【いたずらひつじとおおかみのけがわ 】いたずら者の羊が、人知れず根性を出す!誰も知らない、一夜の大冒険。小学校低学年向け、男の子向けの絵本。

2024年1月20日

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いたずらひつじとおおかみのけがわ  ふじお けんた/作  偕成社

羊飼いのおじさんが怪我をして病院に運ばれました。そんなとき、いたずら羊のメイクは、おじさんの家で狼の皮を見つけます。そして…

この本のイメージ かっこいい☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆ 考えさせられる☆☆☆☆

いたずらひつじとおおかみのけがわ  ふじお けんた/作  偕成社

 男の子向けの絵本です。自分では選ばないタイプの本なので、たまにはこういうのを読もう、と思って読んでみました。

 羊飼いのおじさんが、怪我をして病院に運ばれていきました。めったにないことだったので、いたずらひつじのメイクは、おじさんの家を探検していたら、狼の皮を見つけます。

 メイクは、狼の皮をかぶって 仲間の羊たちを面白半分に脅かしたら、親友のモックが驚いて転んで怪我をしてしまいます。
メイクは、素直に謝ることが出来ず、大問題になってしまい、「おまえは いちばんの ともだちに、こんな ひどいことを したんだ。もう ここを でていって もらうしかあるまい」(引用)と、群れの長老から群れからの追放を言い渡されます。

 群れから追い出されて一人で放浪していたメイクは、狼の群れに遭遇、彼らが羊飼いのおじさんがいないので牧場のひつじを襲う計画を立てているのを聞いてしまいます。

 メイクは、狼の皮をかぶり狼たちをだまして牧場から遠ざけようとしますが、ついにばれてしまい、覚悟を決めます。そして、知恵を振り絞って、わが身を犠牲にして狼たちを撃退します。

 翌朝、気絶していたメイクを羊飼いのおじさんが見つけ、牧場に連れて帰ります。

 ラストシーンは、怪我をしたメイクとモックが「こんな怪我、どうってことないさ」とお互いに言いあっておしまい。
こんな話です。

 お話自体は、単純なのですが、いろんな読み方が出来る本です。

 すごく男の子っぽい話なので、今回レビューを書くために職場の男性陣に相談し、いろいろな意見をもらいました。

 ラストシーンがとてもすっきりと終わっていて、かっこいいのです。もしかしたら「え、群れの羊とは和解しないの?」とか、「メイクが群れを救ったって誰も知らなくていいの?」「結局、メイクは謝ってないじゃん」って思ってしまう人もいるかもしれません。

 『ONE PIECE』 のウソップの登場話に似ています。あれ、男子にものすごく人気がありますよね。ストーリー的にはヒーロー物の構造をしてるんだなと思いました。

 よく読むと、怪我をしてしまった親友のモックは気絶しているだけでメイクに群れから出て行ってくれと言ってないことや、この羊たちを管理しているのは「羊飼いのおじさん」であって、羊たちの長老は本来は羊を群れから追い出す権利なんてないことなど、いろんなことが見えてきます。

 また、メイクが群れを追い出されたからこそ狼の悪巧みを耳に出来たわけで、メイクが群れに残っていたら、メイクも含めて全員食われていたわけです。(だから「塞翁が馬」と言う考え方も出来ます)

 そういう視点からだと、「異端」がいたからこそ、群れが救われたとも読み取れます。また、「異端」を追い出したのは、発言力が強い存在ではあるけれども、決して責任者ではないことも絶妙の表現で描かれています。

 メイク個人の物語としてみれば、最初は考えの浅いいたずら者だったメイクが、自分を追い出した群れの危機を知って一人で村を守ろうと決意し、知恵と勇気で撃退する。
彼は、その事件を通じて(誰も知らないあいだに)大きな山をひとつ乗り越え、ものすごく成長していて達成感もある。だから、そんなこと誰も知らなくていい。

 そんなわけで、最後は、余計なシーンはなくて、親友同士が「こんなん、どうってことないさ」と笑い合って終わるのです。

 そしてさらに男子視点で言うと、「誰にもわからないし、ここには書いてないけど、この親友同士の友情は、これで深まっているはずなんだ」とのことなのですね。

なるほど…!

 最後に余計なシーンがなくて、親友の羊二匹のシーンですぱっと終わっているのは、そういうことなんだろうなと思います。なんだかいいですよね、こういうの。

 短い話ですが、読み聞かせにおすすめです。読んだ後、これはどうなのかな、こうなのかな、といろんな角度で考えさせられます。大人にもおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

ネガティブな要素は無いと思います。スパッとしたサッパリした少年漫画風のテイストです。ヒーロー物とかがお好きな方にはおすすめです。

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