【つきのこうえん】月の夜の不思議な体験。美しい夜の世界のファンタジー絵本。【4歳 5歳 6歳】
るなちゃんは寝る前におかあさんに本を読んでもらうのが大好き。だけど、今日はおかあさんはなかなか来てくれません…… (つきのこうえん 竹下文子/作 島野雫/絵 パイインターナショナル)
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 月の夜☆☆☆☆☆ 美しい☆☆☆☆☆
つきのこうえん 竹下文子/作 島野雫/絵 パイインターナショナル
＜竹下文子＞
東京学芸大学教育学部卒業。「黒ねこサンゴロウ」シリーズ（偕成社）で路傍の石幼少年文学賞を受賞。文章を担当した主な絵本に、「なまえのないねこ」（小峰書店）、「ねえだっこして」（金の星社）、「なんでもモッテルさん」（あかね書房）、「げんきになったよこりすのリッキ」（偕成社）などがある。
島野 雫：東京藝術大学日本画専攻卒業。著書に「おなかのなかで」「うずらかあさんとたまご」（共に教育画劇）がある。
＜島野雫＞
1981年生まれ。東京藝術大学日本画学科卒業。あとさき塾で絵本を学ぶ。ピンポイント絵本コンペ優秀賞受賞。
美しい絵本のご紹介です。初版は2023年。
お話は……
るなちゃんは、寝る前におかあさんに寝る前に本を読んでもらうことが大好き。
だけど、今日はおかあさんがなかなか来てくれません。
おかあさんを待っているうちに、猫のミモが窓をカリカリとひっかきます。
その音が気になって窓をあけると、そこにはナールと言う男の子が夜空に浮かんでいました。
「るなちゃん こんばんは。 つきのこうえんにあそびにこない？」
るなはマールと手をつないで夜空に浮かび、月の公園へと向かいます。
美しい月の公園ではパジャマ姿の子どもたちが遊んでいました。
るなちゃんはそこで月のボールで遊びます。
ぶらんこで遊び、パレードを見て、小舟で川を下り、金色のさくらんぼを食べて……
「るなちゃーん」
おかあさんが呼ぶ声を聞き、るなちゃんは長い長いすべり台に乗って……
……と、いうのがあらすじ。
ああ、こんなことよくありました。
母が本を読んでくれるのを寝床で待っていると、母が洗い物や片づけ物などをしているうちに眠ってしまう。
わたしが幼いころは、「読み聞かせの効能」などは認知されていなかったので、五十音がある程度読めるようになってからの読み聞かせは「甘やかし」だという誤解がありました。
だから、わたしは読み聞かせをしてもらった記憶があまりないのです。
今では、読み聞かせはひとり読み読書とは違う脳の部分を使うので、脳の発達に有効であり、大人になってからでも効果があると証明されています。
話が少々脱線してしまいましたが絵本のストーリーへ戻ると、るなちゃんはおかあさんを待っているうちに不思議な少年ナールに誘われて月の公園へ向かいます。
そこではたくさんのパジャマ姿の子たちが遊んでいました。
パレード(行列)を見たり、舟に乗って川を下ったり、果物を食べたりと、なんだかちょっと不吉な表現が続いて読んでいて怖かったのですが…… お話はほのぼのとしたハッピーエンドです。(ホッ)
るなちゃんが好きなものを数えるシーンが幸せの数のよう。
竹下先生のあたたかな文章が詩のように心に沁みわたってきます。
そして、鳥野先生の圧倒的画力で描かれる美しい月の世界。
幻想的な世界観は子どもだけでなく、大人も惹き込まれてしまいます。
文章はすべてひらがなとカタカナ。見開きに最大で10行前後なので五十音が読めればひとり読みでコツコツ読み切ることができますが、これはぜひ、読み聞かせで。
るなちゃんが好きなものをお子さまの好きなものに置き換えてもいいですね。
寝る前に読むと不思議な夢を見られそう。
月の美しい、静かな夜の読み聞かせに。ファンタジックな気分になったらぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。美しく幻想的で、そしてやさしい物語の絵本です。
感受性を刺激する絵本なので、HSCのお子さまのほうがより多くのことを感じ取れるかも。
猫のミモが可愛らしいので、猫好きさんにもおすすめです。
読後ははちみつトーストでお茶を。
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