【パディントンのクリスマス】やんちゃなクマとブラウン家のはじめてのクリスマス。シリーズ2作目。【くまのパディントンシリーズ】【小学校中学年以上】

2024年2月28日

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パディントンのクリスマス マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館文庫

すっかり人気者となったパディントン。ブラウンさんから部屋をもらえることになりました。ところが、自分で模様替えをしようとして大騒動を巻き起こしてしまいます。でも、そこはパディントン、大失敗したのに感謝されると言ういつものパターンで……

この本のイメージ くま☆☆☆☆☆ ぬいぐるみじゃない☆☆☆☆☆ かわいいから許す☆☆☆☆☆

パディントンのクリスマス マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

<マイケル・ボンド>
Michael Bond(1926年1月13日 – 2017年6月27日)。イギリス・バークシャー州、ニューベリー出身の小説家。代表作は児童文学『くまのパディントン』シリーズ。

 ハロウィンが終わったら、クリスマスシーズンです。これからは、クリスマス当日まで、クリスマスリースやポインセチアの造花、ヒイラギを飾ったり、クリスマスソングを流したりしてうきうきして過ごしましょう!

 日本人は、不景気なときや気分が暗いときは、節目節目のイベントを楽しく過ごすことで乗り切っています。「キリスト教のイベントなのに……」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本は八百万の神の国。いいじゃありませんか。

 それに、クリスマスの起源はケルト文明までさかのぼるんです! ケルトと言えば、なにかと日本に似ていると言う不思議な文明。

 だから、日本人がクリスマスを楽しんだっていいんですよ! (超論理)

 くまのパディントンシリーズ第2巻は、パディントンのはじめてのクリスマスのお話です。
 七つの短編で構成されており、時期的には1巻の直後から、順にお話が進んでいます。

 古いカメラを買って、みんなで写真をとろうとがんばっておかしなことになるドタバタ劇はまだ序の口。パディントンが自力で自分の部屋を改装、いや怪装してしまうお話は、愉快とかおかしいとか言うより、ブラウン家の懐の深さに胸を打たれるレベルです。

 でも、よくよく考えたら、これ、「幼児の行動」なんですよね。
 そうよ、幼児ってこうだわ。大人の仕草を見ているだけで、なんとなく自分でもできそうな気持ちになってとんでもないことをやっちゃったり、失敗をリカバリーしようとしてさらに悲惨なことにしてしまったり、それなのに妙に前向きでさらに高度なことに手を伸ばしたり……

 怪装事件は、パディントンのしでかす大失敗よりブラウン夫人やバードさんの包容力が光ります。これくらい器が大きくないと、生きている、しゃべる熊と同居はできません。

 わたしは先に映画を見ていて、あまりのドタバタぶりに「いくらなんでも原作はここまでではないだろう」と思っていたんですが、ドタバタの部分はほぼ原作通りと言うか、下手すると原作のほうがひどいところもあるので、度肝を抜かれました。

 いや、ふつうないでしょう、映像より小説のほうがひどいって。
 (ただし映画のほうはどちらも途中から超展開になってしまうので(面白いのですが)、ほのぼのホームドラマがお好みの方は原作のほうをおすすめします)

 原作には映像では語られなかったブラウン家の魅力がいっぱい。

 とくに、いつも辛口の家政婦バードさんが、いざというときに頼りになるのです。
 現代でもこう言う女性、いますよね。医療現場に多いんですが、ただ辛口なだけの冷たい人じゃなくて、ふだんは毒舌なのだけど、いざというときにはめちゃくちゃ助けてくれるかっこいい人。こう言う人は自分のことを自分で「わたしは局(つぼね)ですからね~。言うこと聞いてくださいね~」とか言っちゃったりします。

 バードさんもそんな感じで、いつもはパディントンに厳しいし口うるさいのですが、誰かがパディントンをいじめたりすると絶対に許しません。ブラウン家の守護神です。

 そして、骨董品屋のグルーパーさんは癒しです。毎日朝11時にはパディントンにココアをご馳走してくれて、「ブラウンのだんな」と呼んで丁重に扱ってくれる、パディントンの大親友です。

 今回は、秋からだんだん季節が巡って冬になり、クリスマスを迎えます。ペルーからやってきて1年目の、はじめてのクリスマス、どんな体験をするのでしょう。それは読んでみてのお楽しみ。

 ちょうどクリスマスシーズン、読み聞かせにひとつひとつのエピソードを毎週末に読むとラストはだいたいクリスマスになります。また、クリスマスプレゼントにしても。

 子どもにももちろん、大人にも楽しい小説なので、小学校中学年以上の方なら全年齢におすすめできます。

 いろいろと暗いニュースの多い昨今ですが、迷惑だけど憎めない、愛すべきクマのファンタジーを読んでちょっとリラックスしてみませんか。パディントンの失敗を見ていると、自分の日常の失敗なんて些細なことに感じられるくらいダイナミックです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。抱腹絶倒のドタバタストーリーですが、パディントンの愛嬌にすべてもって行かれます。愛すべきクマです。終始、しっちゃかめっちゃかなんですが、ラスト近くのみんなですごすクリスマスはじーんとします。
 この時期、自分で読むのも、プレゼントするのもおすすめです。
 もちろん、読後は温かいココアとマーマレードサンドイッチを。絶対、食べたくなっちゃうので、忘れないでくださいね。

 

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