【しっぱいなんかこわくない!】創りたいものがあれば、やってみよう!挑戦する楽しさを描いた絵本。【4歳 5歳 6歳】
ロージーはエンジニアになりたい女の子。いつも、がらくたを組み合わせて新しいメカを作ってしまう。だけど、ある日、フレッドおじさんに笑われて…… (しっぱいなんかこわくない! アンドレア・ベイティー/作 ディヴィッド・ロバーツ/絵 かとうりつこ/訳 絵本塾出版)
この本のイメージ 発明☆☆☆☆☆ 挑戦☆☆☆☆☆ 好奇心☆☆☆☆☆
しっぱいなんかこわくない! アンドレア・ベイティー/作 ディヴィッド・ロバーツ/絵 かとうりつこ/訳 絵本塾出版
<アンドレア・ベイティー>
アメリカ・イリノイ州生まれ。子どものころは畑や森で冒険するのが大好きだった。大学で生物学とコンピュータサイエンスを学び、コンピューターのソフトウエア会社に勤務。その後、子どもの本の作家となる。デイヴィッド・ロバーツとコンビを組んだ本シリーズは全世界で300万部以上を売り上げ、女性宇宙飛行士が宇宙から読み聞かせをして話題になり、ネットフリックスでアニメ版「せかいはふしぎでできている!」が配信されるなど、世界的な人気を博している。
<ディヴィッド・ロバーツ>
1970年、イギリス・リヴァプール生まれ。大学卒業後、ファッション・イラストレーターとして働く。1998根君から児童書を手掛けはじめ、次々に作品を発表、高く評価されている。日本で紹介された作品に「モンタギューおじさんの怖い話」(作 クリス・プリーストリー 理論社)、「10の奇妙な話」(作 ミック・ジャクソン 東京創元社)など。ロンドン在住。
<かとうりつこ>
東京の下町に生まれる。翻訳家。出版社で編集者として数多くの翻訳書を手掛けてきた。「ぼくのこころがうたいだす!」 「ちいさなこえがみらいをかえる!」など。
本日ご紹介する絵本は絵本塾出版さまの「しっぱいなんかこわくない!」。
エンジニアになりたいちっちゃな女の子のお話です。
原題はROSIE REVERE,ENGINEER.
アメリカでの初版は2013年。日本での初版は2017年です。
お話は……
ロージーは、世界一のエンジニアになりたい女の子。
小学校の教室ではいつも大人しく座っています。けれど、誰もいないところではエンジニアのたまごに変身。
ごみばこをあさってガラクタを拾うと秘密工場で、びっくりするような発明品を次々と作り上げます。
「ホットドッグ製造機」や、「ふうせんパンツ」なんかを。
でも。ある日、自信作の「ヘビたいじヘルメット」を動物園の飼育係のフレッドおじさんに笑われたことで、傷ついてしまいます。
おちこんでいたある日、おおおばさんが遊びに来てくれました。
若いころ、飛行機工場で働いていたおおおばさんには、空を飛んでみたいと言う夢がありました。
ロージーは夜、考えました。
こうしたら、ああしたら、空飛ぶ機会が作れるかも……
そしてロージーは……
……と、いうのがあらすじ。
NASAの女性宇宙飛行士 キャスリーン・ルビンズさんが国際宇宙ステーション(ISS)から地球の子どもたちへ読み聞かせをしたことで、アメリカで大人気になった絵本だそうです。
学校では大人しくて目立たないロージー。
でも、誰もいないところでは素敵な発明家のロージー。
誰も思いつかない、独創的な発明品をひとりで作り上げてしまいます。
新しいものを生み出すことが大好きなロージーでしたが、「ヘビたいじヘルメット」を大好きな(ここがポイント)フレッドおじさんに笑われたことで、発明が嫌になってしまいます。
そうよね、嫌いな子にばかにされるなら「なにくそ」と思えるけど、好きな人に笑われたらつらい。
そんなとき、大好きなおおおばさんが遊びに来てくれます。
そして、おおおばさんの「空を飛んでみたい」と言う夢を聞いたら、またロージーの「何かを創りたい」と言う気持ちがむくむくと湧いてきたのです!
ロージーには素敵な美徳がたくさんあります。
好奇心が旺盛なこと。
想像力が豊かなこと。
想像を形にできること。(すごい!)
何かを創り始めて、きちんと完成させるまでやりとげること。(大切)
そして、それを「だれかのために」やりたいと思うこと。(めちゃくちゃ大切)
これはすべて発明家にとって必要な美徳です。
最初は「面白い」「楽しい」だけでメカを造っていたロージーですが、フレッドおじさんに笑われてへこみ、おおおばさんに励まされて元気が出てからは「だれかのために発明をしたい」と言う気持ちに後押しされて、「空飛ぶ機械がつくりたい」と言う欲求がむくむく湧いてきます。
そして、ロージーは失敗しながらも作りたいものに挑戦し続けるのです。
ロージーのおかげで。ロージーのクラスの子どもたちも、思い思いの不思議な機械を作るようになりました。
うまく作れるかどうかなんて、最初はどうでもいいんです。
「やってみたい」「つくってみたい」という気持ちが大事。
最初はうまくいかないのはあたりまえ。
「もし、失敗したら……」なんて心配せずにどんどんやってみよう!
そこにはきっと、見たこともない、素敵な景色があるはず。
ロージーが女の子なのも、ロージーを励ますのが昔飛行機工場で働いていたおおおばさんなのも、そして、この絵本を宇宙から読み聞かせしたのが女性宇宙飛行士なのも素敵。
女の子はどうしても男の子よりも小さく、常識的にまとまってしまいがちです。
「女性は現実主義だから」とか、よく言われますけれど、子どものころから男の子なら荒唐無稽なことを言っても「夢がでっかくていいね!」と言われるところを女の子だと「何ばかなこと言ってるの」と言われ、委縮してしまいがち。
でも、そんなこと気にしなくていいのよ、と言うのがこの絵本です。
ラストシーンはアメリカらしく、多種多様な子どもたちが思い思いの発明品を作って楽しげにしています。担任の先生も怒るどころか嬉しそう。
今、新しい技術が次々と生まれてくる時代です。これからの世の中がどんなふうになってゆくのか、誰も予測がつかない時代。
どんな人だって、どんなことだって考えて、挑戦していいんです。そして、失敗したっていいんです。
文章はすべてひらがなとカタカナ。
文章量はわりとあり、見開きに最大で15行くらい。けれども、読みやすいので五十音が読めるお子さまならひとり読みで最後まで読み切ることができます。
けれども、これはぜひ、読み聞かせで。
大人と一緒に「失敗したっていいんだよ」と言う本を読むことは、子どもにとってどんなに心強い励ましになるでしょうか。
小さなころの記憶は、大人になってからその人の人生を大きく支えます。
別に発明家やエンジニアにならなくても、「新しいことにチャレンジしてもいい」「失敗してもいい」と言うメッセージは、人生の困難にぶつかったときに大きな支えになりますし、日常の小さな冒険を後押しして日々をより豊かなものにしてくれます。
寒い季節のおうち時間に。お留守番のおともに、そして読み聞かせに。
「しっぱいなんかこわくない!」は、心に元気を与えてくれる、栄養剤のような絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。ゆかいで楽しく、元気が出る絵本です。
工作や機械が好きな女の子にとくにおすすめしますが、男の子でも楽しく読むことができます。
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