【メリーメリーのびっくりプレゼント】「思い出のマーニー」のジョーン・ロビンソンがおくる、やんちゃな女の子のドタバタコメディ。読み聞かせに。【メリーメリーシリーズ】【小学校低学年以上】

2024年3月28日

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メリーメリーのびっくりプレゼント ジョーン・G・ロビンソン/作 絵 小宮由/訳 岩波書店

彼女は五人きょうだいの末っ子のメリーはちっちゃいので「メリーメリー」と呼ばれていました。でも、メリーメリーの日常はいつも大騒ぎ……「思い出のマーニー」の作者がおくる、やんちゃな女の子の物語。

この本のイメージ 幼児あるある☆☆☆☆☆ やりたいほうだい☆☆☆☆☆ 終わりよければすべてよし☆☆☆☆☆

メリーメリーのびっくりプレゼント ジョーン・G・ロビンソン/作 絵 小宮由/訳 岩波書店

<ジョーン・ロビンソン>
Joan Gale Robinson、(1910年2月10日 ~ 1988年8月20日)はイギリスの児童文学作家。バッキンガムシャー州生まれ。イラストレーターとしての教育を受け、小説とイラストの両方を手がけた。代表作は「思い出のマーニー」「くまのテディ・ロビンソン」など。

 「思い出のマーニー」「くまのテディ・ロビンソン」で知られるジョーン・G・ロビンソンの小学校低学年向けの物語、「メリーメリーシリーズ」の二冊目。
 MADAM MARY-MARY (本国初版1957年)MORE MARY MARY(本国初版1960年)からのよりぬきのようです。日本での初版は2017年。

 五人きょうだいの末っ子、「メリーメリー」こと小さなメリーが引き起こすドタバタコメディ。短いお話のオムニバスで、この本には五本のお話が収録されています。

 「メリーメリー」のシリーズは全部で三冊。基本的に一話完結で、どの巻から読んでもいいのですが、最初から順番にお読みになりたい方は、まずは「メリーメリーおとまりにでかける」から。「メリーメリーおとまりにでかける」のレビューはこちら

 ジョーン・ロビンソンにはデボラちゃんという娘がいて、子ども向けの物語はすべて彼女のために書かれたと言われています。(くまのテディ・ロビンソン」にはずばりデボラちゃんという女の子が登場します。)

 「特定の誰かのために書かれたファンタジーは名作」と言う言葉があります。
 「不思議の国のアリス」「クマのプーさん」などがそう。メリーメリーシリーズは厳密にはファンタジーではありませんが、母の愛がたっぷり詰まっているのが感じられ、そこもほっこりするポイントなのです。

 というのも、メリーメリーが毎回とんでもない事態を引き起こしてしまうのに、このきょうだいのママは何があってもおおらかに受け止めてくれるのです。

 デボラちゃんが小さいとき、きっと相当にやんちゃで手を焼いたのでしょうが、こんなふうにハッピーな話にできてしまうなんて素晴らしい。

 基本パターンは、「くまのパディントン」に似ていて、何か事件がおきる→メリーメリーがよかれと思って参加する(手伝おうとする、助けようとするなど)→かえってむちゃくちゃになる→ひょうたんから駒でそれが吉と出る→みんなが喜ぶハッピーエンド と言うような黄金パターン。

 この手の話は、途中で「いったいどうなるんだろう」と心配になるくらいの大騒動になるのですが、最終的に驚くほど綺麗におさまるので、その収束のあざやかさが快感です。

 また、メリーメリーがなんとも愛嬌があるんですね。この「手がかかるけれど愛おしい」と言う感覚が、作品からしみじみと伝わるのです。

 メリーメリーは、日本でよく言う「手のかからない良い子」ではありません。
 行く先々で騒動を起こすので、日本だと問題児に入るタイプ。けれど、誰かのために役に立ちたいというやさしさや、豊かな想像力、失敗してもめげない一生懸命さなど、いいところがたくさんあるのです。

 今回いちばん面白かったのは、メリーメリーが赤ちゃんを子守する話。
 おねえちゃんたちが赤ちゃんの子守を頼まれたので、自分もやりたくなったメリーメリー。偶然知り合った、ふたごの赤ちゃんのお世話を頼まれます。

 「わたしにだって赤ちゃんのお世話できるもん」と、メリーメリーは豪語します。
 ふつうの感覚だと、いざ子守をはじめると「こんなに大変だと思わなかった」と音を上げてしまう展開のはずが、なんとメリーメリーは楽しんでしまうのです。「ほかの子どもより自分がいちばん赤ちゃんだった頃に近いんだから、赤ちゃんの気持ちがわかる」と言って。

 これって真理かも。さすがは「思い出のマーニー」の作者です。時々、深い。(「メリーメリー」や「テディ・ロビンソン」を読んでいると時々忘れそうになるけど……)

 ジョーン・ロビンソンの子ども向け物語は、とにかくポジティブで明るくて楽しい。小さな失敗にクヨクヨせず、「やりたい」と思ったら突進してゆくメリーメリーがすがすがしい可愛らしさです。

 ほとんどがひらがなとカタカナで書かれており、ときどき入る漢字にはすべて振り仮名が振ってあるので読み易く、小学校低学年からお楽しみいただけます。もちろん、親子での読み聞かせにもぴったり。

 うちの娘は手がかかるなあ、と言うお母さまは、ぜひメリーメリーで癒されてください。もちろん、内向的なお子さまにも。「パディントン」が好きな方にも、おすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほとんどありません。
 純粋に大笑いできる楽しくゆかいなストーリーです。また、メリーメリーが毎回、とんでもない騒動を巻き起こすので、小さなことでクヨクヨするのがばからしくなってきます。

 メリーメリーがあまりにもやんちゃなので、お子さまが真似をするのを恐れる保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、このボリュームの物語を読み込んで理解できるお子さまなら、無茶なことはしないと思います。

 繊細で落ち込みやすい小さなお子さまにおすすめ。とにかく元気がもらえる、かわいい物語です。

 

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