【不思議の国のアリス】異世界ファンタジーの元祖。一度はちゃんと読みたい、古典児童文学の名作。不思議の国でのアリスの大冒険【小学校高学年以上】

2020年11月14日

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不思議の国のアリス  ルイス・キャロル/作 脇明子/訳 岩波少年文庫

ある昼下がり、懐中時計を持ったうさぎが走っているのをみつけたアリス。びっくりして、うさぎを追いかけると、穴から落ちて、たどり着いたのは、不思議な国でした。ファンタジー界の古典、元祖異世界ファンタジーと言えば「不思議の国のアリス」なのです。

この本のイメージ ファンタジーの古典☆☆☆☆☆ 夢オチの元祖☆☆☆☆☆ 一度は読みたい☆☆☆☆☆

不思議の国のアリス ルイス・キャロル/作 脇明子/訳 岩波少年文庫

<ルイス・キャロル>
1832年1月27日 – 1898年1月14日。イギリスの数学者、論理学者、写真家、作家、詩人。本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン (Charles Lutwidge Dodgson ) で、作家として活動する時にルイス・キャロルのペンネームを用いた。代表作は「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」

不思議の国のアリス  ルイス・キャロル/作 脇明子/訳 岩波少年文庫

 創作ファンタジーの元祖と呼ばれています、「不思議の国のアリス」。1965年初版の児童文学の古典です。
 もとは、1962年、作者の数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが、親しくしていたリデル家の子どもたち、ロリーナ、アリス、イーディスとボート遊びをしているあいだに、「お話を聞かせて」とせがまれて即興で作ったお話です。

 作者が非常に博識なインテリなので、様々な文学や当時の流行歌などのパロディがちりばめられており、幾多の学者の研究対象となってきました。アリスを研究するだけで、当時の様々な文化がわかるらしいのですが、わたしは当然そんなのはわかりません
 でも、面白いのです。

 わたしが子どもの頃は、ファンタジー小説というものが、そんなに一般的ではなく、今のように「ライトノベル」や「ヤングアダルト」と言う分野自体がありませんでした。だから、「アリス」は当時のファンタジーが好きな子どもは一度は読んだ物語です。

 日本でファンタジーと言うジャンルをここまで大きく育てたのは、まぎれもなく「ドラゴン・クエスト」だと思います。コンピューターゲームがなかったら、ここまで「ファンタジー」は日本に定着しなかったでしょう。

不思議の国のアリス
 Audible Logo Audible版 – 完全版
ルイス・キャロル (著), 山形 浩生 (著), パンローリング (ナレーション)
音声版「不思議の国のアリス」
読み聞かせのかわりに。

 良質なファンタジーにめぐまれた現代の子どもたちが、今「不思議の国のアリス」を読んでどれだけ面白く感じるかは、わからないのですが、「アリス」をモチーフにした小説やゲーム、漫画は数多くあるので、原点を知る意味で一度読んでみるのもいいんじゃないかと思います。

 「不思議の国のアリス」が書かれた当時、子ども向けの童話というのは、宗教的な意味合いもあって「教訓的な話」が多く、子どもをしつけるために、道徳を学ばせる目的で作られた物語が主流でした。

 日本でも、「花咲か爺さん」や「こぶとり爺さん」などが有名です。「欲をかくといい事はない」「善行を重ねていればよいことがある」と言うお話ですね。

詳注アリス 完全決定版
マーティン・ガードナー (著), ルイス・キャロル (著), 高山 宏 (翻訳)
大人のための完全版
注釈が詳しい

 また、「赤頭巾ちゃん」などは、「女の子は寄り道してはいけない。知らない男の人を信用してはいけない」と言う教訓です。昔の童話の女の子が何も悪いことをしてないのに他人を信じてひどい目に遭ったりするのは、そういう意味合いからなのです。

 日本にも「瓜子姫」など善良な女の子がただかわいそうなだけのお話がありますが、これは「知らない人と関る」こと自体が、女の子にとっては「悪」だった時代の教えです。(現代も不審者対策として、この教えは正しい側面もあります)

 しかし、そのようなお話ばかりだと、物語じゃなくてお説教ばかりじゃないか、と言う想いから生まれたのが、ルイス・キャロル時代のファンタジーでした。ようするに、当時、そういう童話やおとぎ話に、うんざりしている大人もいたってことなんです。

 「不思議の国のアリス」や「オズの魔法使い」などは、「子どもが純粋に楽しめるお話を、子どものために書いた」物語とされています。

 もちろん、幼いころに小さな子どもに道徳を教えるのは大切なことで、そのとき童話はとっても大きな役割を持ちます。しかし、そればかりだと子どもたちの自由な想像の翼は萎縮してしまいます。

 「アリス」や「オズ」の主人公が女の子で、彼女たちがらくらくと冒険してしまうのは、そういう意味もあるようです。
 昔の童話の女の子って、赤い靴を履いて教会に行った罰で踊り狂ったり、強欲な母親に足を切り落とされたり、都会の王子に恋をして生まれ故郷を捨てると海の泡になったりと、なかなか過酷な運命なんですよ。

 ところが、この「不思議の国のアリス」の主人公アリスは好奇心のおもむくままにどこにでも行くし、なんでもやってしまう。
 何が入っているかわからない異世界の飲み物や食べ物を「わたしを飲んで」とか「わたしを食べて」と書いてあるからと言って、なんの抵抗も無く飲んだり食べたりしますし、「あの綺麗なお庭に行きたいな」と思ったら、ひたすらそのために突進します。

 また、柔軟性や適応力もあって、ハリネズミをボールにしてフラミンゴを槌にしたトンデモルールのクロッケーも、面白がって付き合いますし、おかしなお茶会にも臆せず参加してお茶を飲んだりクランペットを食べたりします。

 そして、頭の回転も早く、王様に「これは最古の法律だ」と言われたときに「だったら第1条じゃないとおかしいわ」と鋭いツッコミも入れるのです。アリスかしこい。ほんとうにかしこい。

不思議の国のアリス
挿絵 トーベ・ヤンソン
トーベ・ヤンソン版
「不思議の国のアリス」

 当時の堅苦しい作法に縛られた女の子たちのことを考えると、この童話は画期的です。
 様々な作家に影響をあたえ、「ファンタジーの元祖」「女の子の冒険物語の元祖」「夢オチの元祖」などと言われている作品ですが、まずは一度、お読みになってみてください。様々な発見があります。

 また、様々な装丁で多くの版が出版されており、それを見比べ、読み比べてみるのも楽しいものです。
 なかには「ムーミンシリーズ」の作者トーベ・ヤンソンが挿絵を描いたバージョンなどもあります。
 絵は、トーベ・ヤンソンの持ち味そのままで、オーソドックスな「アリス絵」に一ミリも寄せておらず、なんの忖度もないあたりがこれまたすばらしい。

 アリスモチーフのゲームや漫画、小説がお好きな方は、この機会に原典に触れてみてくださいね。

 ※そうそう、「アリス」には重要キャラとして、絶滅鳥ドードーが出てきます。ドードーファンは必読ですよ!

※後日調べたら、「赤い靴」の少女は教会に赤い靴で行ったからだけではなく、自分を引き取ってくれたおばあさんが病気のときに赤い靴で踊っていて看病を怠って死なせてしまったから天罰をうけたらしいです。わたしの読んだ絵本は省略版だったのですね。訂正いたします。 でも、足を切断するまで踊り狂うのって、やっぱりかわいそう。(2020.11.14追記)

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブなシーンはありません。何かと言うと「首をちょんぎっておしまい!」と叫ぶ女王様が出てきますけれども、怖いと言うより、どちらかと言うとクスっとしてしまう感じです。
 現代ではアリスがモチーフの漫画やゲーム、小説、映画など、数多く生まれていますので、今読むと「ああこれが元ネタなのか」とわかって、面白いと思います。

「アリスもの」がお好きな方は、この秋、あらためて読んでみませんか。おいしい紅茶とタルトをお供にぜひどうぞ。

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