【魔法の庭ものがたり】仲良し三人組が力をあわせて。ハーブとアロマのハートフルストーリー【タッジーマッジーと三人の魔女】【小学校低学年以上】
もうすぐ村のフェスティバル。ジャレットは仲良しのエイプリルとスーの三人で、何か出店を出そうと計画します。ところが、どんな店にするかで意見が食い違い、けんかしてしまいます。さあ、ジャレットたちはどうなるのでしょうか
この本のイメージ ハーブ☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆ 恋☆☆☆
タッジーマッジーと三人の魔女 魔法の庭ものがたり4 あんびるやすこ/作 ポプラ社
<あんびるやすこ>
群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」シリーズなど。
あんびるやすこ先生のハーブとアロマのハートフルストーリー「魔法の庭ものがたり」の第4巻です。季節としては、おそらく6月くらいの物語ですが、あえて今ご紹介。
もうすぐ村のフェスティバル。ジャレットは仲良しのスーとエイプリルの三人で出店を出そうと計画します。けれども、ハチミツ屋さんをしたいスーとポストカード屋さんをしたいエイプリルの意見がぶつかりあい、ふたりが譲らなかったために大喧嘩になってしまいます。
喧嘩別れになってしまったことに心痛めるジャレットですが、きつねくんの病の薬の注文にこたえるために思いついたタッジーマッジー(花束)の力で、仲直り。フェスティバルには「三人の魔女のタッジーマッジー屋さん」を出店することになりました。
タッジーマッジーとは、ハーブや香りの良い花を花束にしたもので、それぞれの星座の花や身体の症状、花言葉などをあわせて、その人専用の花束にしたものです。
ジャレットたちは、ひとりひとりにあわせて、オーダーメイドのタッジーマッジーを作り大好評。そして、最後は結婚式の花嫁さんからも注文をもらい、花嫁さんのためにタッジーマッジーを作ると言う夢も叶えるのでした。
と、いうのがあらすじ。
※ひとつだけ、この本で気になったところは、子猫にバラのエッセンシャルオイルをつけるシーンです。猫にエッセンシャルオイルは禁忌で、死の危険がありますので、小さなお子様が読むときは、お母様がそこだけは説明してあげてください。(たぶん魔法の猫なんだよってことで)
結婚式や夏祭りのエピソードがあることから、おそらく6月くらいのお話だと思います。
けれども、あえてこれをご紹介したのは、今、花が売れていないから。現在、花屋さんはかつてなく苦しい状況です。
花って、本当に晴れがましい時しか必要ないと思われていますし、この時期はぜいたく品と思われがちです。
でも、花は見て楽しむ飾って楽しむだけでなく、気持ちを伝えたり、誰かと誰かをつないだりすることも出来ます。
体調を崩している人や、体調は崩していないけれど家で大人しくしていなければならない人にもはげましを与えることができます。また、家の中を華やかにすることもできます。
とくにハーブは香りで人を元気付けたり、リラックスさせたりする効果もあって、ものによっては食べることもできるので、一石二鳥どころか、三鳥も四鳥も効果があるんです。
こんなときだからこそ、ハーブや花、アロマに親しんでみませんか。
テーブルに一輪、花を生けると明るい気持ちになります。温かいハーブティーを飲むとゆったりした気持ちになります。マスクにラベンダーのエッセンシャルオイルをたらすと、イライラした気持ちが落ち着いて、そして、のどもすっとします。
「魔法の庭ものがたり」を読むと、花やハーブにもっと親しみたくなってきます。
外出できない時期ですが、お部屋に花を飾ったり、ベランダガーデンや寄せ植えの計画を立ててみてはいかがでしょう。いまはまだ寒い季節ですが、種をまく時期はもうすぐです。どんな鉢や種にするか、相談するのも楽しそう。
そして、ハーブティーやエッセンシャルオイルなら、冬でも楽しめます。ハーブティーの出がらしをお風呂にいれるのもおすすめですよ。
世の中がたいへんなとき、花や香りや本は、「役に立たないもの」「つまらないもの」と思われがちです。
けれど、花や香りや夢のある物語は、苦しいときストレスの多いときにどんなに心を支えてくれるか。
あんびる先生の作品は、いつもほのぼのとしたストーリーと悪人のいない世界観、それでいて、主人公の成長や心の交流が描かれていて、読むと元気になるお話ばかり。
文字はほどよい大きさで文章は平易で読みやすく、漢字には振り仮名がふってあります。絵本を卒業したばかりのお子さまにちょうどいいボリュームです。
読みきり漫画のようにテーマや起承転結がはっきりしているので、小さなお子さまにも理解しやすく、読書感想文も書きやすいと思います。細かい章に分かれているので、読み聞かせにも最適。
また、かわいらしい挿絵やおしゃれな装丁も魅力で、毎回のテーマにあわせたジャレットのカントリー風のワンピースが、いつもすっごく可愛いのです。わたしたち世代には超ストライクの、一世を風靡した、ああいうかんじのやつです。
今回のピンクのワンピースは、無地とペイズリー柄のパッチワークのワンピースなのですが、なんとペイズリー柄が手書きなんですよ! こういう、細かいところが素敵です。
ハーブやお花を育てて飾りたくなる、ファンタジックストーリー。
「魔法の庭ものがたり」は大人気シリーズとして、現在も刊行中です。大人の和みタイムのお供に、わたしもコツコツ読みすすめてゆくつもりです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。ハーブとアロマのほのぼのストーリーです。しっかりした構成で書かれている物語なので、読書の導入本としても最適です。もちろん、大人の和み本としてもおすすめなので、親子で楽しく読み聞かせしたり、プレゼントやお見舞いにも。
ジャレットの服が毎回とてもかわいいので、小さな女の子は着たがるかもしれません。
猫にエッセンシャルオイルを使ってはだめなことだけは、教えてあげてください。
読後は、バラの紅茶とクッキーなどはいかがでしょう。ほのぼのワールドをお楽しみください。
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