【なんでも魔女商会】めしつかいねこの悩みとは？ ときめきのファッションファンタジー第６巻。【コットンの夏休み】【小学校低学年以上】
おさいほう魔女シルクのめしつかいねこコットンは、久しぶりに夏のバカンスに出かけました。でも、仲間のめしつかいねこたちと会うと、自分が真っ黒な黒猫でないことが気になってしまいます。そんな頃、リフォーム支店にはかわいいお客様が……
この本のイメージ ソーイング☆☆☆☆☆ 魔法☆☆☆☆☆ 自分らしさ☆☆☆☆☆
なんでも魔女商会 ６ コットンの夏休み あんびるやすこ/作 岩崎書店
＜あんびるやすこ＞ 群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」シリーズなど。
本日ご紹介するのは、小学校低学年女子に大人気、あんびるやすこ先生の「なんでも魔女商会」シリーズ第６巻。初版は2006年です。
「なんでも魔女商会」は、基本的に一話完結で、どの巻を読んでもお話は通じるのですが、魔女のシルクと人間の女の子ナナの出会いが描かれている第１巻を最初に読むほうがわかりやすいでしょう。
第１巻のレビューはこちら↓
https://www.mmanorhouse.com/2020/06/10/post-3160/今回のお話は……
おさいほう魔女シルクのめしつかいねこ、コットンが夏休みをとることになりました。行き先はプロニャンス村。ねこたちの保養地で、そこで「めしつかいねこ協会」の「ごくろうさん会」があるのです。
いそいそと出かけていったコットン。
コットンのいないリフォーム支店は、シルクとナナがてんやわんやです。
一方、コットンは、ほかの真っ黒で美しいめしつかいねこを見て、純粋な黒猫ではない自分に劣等感を感じていました。もし、自分が黒猫なら……
そんなとき、リフォーム支店にキャロットと言ううさぎのぬいぐるみが訪ねてきます。アナグマのディギーとはぐれてしまったキャロットは、シルクに「からだを直してほしい」とお願いしますが……
……と、いうのがあらすじ。
今回のテーマは、「ありのままの自分を受け入れる」。
めしつかいねこのコットンは、お掃除、お片づけ、お料理が完璧、お菓子もおいしくて、淹れてくれるお茶は最高です。でも、どうやらコットンは、自分が完全な黒猫でないことを気にしていたようです。
しっぽや手足の先が白い、てぶくろ猫でかわいいのに……
それで魔法の毛染めを使って大失敗、「赤毛のアン」のようなことになってしまいます。一方、持ち主のディギーとはぐれたぬいぐるみのキャロットも、「自分がみっともないから捨てられたのだ」と悲しんでいました。
「ありのままの自分では愛されないかもしれない」。そんな不安をおさいほう魔女のシルクがズバッと解決(古い)します。
お掃除とお料理とお菓子作りが上手な猫って最高すぎませんか。お茶を淹れるのも上手いんですよ。そこまでできたら、色なんてどうでもいいですよね。いえ、猫は何もできなくてもかわいいだけでOKなんですけども。
今回デザインするのは、アナグマのディギーとぬいぐるみのキャロットのおそろいのリゾートドレス。ディギーのドレス二着を使って、二種類のおそろいのドレスを作ります。
レースがいっぱいのピンクのドレスもかわいいけど、ペチコートつきの黒のドレスも素敵です。お気に入りのぬいぐるみとのペアドレスというのもかわいい。
また、しみがたくさんついてしまっていたキャロットにも、シルクはリフォームの魔法をかけます。
今回のナナの手づくりコーナーは布で作ったお花のブローチ。ナナは毎回、難しいおさいほう技術がいらない簡単なアクセサリーの作り方を教えてくれます。これも、小学生にはうれしいところ。
シルクのリフォームの魔法で、ディギーとキャロットの絆はより深まりました。そして、シルクとコットンの絆も。
自分でないものになろうとすると苦しいけれど、ありのままの自分を好きでいればそのままの自分を好きでいてくれる人の存在に気づくことができ、絆が深まります。
コットンが黒猫であろうがなかろうが、シルクにとっては大切なパートナー。
お互いの大切さを再確認した事件でした。
あんびる先生の作品の魅力は、わかりやすく読みやすい文章、短いお話のなかにしっかりとしたテーマがあるストーリー、登場人物の成長、悪人のいない優しい世界、そして、おしゃれでかわいいイラストです。
今回のナナは、ピンクのノースリーブのサンドレス。シルクはいつもの黒のドレスと白いエプロン。ディギーとキャロットのドレスもかわいいけれど、ナナのワンピースもかわいい。
読むとおさいほうがしたくなる、「なんでも魔女商会」。暑さが厳しい季節は、クーラーの効いたお部屋でソーイングするのも楽しそうですね。
おしゃれ大好きなお子さまに、おすすめのファンタジーです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。いつも、考えさせられるテーマが一つあり、そして、起承転結がはっきりした、かわいくて優しいストーリーです。悪者がひとりもいない、優しい世界の物語。HSPとHSCにおすすめです。
お洋服やお裁縫が好きなら、女の子にも、男の子にも。読後は、コットンが淹れたような熱々の紅茶とクッキーでティータイムを。
