【ふまんがあります】大人ってどうしてそうなの? 小さな子の不満をかわいくえがいた絵本【4歳 5歳 6歳】
大人って、いいかげん。あれだってこれだって、ズルい。今日こそ、言ってやる。わたしには不満があるの! ………… 小さな子の感じる「ちょっとした不満」をかわいく描いた、ユーモアあふれる絵本です。
この本のイメージ 大人ってズルい☆☆☆☆☆ このさいだから言ってやる☆☆☆☆☆ でもパパ大好き☆☆☆☆☆
ふまんがあります ヨシタケシンスケ/作 PHP研究所
<ヨシタケ シンスケ>
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。スケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表している。初の絵本作品となる『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞など数々の賞を受賞。
ヨシタケシンスケ先生のかわいくてゆかいな絵本です。おそらくは「りゆうがあります」の姉妹版。初版は2015年です。
主人公の女の子は怒っています。
なぜなら、大人はズルいから。
このさいだから言ってやろう。
どうして大人は夜遅くまでおきているのに、子どもだけ早く寝なくちゃいけないの?
どうしてお風呂に入る時間を大人が勝手に決めちゃうの?
どうして勝手にしたら怒るくせに「勝手にしなさい」なんて言うの?
女の子は次々とパパに不満を言うのですが、パパは次から次へととんでもない屁理屈をひねり出してけむに巻いてしまうのです。
「りゆうがあります」では、ママが理路整然と息子を追い詰めると息子が屁理屈で対抗するお話でしたが、「ふまんがあります」のほうでは、なかなかもっともな理由で不満を述べる娘にパパのほうが超理論で言い返します。
でもね、そんな娘のほうにも言ってることと行動が矛盾することもあるし、約束を守れないこともあるのです。
だけど、最後は娘のパパへのけなげな発言で、パパは許してしまうのでした。
……と、いうのがあらすじ。
次から次へとトンデモなホラ話で娘の不満をかわしてしまうパパの発想力たるや。頭に何が詰まっているんでしょうね。
こんなパパなら、一緒に暮らしているだけで毎日楽しいでしょうねえ。いや、いい加減すぎてこんなふうに不満がたまることもあるのでしょうか。
でも女の子はぷんぷん怒っていてもパパが大好きだし、パパの娘への愛情も伝わってきます。
突拍子もない超論理を繰り広げている、ユーモアたっぷりの絵本なのに、親子の愛情や固い絆は感じられるから不思議です。
不満があるのは一生懸命がんばっているから。フェアにやりたいのになんだか不公平に感じてしまうから。そんな頑張り屋の小さなお子さまが、ふっと肩の力を抜いて楽になれるような、ゆかいで楽しい絵本なのです。
字はほとんどひらがなとカタカナ。少しだけある簡単な漢字には振り仮名が振ってありますので、小さなお子さまでも読みやすく作られています。でも、きっと読み聞かせをしても楽しいですね。
ヨシタケ先生の絵本には不思議な魅力があって、大人が読んでも楽しくて、心がほぐれて癒されます。おおらかな笑いがこぼれてきて、細かいことでクヨクヨしているのがばからしくなってくるのです。
読みたいな、と思ったら大人の和み本としても。
教訓や道徳なんて関係ない、ただ心がゆかいに躍って、固くてキツかった何かがほぐれて消えてゆく、そんな絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。
日常の、小さな理不尽に憤慨する女の子をユーモアたっぷりに描いている絵本です。
皮肉っぽいなかに楽しさや、あたたかさもあり、ラストはほのぼのとした愛情にあふれています。小さなお子 さまへのプレゼントだけでなく、大人の和み本としてもおすすめです。
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