【ぼくはアフリカにすむキリンといいます】見たこともない友だちに会いに行く!とぼけた動物ファンタジー【小学校低学年以上】

2024年4月16日

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ぼくはアフリカにすむキリンといいます  岩佐めぐみ/作 高畠純/絵 偕成社

アフリカにすむ一頭の退屈なキリンが、手紙を書きました。配達するのは退屈なペリカン。「地平線のむこうでさいしょにであった動物」あてに…… (ぼくはアフリカにすむキリンといいます  岩佐めぐみ/作 高畠純/絵 偕成社)

この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 文通☆☆☆☆☆ 未知との遭遇☆☆☆☆☆

ぼくはアフリカにすむキリンといいます  岩佐めぐみ/作 高畠純/絵 偕成社

<岩佐めぐみ>
1958年、東京都に生まれる。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、1986年まで同大学学科研究室に勤務する。作品は「ぼくはアフリカにすむキリンといいます」(2018年ドイツ児童文学賞受賞)「わたしはクジラ岬にすむクジラといいます」などの「クジラ海のお話」シリーズ(偕成社)、「バッファローおじさんのおくりもの」「カンガルーおばさんのおかいもの」(講談社)などがある。ドイツで権威あるドイツ児童文学賞を日本の作品が受賞するのは初めてで、話題となる。

<高畠純>
1948年愛知県名古屋市生まれ。愛知教育大学美術科卒業。「だれのじてんしゃ」(フレーベル館刊)でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞。 他に「ペンギンたんけんたい」「オレ・ダレ」「オー・スッパ」(以上講談社刊)、「だじゃれすいぞくかん」「おとうさんのえほん」(絵本館刊)などの作品がある。

 とぼけた動物ファンタジーのご紹介です。初版は2001年。

 わたしたちの世代には昔、「文通」という文化がありました。
 雑誌の巻末には「文通コーナー」があって、文通相手を探している人が住所を載せたりしていたのです

 今では考えられないことですが当時は電話帳にも住所が記載されていたし、個人情報の管理が今よりはゆるかったのです。

 たしか、「じゃまーる」と言う雑誌があって、「売ります」「買います」情報や「譲ります」「譲ってください」情報などと一緒に文通相手募集なんて項目もあったと記憶しています。

 「じゃまーる」はインターネットが誕生する前は遠く離れた見知らぬ人と連絡をとるわりと貴重な手段でした。

 遠く離れた人と連絡をとると言えばいまだとSNSやメールなのですが、手紙はメールよりずっと遅いので、手紙を出してから返事をもらうまでの「待つ時間」などが楽しみで、お返事を書く時間なども楽しく、当時は皆そういったのんびりしたコミュニケーションを楽んでいました。

 この本は、そんな昔懐かしいコミュニケーション「文通」をテーマにした物語です。

 アフリカにすむ退屈なキリンは、ある日、自分の人生に変化を求めて退屈なペリカンに手紙を託します。
 「地平線のむこうでさいしょにであった動物」あてに。

 ペリカンは引き受け、地平線のむこうに向かって飛んでゆきます。

 さて、いったい、どんな動物が手紙を受け取ってくれたのでしょう?
 ペリカンは返事をもらって戻ってきました。

 お返事をくれたのは「ペンギン」。
 キリンは見たことも聞いたこともありません。

 互いに見知らぬ同士が文通をはじめました……

 ……と、いうのがあらすじ。

 ペンギンという動物をまったく知らないキリンが、ペンギンの姿をあれこれ想像し、「こんなふうなのかな」と想像上のペンギンの真似をしようとするのがかわいい。

 互いのことをあれこれ想像しながら文通するのが楽しくて、待ち時間や相手のことを考える時間を大切にするキリンの豊かな心が忙しい毎日で忘れかけていた何かを思い出させてくれます。

 今では技術の発展によって、地球の裏側の人とも一瞬で連絡が取れ、文章だけでなく絵や動画もやり取りできる時代となりました。
 それはそれで見知らぬ誰かと出会える喜びがあるし、それによって素晴らしい「何か」が生まれることもあります。危険はありますけども。

 未知の何かに触れようとすること、見知らぬものを想像すること、知らない誰かと交流すること……
 そんなキリンの無鉄砲さがおおらかなペンギンとの出会いを呼び、そしてふたりはとびきりの親友になりました。

 文章は平易で読みやすく、ひらがな多め、簡単な漢字には振り仮名が振ってありますので、小学校低学年から。読み聞かせにもおすすめです。
 「モンスター・ホテル」の高畠純先生のとぼけた絵も最高。ペンギンの真似をしようとしたキリンをみると思わず吹き出しそうになってしまいます。

 ゆかいで、ほのぼのとして、なんだか少しなつかしい気持ちになる動物ファンタジー。
 日常にちょっぴり変化が欲しくなったら、親子で読んでみませんか。
 「ぼくはアフリカにすむキリンといいます」をぜひどうぞ。

※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。とぼけてて、ゆかいな動物ファンタジーです。昔懐かしい「文通」がテーマで、今のお子さまには新鮮かもしれません。

 

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