【魔法の庭ものがたり】魔女になりたいジャレットのハートフルストーリー【だれでもできるステキな魔法】【小学校低学年以上】

2024年3月16日

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だれでもできるステキな魔法  魔法の庭ものがたり 5  あんびるやすこ/作 ポプラ社

みんなが待ち望んでいる春をおいわいする「りんごの花まつり」、でも、今年は春の訪れが遅く、中止になりそうです。そんなとき、ジャレットの薬屋さんに不思議なお客さまがやってきて……

この本のイメージ ハーブ☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ 自己実現☆☆☆☆☆

だれでもできるステキな魔法  魔法の庭ものがたり 5  あんびるやすこ/作 ポプラ社

<あんびるやすこ> 
群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」シリーズなど。 

 あんびるやすこ先生のハーブとアロマのハートフルストーリー「魔法の庭ものがたり」の第5巻です。このお話は、魔女トパーズの家を「相続魔法」によって相続した少女ジャレットと友人たちの成長物語です。
 
 今回のお話は……

 魔女トパーズのようになりたいと思ったジャレットは、トパーズをイメージして見よう見まねでブレンドハーブティーを作ってみますが、うまくゆきません。

 トパーズってどういう魔女だったのだろう? トパーズと交流があったバーボアさんから手紙が来ました。トパーズは「カモミールのような魔女になりたい」と言っていたそう。カモミールのような魔女って??

 さてさて、今年はどうも春の訪れが遅く、みんなが幸せにしていた「りんごの花まつり」は中止になりそうです。

 どうしてりんごは咲いてくれないのかしら。
 そんなとき、ジャレットの薬屋さんに不思議なお客様がやってきます。

 彼女は「冬の精」。いつもは眠りに入るはずなのに、眠れないのです。りんごの花が咲かないのは、冬の精が眠れないからだったのでした。「冬の精を眠らせてあげたい」と思ったジャレットは、カモミールティーをプレゼントします。
 けれど、残念ながら冬の精は眠れませんでした。

 どうしたらいいのかしら。悩んだジャレットは、「カモミールのような魔女になりたい」と言ったトパーズの言葉をもう一度考えてみます。そして…… 

と、いうのがあらすじ。

 ※ひとつだけ、この本で気になったところは、子猫にエッセンシャルオイルを使ったスプレーを使うシーンです。猫にエッセンシャルオイルは禁忌で、死の危険がありますので、小さなお子様が読むときは、お母様がそこだけは説明してあげてください。(たぶん魔法の猫なんだよってことで)

 今回のテーマはカモミール。カモミールは、心をしずめる、安眠、消化促進、抗菌など、さまざまな効能があります。ちょっとした風邪や鼻づまりなどは、カモミールティーの蒸気をかぎながら飲むと軽減します。

 大変強い植物で、踏まれれば踏まれるほど繁殖することから、カモミールの花言葉は「逆境に負けない」。

 また、コンパニオンプランツとしての効果もあり、カモミールを傍に植えると、植物が元気になったり、害虫がつかなくなったりするので「植物のお医者さん」とも呼ばれています。とくに玉ねぎや、アブラナ科の植物と相性がよく、カマキリやテントウムシを住まわせるので害虫退治にもなります。

 ジャレットは、このコンパニオンプランツとしてのカモミールの力を知り、「相手に寄り添うことで力を発揮する」カモミールに見習おうと思い立ちました。

 それで、冬の精のために心を込めたティーパーティーをひらき、カモミールティーでおもてなしすることにしたのです。
 それは、ただカモミールティーをプレゼントするより、ずっとずっと大きな効果があって……

 今回のお話を読んで、「あ、このシリーズ、ファンタジーだったんだ」と思い出しました。最初は家を守るカエデの精とかがでてきて、ファンタジックだったのですが、このところはずっと友情物語がメインで、忘れていました。

 今回のお客様は「冬の精」。あんびる作品には、「氷の精」「雪の女王」など、冬を象徴する精霊が登場する童話があります。みんなそれぞれ、やさしくて真面目で、自分の仕事をちゃんとこなすけれど、少しさみしい、そんな精霊たちばかりです。人間は、春をまちわびるばかりで冬は嫌いますからね。

 (ちなみにフィギュアスケートは冬がシーズンで夏はオフシーズンなので、わたしは冬は好きです)

 彼女たちの悩みを、それぞれの物語の主人公たちが、自分の特技で解決してあげるのですが、どの物語もハートフルで、いい話が多いのです。

 今回のお話でもジャレットは、冬の精のために自分ができることをせいいっぱい頑張って、心をこめたおもてなしをします。お客様をもてなすのは、もてなすほうも楽しいものです。
それを実感したジャレット。

 誰かに寄り添うことが楽しいなら、ジャレットは立派な「トパーズのような魔女」なのかもしれません。

 文字はほどよい大きさで文章は平易で読みやすく、漢字には振り仮名がふってあります。絵本を卒業したばかりのお子さまにちょうどいいボリュームです。
 読みきり漫画のようにテーマや起承転結がはっきりしているので、小さなお子さまにも理解しやすく、読書感想文も書きやすいと思います。細かい章に分かれているので、読み聞かせにも最適。

 あんびる先生の作品は、いつもほのぼのとしたストーリーと悪人のいない世界観、それでいて、主人公の成長や心の交流が描かれていて、読むと元気になるお話ばかり。そして、何かしらの豆知識も手に入ります。

 「魔法の庭ものがたり」を読むと、ハーブや植物にもっと親しみたくなります。ハーブを取り入れた生活は、忙しい日常にやすらぎをプラスしてくれます。

 大人もほっこりなごめる、ハーブファンタジー。これからもコツコツ読みすすめてゆくつもりです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。ハーブとアロマのほのぼのストーリーです。しっかりした構成で書かれている物語なので、読書の導入本として。
また、悪人の出てこないやさしいお話なので、お見舞いや差し入れにもおすすめです。読み聞かせにも。

 猫にエッセンシャルオイルを使ってはだめなことだけは、お子さまに教えてあげてください。

 読後は、カモミールのミルクティー、カモミールミルクはいかがでしょう。甘みは黄金色のハチミツで。
お風呂上りにぴったりです。

 

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