【なんでも魔女商会】足りないものが幸せを呼ぶ。ファッションファンタジー第12巻。【セールス魔女はおことわり】【小学校低学年以上】

2024年4月14日

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なんでも魔女商会12 セールス魔女はおことわり あんびるやすこ/作 岩崎書店

真っ赤なドアの隙間から、まだ冷たい風があたたかな店のなかに吹き込んできました。そして、その風にのって一枚のチラシが飛び込んできたのです…… (なんでも魔女商会12 セールス魔女はおことわり あんびるやすこ/作 岩崎書店)

この話のイメージ 心配無用☆☆☆☆☆ 完璧じゃなくていい☆☆☆☆☆ セールスすごい☆☆☆☆☆

なんでも魔女商会12 セールス魔女はおことわり あんびるやすこ/作 岩崎書店

<あんびるやすこ>
群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」シリーズなど。 

 おさいほう魔女シルクと親友の人間の女の子ナナの活躍を描く「なんでも魔女商会」シリーズ。
 「なんでも魔女商会12 セールス魔女はおことわり」は、2009年初版です。

 基本的に一話完結で、どの巻を読んでもお話は通じるのですが、シルクとナナの出会いが描かれている第1巻をまず最初に読むほうがわかりやすいでしょう。

  第1巻のレビューはこちら

 

 今回のお話は……

 リフォーム支店に一枚のチラシが飛び込んできました。
 それは、凄腕セールス魔女シンシアのチラシ。

 ナナの不用意な言葉でシンシアをお店に呼び込んでしまいます。
 巧みなセールストークに誘われて、なんでも入る「魔法のポケット」を大量に買ってしまったシルク。
 そんなシルクのもとに、くまのパティが春の「ブルーベルのお祭り」用のドレスを頼みに来ました。

 ところが、パティの様子を見てシルクたちは驚きます。彼女はとても心配性で、必要だと思われるものすべてを持っていないと安心できず、そのためたくさんのカバンを身に着けていたのでした。

 こんな状態で、ドレスを着てお祭りに行けるのでしょうか?

 シルクは、パティのためにドレスをリフォームしますが……

 ……と、いうのがあらすじ。

 今回のテーマは「足りないものが幸せを呼ぶ」。

 心配性のパティは、必要と思われるものをすべて持っていないと安心して外出できませんでした。

 かさやカーディガン、コート、ハンカチなどなどなにひとつ忘れることが怖かったのです。
 けれども、「足りないもの」があることで、パティは他人との交流が生まれるきっかけになるのだと気が付きました。

 日本人は「他人に迷惑をかけてはいけません」と教えられて育ちます。だから、なるべく失敗しないように、忘れ物をしないように、足りないものがないようにと行動します。

 けれど、足りないものがあるときに、それをきっかけにして助け合い、思わぬ交流が始まることもあるものです。
 「こまったときはおたがいさま」ですしね。

 「ちゃんとやろう」と気負いすぎていたパティは、「足りないもの」から素敵なものを手に入れた時、肩の力が抜けてお祭りを楽しめるようになりました。
 「足りない」ってことはそこに「余白」があるということ。

 「余白」は何がおきるかわからない、素敵な可能性です。

 文章は平易で読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってあります。ボリュームはそこそこありますが、あんびる先生の愛らしい挿絵がふんだんに入っており、カラー挿絵もあります。だいたい、小学校低学年から。

 そして、いつもながら登場人物のファッションはどれもかわいい。ハンドメイド好きの方のためにナナのハンドメイド講座が一ページ、毎回入っており、今回は「イニシャルブローチ」。

 おしゃれが大好きなお子さまに。あんびる先生の作品は、毎回テーマがわかりやすく、起承転結がはっきりしているので読書感想文などにもおすすめです。

 ファッションやハンドメイドの魔法のような魅力を感じられる、ときめきのファッションファンタジー、「なんでも魔女商会」をぜひどうぞ!

 ※この本には電子書籍もあります

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。
 可愛くておしゃれなファッションファンタジーです。お洋服やお裁縫、ハンドメイドが好きなお子さまに。
 今回は、完璧じゃなくてもいい、足りないものが自分に幸せを運んでくれるというお話です。
完璧主義や、心配性のお子さまに勇気を与えてくれます。

 読後ははちみつを入れた温かい紅茶でティータイムを。

 

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