【くまのパディントン】プーさんと双璧を成すイギリスの愛すべきクマ。ドジでまぬけで愉快なクマの大冒険。【小学校中学年以上】
「クマのプーさん」と双璧を成す、世界的人気者のクマ。でも、こっちのクマはぬいぐるみじゃありません。ペルーから移民(自称)してきた、れっきとした由緒正しいクマなんです。
この本のイメージ 愉快すぎる☆☆☆☆☆ 家族愛☆☆☆☆ 癒される☆☆☆
くまのパディントン マイケル・ボンド/作 松岡 享子/訳 ペギー・フォートナム/画 福音館文庫
<マイケル・ボンド> 1926年イギリス生まれ。BBCやテレビ・カメラマンの仕事の傍ら書いたドラマの脚本が好評を博し、執筆の世界へ。
<ペギー・フォートナム>
1919年、イギリスで生まれた。ロンドンの美術工芸セントラルに在学中、ハンガリーの出版社の依頼でエリナー・ファージョンなど子どもの本にさし絵を描いたものが好評で、引き続きさし絵やポスターの仕事をする。
<松岡 享子>
1935年、神戸で生まれた。大学卒業後、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学び、ボルチモア市の公共図書館に勤めた。帰国後、東京子ども図書館を設立し、子どもと関わる幅広い分野で活動をする。1974年、石井桃子氏らと、財団法人東京子ども図書館を設立し、同館理事長を務める。
初読です。
映画にもなった有名児童小説ですが、いままで読んだことありませんでした。さすがに知らないのはまずかろうと思い、読んでみて大爆笑です。
ストレスがかなりふっとびました。ありがとう、パディントン。
じつは、アマゾンプライムで映画は見ていたんです。でも、超展開だったので、「たぶん、原作はこんな話じゃないんだろうなあ」って、ぼんやり思っていました。
しかし冒頭部分、お風呂に入るまではかなりそのまんまだったんですね。ダイナミックすぎるわ。このクマを受け入れちゃうブラウンさん一家のおおらかさが素敵です。
映画のブラウン夫人は絵本作家で、芸術家らしい好奇心でパディントンを受け入れてた感じなのですが、原作のブラウン夫人は、母性がものすごく大きい人です。ブラウン夫人の器の大きさを超えるのはムーミンママくらいじゃなかろうかというくらい。
夫人のおおらかさに隠れがちですけど、ブラウン氏も、なかなかに寛大な紳士ですし、バードさんはうるさがたに見えて、ただの真面目で善良なおばさまでした。
行く先々で、とんでもない騒動を起こしてしまうのに、それがかえって多くの人を喜ばせてしまう、愛されるクマ。
21世紀の日本じゃ、こうはいかないだろうなと思いながら、この「失敗に寛容な世界」に心和みます。
世の中、もっといいかげんでいいじゃないですかねえ。
オムニバスなので、短い章ごとに、読み聞かせしてあげてもいいかもしれません。お話自体はとてもスピーディで面白く、小さなお子様の大好きなドタバタ劇です。
大人も読んでいて元気が出ます。細かいことをクヨクヨしてるのが、ばからしくなるほど豪快です。
食べ物を食べているシーンがとてもおいしそうなので、お茶の用意をしっかりしてからお読みになることをおすすめします。
大好きなシーンは、パディントンがお芝居を見に行く話。
役者さんの演技を現実だと思い込んで、楽屋に潜入して役者さんに本気の説教をして激怒されるのだけど、相手役の女優さんに「これは大変なお世辞よ。あなたの演技がそれほど真に迫っていたということじゃありませんか」とフォローされ、一転、気に入られちゃう。
そして、大事な仕事をおおせつかる、という……
パディントンは、いつも勘違いやドジで大失敗をするのだけど、かならずそこに絶妙のフォローをしてくれる人がいるんですね。
それは、小さな子どもが失敗をしても、良識ある大人がちゃんと見ていて、おおらかに受け止めてくれる、古き良き世界を描いているようにも思えます。
どこかなつかしい気持ちになる、楽しい童話です。疲れたときに、ぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はひとつもありません。安心してお読みいただけます。できれば温かいココアとたっぷりのマーマレードとおいしいパンをご用意くださいね。
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