【やまの動物病院】動物たちを助ける真夜中の秘密のお医者さん。長いお話の読みはじめにおすすめのほのぼのストーリー【小学校低学年以上】

2024年4月2日

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やまの動物病院 なかがわちひろ/作・絵 徳間書店

まちの動物病院のまちの先生は、町の動物のお医者さん。大きなねこのとらまると暮らしています。けれど、まちの先生は知りません。とらまるが、真夜中に「やまの動物病院」をひらいていることを……

この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 動物のお医者さん☆☆☆☆☆ 猫かわいい☆☆☆☆☆

やまの動物病院 なかがわちひろ/作・絵 徳間書店

<なかがわちひろ>
創作絵本や海外絵本の翻訳など、児童書のさまざまな分野で活躍。「天使のかいかた」「まほろ姫とブッキラ山の大テング」など。

 「まほろ姫」などで知られるなかがわちひろ先生の新作。初版は2022年です。

 お話は……

 まちの動物病院は、町のはずれ、山のふもとにある町の動物たちのお医者さんです。
 まちの先生は、まちのよしおと言い、いつも「よしよし」と動物たちを優しく治してくれるのです。

 飼い猫はとらまる。昼間は寝てばかりのふとっちょの猫ですが、実は秘密がありました。

 真夜中になると、とらまるはお医者さんになるのです。
 とらまるがひらいている「やまの動物病院」は、山の動物たちが頼りにする、動物病院だったのでした。

 とらまるが真夜中に秘密の病院をひらいていることは、人間たちは誰も知りません……

 ……と、言うのがあらすじ。

 なかがわちひろ先生は、絵が描け、お話が書け、そして翻訳もできる多彩な方です。

 絵本をたくさん読むようになって、「いいな」と思った絵本のなかにかなりの割合でなかがわ先生の翻訳があるので驚きました。児童文学や絵本の世界を知るまでは、世の中にこんなすごい方がいらっしゃるとは知りませんでした。絵はかわいいし、物語は面白いし、翻訳は素敵だし、まさに超人です。

 今回は、小さなお子さま向けのかわいい動物ファンタジー。

 町で人間に飼われている動物たちのための「まちの動物病院」のまちの先生の飼い猫のとらまるが、真夜中に山の動物たちのためにこっそりお医者さんをしているというかわいいお話です。

 なんということもないお話なのですが、とにかく、登場する動物たちがみんな、とぼけていて愛らしいのです。

 なかがわ先生の描くとらまるが最高。
 猫らしい仕草のなかに、人間らしさが絶妙に配合されており、頼りになる動物たちのお医者さんとしての貫禄もあります。登場する多彩な動物たちのとぼけた仕草に味があって、鳥獣戯画のような魅力もあります。

 表紙では白衣を着てかっこいい獣医さんぶりのとらまるですが、この「かっこいい白衣」をどうやって手に入れたかも物語で語られています。白衣に猫のアップリケがついていてとてもかわいい。

 文章は読みやすく、漢字交じりですがすべての漢字に振り仮名が振ってありますから、50音さえ読めればコツコツひとりで読むことができます。もちろん、読み聞かせにも。

 難易度としてはちょうど絵本と小説の中間くらい。文章の少ない絵本を卒業して、長めの物語に挑戦しはじめの頃にぴったりです。

 同等の難易度としては「チュウチュウ通り」シリーズや「パン屋のイーストン」あたりでしょう。全頁見開きに絵が入っているのも魅力です。

 シンプルな物語なのに、思わず笑顔になってしまう、ほのぼの動物ストーリー。
 動物好き、猫好きのお子さまに、ぜひとうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。
 動物、とくに猫が大好きなお子さまにおすすめです。字は小さめですが、文章の分量が「絵本よりちょっと多め」というボリュームなので、絵本を卒業したばかりくらいのお子さまの、長めのストーリーの読み始めにおすすめです。

 

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