【おばけのケーキ屋さん】ネットで話題になった、心温まるロングセラー絵本。おばけのケーキ屋さんの秘密は?【子どもから大人まで】
ぼくはおばけ。ケーキ屋さんをひらいてる。ぼくはケーキを食べさせてそのおいしさでみんなをびっくりさせるのが好きなんだ。(おばけのケーキ屋さん SAKAE/作 マイクロマガジン社)
この本のイメージ オカルトファンタジー☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆☆ 涙腺崩壊☆☆☆☆☆
おばけのケーキ屋さん SAKAE/作 マイクロマガジン社
<SAKAE>
イラストレーター。北海道在住。
著作には「こえほんクリスマス絵本コンテスト」入賞作の「まいごのクリスマス」の他に、作画を担当した「きせつのえほん・しゅんぶんのひ」(2作ともアイフリーク刊)などがある。
ネットで話題沸騰したかわいい絵本のご紹介です。
初版は2013年。10年以上愛されているロングセラー絵本です。
お話は……
あるところに「おばけのケーキ屋さん」がありました。
夕方から準備をして夜に開店するおばけのためのお店です。
おばけのケーキ屋さんはお客さんをそのケーキのおいしさでびっくりさせるのが大好き。今日もおいしいケーキを作ります。
ある日、人間の女の子がケーキ屋に訪ねてきました。
ママの帰りが遅くて家にひとりぼっちだと言うのです。
おばけは女の子のためにとっておきのケーキを食べさせてあげました。
ところが、女の子は驚かない。
「パパのつくるケーキと同じくらいかな?」
おばけは、とんでもないライバルがいたものだと憤慨し、毎月一回、女の子にケーキを食べに来るように言います。
その日から毎月、女の子はおばけのケーキ屋さんを訪ね、おばけと女の子は楽しい時を過ごしました。
ところがある日、女の子は「ここにくるのは今日で最後」と言います。
明日の朝、女の子は大切な人と結婚して、遠いところへ引っ越すのです。
おばけのケーキ屋さんは最後のプレゼントとして最高のケーキを一晩かけて作るのですが……
……と、いうお話。
表紙の絵からは想像もつかないほど、深い愛情に満ちた、そして思わず涙ぐんでしまうお話です。
ただし、絵本の読者として設定されている四歳~六歳のお子さまではすぐには理解できないお話かもしれません。
大人だと読みながら途中で「あれ?これ、もしかして……」と思うので、ラストの伏線回収で思わず熱いものがこみ上げてきます。
非情に可愛らしい絵で描かれていますが、子どもが読む、成人したばかりの大人が読む、子供の成人や結婚を見守る大人が読む、と読者の立場で感じ方が変わる、ミルクレープのように何層にもテーマが重なる深い愛に満ちた絵本です。
全編わが子の幸せを願う親の気持ちに満ちており、子どもが読むというより大人が読んで癒される絵本なのかもしれません。
文章はややボリュームがあり、見開きに最大で十六行前後。
簡単な漢字混じりですがすべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビですので、五十音が読めればコツコツとひとりで読み切ることができます。お子さまがお一人で読むなら、絵本を読みなれたお子さま向け。
しかし、この絵本はぜひ、読み聞かせで。
もしかしたら、小さなお子さまにはこの絵本の意味やテーマはまだぴんと来ないかもしれません。
けれど、小さなときの記憶は、大人になってからその人を強く支えます。
素敵な絵本を読んでもらった、あたたかな体験はその記憶そのものがもし忘れ去られてしまっても、その人の核の部分を支えてくれるのです。
小さなお子さまとの読み聞かせに。成人する子・結婚する子へのお祝いに荷物に忍ばせて。大人の和み絵本としても。
おやすみ前の大切な親子の時間に、ぜひ「おばけのケーキ屋さん」を。
やさしい物語は、疲れた大人の心もそっと包んでくれます。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。心の深いところに優しくタッチしてくれる絵本です。子どもから大人まで、全年齢におすすめ。
小さなお子さまへのプレゼントだけでなく、成人や結婚など節目のときにプレゼントにおすすめです。
読後は絶対にケーキが食べたくなります。
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