【わかったさん】なつかしのクッキングファンタジー。かわいい絵とお話で、お菓子つくりを覚えよう。【小学校低学年以上】
なつかしい、ママ世代から愛されているクッキング童話。わかったさんが巻きこまれるファンタジーを読んでいるうちに、お菓子作りを覚えてしまう、不思議可愛い絵本です。
わかったさんのクッキー 寺村 輝夫/作 永井 郁子/絵 あかね書房
<寺村 輝夫>
1928年東京生まれ。早稲田大学卒業。『ぼくは王さま』で第15回毎日出版文化賞受賞。1984年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により第17回巌谷小波文芸賞を受賞。2006年没。
クリーニング屋の娘、わかったさんがおうちの仕事を手伝いながら、不思議な事件に巻き込まれるうちに、お菓子の作り方をマスターするファンタジーシリーズ第一巻。
「わかったさんのドーナツ」「わかったさんのホットケーキ」など、いろんなお菓子のお話があります。
わかったさんは、何を言われても理解が早く、すぐに気さくに「わかった、わかった」と答えるので「わかったさん」と呼ばれています。
わかったさんは、おうちのクリーニング屋さんのバンを運転してお手伝いしているので、もう成人している大人なのでしょう。彼女は、仕事で洗濯物を受け取ったり配達したりしながら、いつも不思議な事件に巻き込まれます。
このお話の特徴は、まるて白昼夢のようなファンタジー。
カラフルで楽しいけど、とりとめがなく、唐突なタイプのファンタジーです。「不思議の国のアリス」や、「オズの魔法使い」系の童話で、「どうしてそうなるの」みたいなところは説明しないでぐいぐい行きます。
そして、どういうわけか、お菓子のレシピを歌う。たぶん、これってミュージカルなんですね。(ここらへんの説明もない。豪快だ)
でも、わかったさんの性格がものすごくサッパリしてるし、なにしろ「わかったさん」と言うくらいなので、突拍子もないことが起きても即座に「わかった、わかった」と対応してしまうので、このとりとめもないファンタジーが、うまくまとまっているのです。
この唐突さや、とりとめもなさって、幼児時代に見る夢とすごく似ています。小さい子どもにはすんなりと受け入れられそう。
レシピ童話は、レシピの部分と童話の部分のさじ加減が難しいと思うのですが、わかったさんのシリーズは、童話の部分がかなり本格的な不条理ファンタジーなので、パワフルでダイナミックな魅力があるんです。
そして巻末には、丁寧な「お菓子の作り方」が図解式で掲載されている、至れり尽くせりの絵本です。
まずは読み聞かせで読んであげると、次は作ってみたくなるかも。読みながら、お料理の細かい説明をしてあげるのもいいですね。
お話を楽しむことができ、お菓子作りも楽しめる、一石二鳥の絵本です。
紹介されているお菓子は、成型の必要もない、超簡単な「ロッククッキー」。
必要なのは材料を正確に測ることだけ。これも、小さなお子様には、化学実験みたいで楽しい作業となりそうです。
レシピ童話って、レシピ本と童話のいいとこどりみたいな童話で、素敵ですよね。新旧取り混ぜて今後もご紹介していきますね。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
疲れたときにはすごくいい気がします。かわいい童話に癒されるし、美味しいお菓子を作ればおなかも満足します。小さな女の子へのプレゼントにもおすすめです。
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