【トム・ソーヤーの冒険】少年向け児童小説の古典。アニメーションにもなった名作です。【小学校中学年以上】

2024年1月20日

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トム・ソーヤーの冒険 マーク・トウェイン/作 飯島淳秀/訳 講談社青い鳥文庫

アメリカ児童文学の名作。両親のいないトムは、おばさんの家で暮らしていますが元気いっぱい。毎日が大冒険です。

この本のイメージ 腕白 ☆☆☆☆☆ 悪ガキ☆☆☆☆☆ ノスタルジー☆☆☆☆

トム・ソーヤーの冒険 マーク・トウェイン/作 飯島淳秀/訳 講談社青い鳥文庫

本日はバレンタインデーですが、当日にバレンタイン関係の本をご紹介しても遅すぎるので、本日はふつうに児童文学のご紹介です。っていうか、チョコレート関係の本、少なすぎでした。わたしは個人的に、バレンタインに本を贈ろうキャンペーンをこれからも続けていくつもりなので、出版社のみなさま、チョコレート関係のかわいい児童書を出してください!よろしくおねがいします。(勝手な…)

と、いうわけで、本日ご紹介するのは「トム・ソーヤーの冒険」です。

 すごく小さいころ、読んだ記憶はあるのですが、ほとんど忘れてしまっていたので再読。日曜の名作劇場でアニメーションにもなりました。主題歌とエンディングは名曲です。

 「腕白」と言う言葉があります。
 ついぞ聞かなくなりました。

 いたずら好きで、やんちゃで大人の言うことを聞かず、手がつけられないが、弱いものいじめはしないで友達を大切にする。いざというときは勇気を出して、困っている人を助ける。みたいな感じの子です。

 昭和の昔は、そんな男の子が出てくる腕白もの、悪ガキもの、みたいなジャンルのコンテンツがたくさんありました。(その後、一世を風靡した「ツッパリもの」というジャンルがありますが、あれとは微妙に違います)

トム・ソーヤーの冒険 マーク・トウェイン/作 

「トム・ソーヤーの冒険」は元祖腕白もの、と言っても過言ではない児童小説です。
トムは悪ガキです。大人の言うことは聞かないし、小ずるいし、いいかげんです。今の子にわかりやすく説明しようとすると、「映画のジャイアン」と「サザエさん」のカツオ君を足したような子です。(割らない)
 子供の頃は、どうしてこんな欠点だらけの子が主人公なんだろうと思っていましたが(実際、ハックルベリーのほうが人気があったし、わたし自身もハックのほうが好きですが)、大人になって読み返すと、この数々の欠点は作者がわざとこうしたんだろうなと思います。

 トムは、すべての特徴や個性を全部同一得点でトータルで差し引きすると、マイナスになってしまう子です。実際に、トムそのまんまの子が身近にいたら絶対に困るし、しょっちゅう喧嘩してしまうだろうと思います。

 けれども、トムは「ここぞ」と言うときだけは信じられないくらいの根性を出すんです。そして、その「根性の出し時」は、いつも「自分のため」ではなく、「誰かを助けるため」なのです。

つまり、人間の個性や美徳と言うのは、すべてを平均して差し引きしてはいけないんじゃないか、作者はそう言いたいのじゃないかと思うのです。

家のお手伝いをする、塾へ行く、まじめにお勉強をする、お行儀がいい、礼儀正しい、友達と仲良くする、他人に親切にする、など、人の美徳はたくさんあります。
そして、お行儀が良くないとか、服装がだらしないとか、宿題をしてこないとか、大事なものを壊すとか、憎まれ口を叩くとか、やっぱり人の欠点はたくさんあります。

 それらを全部一点ずつの得点シートにして、プラスとマイナスで計算すると、マイナスになってしまうトムは、そういう価値観の世界ではまちがいなく「悪い子」です。だから、しょっちゅうポリーおばさんはトムを鞭でぶつし、先生にも怒られる。

 でも、愛されてるのです。しかられるより、それ以上にトムは愛されてるんです。

 これは、彼の底抜けの自己肯定感によるものも大きいでしょう。両親がいなくて孤児のはずのトムですが、彼の性格にはまったく影がありません。
そして、やんちゃな悪ガキなのに、ここぞというときは正義感をみせるのも、愛される理由だと思います。

 自分には何のなんの得にもならず、危険しかないのにポッターさんの冤罪を晴らしに出て行くところとか。
 子供の頃は、「何の努力もしないで財宝を手に入れちゃうのは嫌だなあ」と思っていましたが、今読むとそうでないことがわかってきました。

 そう、この物語のラストでは、トムは宝を見つけて大金持ちになってしまいます。さすがアメリカンドリームの国だなと感じます。

 日本のコンテンツではこうはいかなくて、「宝探しに出て宝を発見しても、宝箱は空っぽだった。でも、いままでの冒険の道のりこそが宝物なんだ」、みたいな話になってしまうんです。たぶん仏教の影響でしょう。

 これに対して、アメリカの物語は、ふつうに宝を手にしてハッピーエンドになる話が圧倒的に多いのです。開拓者の国であることと、キリスト教の影響も大きいと思います。

 どちらがいい悪いという話ではなく(ここ重要)どちらの話もわたしは好きですが、日本のコンテンツにありがちな、「大きなハッピーを手にすることは実はあまり幸せではない。ほどほどがよい」と言うような、「大成功に対してあとずさる感覚」がないのは、アメリカ作品の底抜けの明るさだし、フィクションとして楽しむにはこういうのもいいんじゃないかなあ、と最近は感じるようになりました。

 150年くらい昔の話なので、当時の時代背景を理解しないと理解できない部分も多く、お母様にとっては、いきなり小学校中学年くらいのお子様に何の説明も無く読ませるのは適さないかもしれません。(子供がたばこを吸うシーンもありますので、抵抗のある方もいるかも)
 でも、きちんと説明して、当時の歴史なども含めて知ってもらうなら、たくさんのことが学べると思います。

 むしろ、これは仕事に疲れたお父さんなど、大人におすすめの小説です。
くたくたになって家に帰ったあと、ビールかコーヒーでも飲みながらお読みになれば、ちょっと肩の力が抜けてすがすがしい気持ちにさせてくれると思います。

 150年前からマーク・トウェインがやってきて、「がんばりすぎるなよ」って言ってくれてる気持ちになりますよ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

典型的な悪ガキ物なので、苦手な人にはおすすめしません。でも、元気な小さい男の子を遠くから見て元気をもらえるタイプなら、おすすめです。これはそんな小説です。
紅茶かコーヒーと、アメリカンパイをお供にどうぞ。

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