【紅の魔女】「青の読み手」から続く本格ファンタジー第二弾。本が導く冒険の旅【小学校高学年以上】

2024年4月2日

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紅の魔女 小森香折/作 平澤朋子/絵 偕成社

選ばれし者しか読むことが出来ない「サロモンの書」の読み手となったノアは、ものを言うねずみ、パルメザンとともに旅に出ました。途中で魔女狩りの歴史をもつきらびやかな街に立ち寄ります。そこで、不思議な女性と出会い……

この本のイメージ 本格ファンタジー☆☆☆☆☆ 魔法☆☆☆☆☆ 陰謀☆☆☆☆☆

紅の魔女 小森香折/作 平澤朋子/絵 偕成社

<小森香折>
東京都に生まれる。「ニコルの塔」でちゅうでん児童文学賞大賞、新美南吉児童文学賞を受賞。作品に「歴史探偵アン&リック」シリーズ、「夢とき師ファナ」「時知らずの庭」「ウパーラは眠る」など、翻訳に「リスベート・ツヴェルガーの聖書物語」などがある。

<平澤朋子>
イラストレーター。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、児童書の挿絵や絵本など、様々な媒体で活動中。絵本に「ニルスが出会った物語」シリーズ、「巨人の花よめ」、装画・挿絵を手掛けた作品に「アギーの祈り」「千の種のわたしへ」「竹取物語」など多数。

 初版は2022年。「青の読み手」の続編です。

 架空の世界を舞台にし、意思を持つ魔導書「サロモンの書」をめぐる陰謀と冒険を描いた本格ファンタジー。 

 お話は、「青の読み手」から始まり、完全に続いていますので、興味を持たれた方は、まずは「青の読み手」からお読みください。「青の読み手」のレビューはこちら

 さて、今回のお話は……

 意思を持つ魔導書「サロモンの書」に選ばれ「読み手」となったノアは、ものを言うねずみパルメザンとともに旅に出ます。

 「サロモンの書」は、ふだんは白紙の本ですが、ノアが問いかけると字が浮かび出て読めると言う不思議な本。また、本棚から本棚へと自在に移動することもできるようです。

 そんな不思議な魔導書に導かれ、ノアたちが立ち寄ったのは、魔女狩りの歴史のある街リバーレイ。領主のブーケ子爵は、錬金術師オルガトフの力を借りて不正の限りをつくして私腹を肥やしていました。

 そんな街でノアはサンドラという不思議な女性に出会います。
 美顔師だというサンドラ。けれど、彼女には、もうひとつの顔もあるようで……

 ……と、いうのがあらすじ。

 前回、わたしが大好きになった、セシル。
 王女だったセシルは今回、女王になって再登場です。うれしい。

 セシルには生まれて間もない頃に修道院で授けられた「印」によって、人の心の善悪がわかると言う不思議な能力がありました。
 そのため、かなりの人間不信で怒りっぽい性格に育ってしまったのです。

 ファンタジーで「人の善悪がわかる」と言う設定だと、純粋で心が清らかなヒロインになりがちなのに、セシルのこの性格はリアルで、強烈で、そして魅力的です。
 そりゃ、小さな頃からそんなことがわかったら、そうなるよね……という納得感があるし、そしてそんな自分の能力や運命を嘆いてしおれてしまったりしないのもいい。強くてかっこいい女の子です。

 今回は、このセシルが陰謀に巻き込まれそうになりますが……それがノアの冒険とどう絡んでくるのかはお楽しみ。

 剣などの魔法アイテムが人間のほうを選ぶお話は、「アーサー王伝説」の昔からファンタジーの定番ですが、本と言うのが本好きにはたまらない魅力です。

 これから、ノアの冒険はどこへ行くのか……本にも、ノアにも、そしてねずみのパルメザンにも、まだまだ秘密がありそうです。

 文章は読みやすく、かなりの漢字交じりの文章ですが、難しい漢字には振り仮名が振ってあります。本を読みなれた子なら小学校高学年から読めるはず。

 「プリデイン物語」「ナルニア国物語」など、土臭い本格ファンタジーがお好きな方ならおすすめ。
 きらびやかな宮殿や、舞踏会などの場面もありながら、下町や深い森の描写がリアルで、どっしりとした重厚感のあるファンタジーです。

 ファンタジー好きの嗅覚をくすぐる魅力的なシリーズ。
 「青の読み手」とあわせて、この冬休みにぜひどうぞ。

※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 多少のアクションシーンや危険なシーンはありますが、気をつけて書かれているので残虐なシーンはありません。安心してハラハラドキドキを楽しめます。

 伝統的な本格ファンタジーが好きな方にはおすすめのシリーズです。

 

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