじまり、だんだん広がって大きな形になる)の解説がしっかり描かれていて、そのそれぞれが奇麗な写真になっているのでとても分かりやすくなっています。
また、拡大写真のそばに実際の大きさの図もあり、微細な世界の美しさに思いを馳せることができます。
ここまで美しい写真を撮るのはプロの技術が必要ですが、ちょっとした観察をするだけでしたらとても簡単です。
黒い布を用意して、雪が解けてしまわないように外気温になるまで冷やしたのちに、降ってくる雪を布でキャッチして、虫眼鏡で観察するだけでOK。雪の色とちがう黒や紺の布を使うことと、日陰で観察することがポイント。虫眼鏡で十分ですが、マクロレンズなどがあればスマホで写真を撮ることもできます。
ところで、なぜ雪の結晶は六角形から成長するのでしょうか。
雪、すなわち氷は、水分子(H2O)が凝固したものです。酸素分子(O)と、二つの水素分子(H)が結合しています。
この結合する角度は104.5度で、これはピラミッド型の正四面体の中心角度(109.5度)に近い角度です。水分子どうしはお互いにひきつけあい、このピラミッドが複数組み合わさって大きな構造になっていくのです。正四面体(ピラミッド形)が組み合わさった時、平面では六角形を形成します(とてもおおざっぱに言ってしまうと、丸いケースに収まった6Pチーズを思い浮かべるといいかも?(厳密には違うのでご注意。理解のしかたとして、です))
こうして成長する雪の結晶は、高空の温度や湿度によりさまざまな形になっていきます。世界初の人工雪をつくることに成功した中谷宇吉郎先生は『雪は天から送られた手紙である』という言葉を残されています。(これもとてもお勧めの本です)
これは、地上に降ってきた雪の結晶の形を調べることで、その結晶が作られた上空の気象条件を知ることができるということ。
この冬、日本の各地で降雪が多くなっています。空から降ってくる小さな結晶を観察して、天からの手紙を読み取ってみるのもとても楽しいと思います。
ありがとうございました!
文章中に登場した「雪は天から送られた手紙である」も、紹介リンクしておきます。中谷宇吉郎先生は生涯を雪の研究に捧げられた方で、日本中のゆかりある地に記念する施設があるようです。
この絵本「ゆきのけっしょう」は、全編美しい写真と文章で構成されており、文章はすべてひらがな。絵本の読みはじめに最適です。また、結晶の写真の隅に「ほんとうのおおきさ」の写真が掲載されているのも、親切設計です。結晶の写真を見た後だとすごく小さいのですが、けれど、案外大きくも感じられるのです。
身近な気象現象「雪」を、さらに身近に感じられる知育絵本です。大人が写真集として見ても、楽しめます。この季節のおうち時間にぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。美しい写真と読みやすい文章で構成された知育絵本です。
雪のことがよくわかり、天気や気象に興味をもつきっかけにもなるかもしれません。もちろん、もともとお天気や雪に興味があるお子様にも。
非常に写真の点数が多く、小さな氷の粒が千差万別な雪の結晶に育ってゆくのがわかります。最初は似たような赤ちゃん結晶でも様々なできごとを経て成長してゆくと、ひとつとして同じものはないのは、人間の人生にも似て面白いものです。
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